2017年02月24日

ラ・ラ・ランド/LA LA LAND

 アカデミー賞大本命と言われるこちら、どうせなら授賞式の前に観なければ!
 そんなわけで初日レイトショーにぎりぎりで間に合う。 前夜にネット予約していたのでチケット入手に時間はかからなかったけれど(OSシネマズミント神戸に着いたときは開映10分前をとっくに切っていた)、結構混んでいたのでした! やはり話題性? ミュージカル好きな人が多いとか? それとも実施されているのかどうかわからないけどプレミアムフライデーだったから? ちなみにあたしの仕事場ではそんな話題、かけらも出ておりません。

  ララランドP.jpg 観る者全てが恋に落ちる、極上のミュージカル・エンタテイメント

 オープニング、ハイウェイの渋滞にげんなりした人々があるタイミングをきっかけに歌い、踊り出すシーンでまずは観客にこの映画の世界観を提示し、「こんな感じだけどよかったら一緒に来て」と誘い込む。 その楽しくも弾むメロディーが、やたらハッピーなのだ。 あたしはミュージカルを苦手とする昔ながらの日本人であるが、そこまで「いかにもなミュージカル」ではなかったのでよかった。 それにしてもこの冒頭のシーン、ハイウェイの一区画を借り切って撮影したのであろうか。 それが可能なら、さすが映画の街ハリウッド、LA。
 そしてこの映画のすごいところは、時代がまったくわからないところ。 携帯電話が登場するし、過去の話題として『恋におちたシェイクスピア』のことがラジオから流れてくるし、2000年代以降であるとは思うのだけれど、70年代や60年代でも全然おかしくない。 それはカンパニーマークのあとにシネスコサイズに変化したり、演出効果技法にあえてレトロなやり方を導入しているせいもあるんだけれど、多分物語自体は昔からの「よくある話」だし、でも「よくある話」ほど普遍的であるということかもしれない。

  ララランド2.jpg エマ・ストーンも美人すぎない感じがよい。
 ハリウッドの映画撮影スタジオ内のカフェでアルバイトをしているミア(エマ・ストーン)は女優を夢見て大学を中退し、実家を出てLAにやってきて6年、オーディションは受け続けているがなかなかチャンスがつかめない。 同じような動機のルームメイトたちに気分転換にパーティーに誘われるも、だんだんむなしくなり一人で帰る途中、美しいピアノの音に惹かれてジャズバーの扉を開く。
 一方、ジャズの革命児たちを愛し、自分も同じようなジャズピアニストでありたいと願うセブ(ライアン・ゴズリング)だが、世の中はフリージャズを多く求めておらず、厳格なオーナー(J・K・シモンズ!)に「こちらが望む曲を、楽譜通りに弾いてくれ。 さもないとクビだ」と言われている始末。 その日もはじめはおとなしく言われたとおりに弾いていたが(このときのセブの明らかに死んでる表情が最高)、つい気持ちを抑えきれずに想いのままに弾いてしまう。 これを耳にしたのがミアだった。 そうして二人は出会ったが、オーナーにクビを宣告されたセブは褒め言葉をいいかけたミアを無視する形で立ち去ってしまい、これまでのいきさつも相まってミアにとって最悪の印象を残した。
 後日、ある人のパーティーでミアはカバーバンドによる“TAKE ON ME”を耳にするが、そこでは80年代風の衣装を着せられたセブがノリノリのヴォーカルとは対照的にいやいやながらキーボードを弾いている姿を見かける。 先日の鬱憤晴らしのようにいやがらせのリクエストをするミアだったが、セブも彼女を覚えていた。 帰るときの車のキーをいかに早く受け取るかのやりとりの際、また再会。

  ララランド1.jpg パーティーの帰り道、ハイヒールを脱ぎ捨てて履き替えた靴がなんかセブとおそろいっぽいんだけど?、と思っていたら、タップダンス用の靴だったのですね。

 オープニングはともかく、物語が動き出すまではミュージカルって楽曲のための場面がある感じがして、そのあたりは「このシーン、いるのかなぁ」とつい思ってしまった。 ミアが考えるところの業界の華やかさとか、この先の夢や希望を表しているのかもしれないとは思うのだけれど(服装も全体的にビビットな明るい色が多く使われていたし)、別にそれがなくてもわかるし、と、やはりあたしはストレートプレイが好きなのだと実感。 いや、音楽だって大好きなんですけどね、だったらBGMでいいじゃん、的な。 いきなり踊られてもね・・・と思ってしまうひどいやつですが、この映画では観ていて気恥ずかしくなるような場面はなかった。 それは救いだったし、それだけそういうシーンが浮き過ぎないように絶妙なバランスで調整されていたのだろう。 そこが、デイミアン・チャゼル監督が高く評価される最大のポイントなのかな。

  ララランド3.jpg ライアン・ゴズリングとは『16歳の合衆国』からの付き合い(?)ですが、普通にラブストーリーで主役やっちゃう人になったんだな…ということにいまだに感慨深い(近所のおばちゃんの心境か!)。

 批評家筋ではエマ・ストーンの方の評価が高いようですが、あたしはセブの方に心ひかれちゃったよ〜。 だってすごく切ないんだもの。 これはあたしが女性で、もう若くないからそう感じるのかもしれないけれど(批評家筋の多くは男性ですからね)。 でもミア、結構ひどいというか、若いからわかっていないんだろうけど気遣いが足りなくてものすごくセブを傷つけているのに、傷ついているのは自分の方みたいな感じなんだもの! えーっと、これは今よりも更に至らなかったかつての自分を思い出して反省してしまったあたしの反映?
 恋愛初期は盛り上がって多少暴走するのもありでしょう。 でも相手への気遣いの仕方を間違えちゃダメだよ。
 ミアの夢が女優であるように、セブの夢は自分のやりたいジャズがいくらでも弾ける店を開くこと。 ミアの親に自信を持って会えるようにとお店の開店資金をためるため、セブの音楽学校時代の同級生であるキース(ジョン・レジェンド)に誘われ、一度は音楽性の違いから断ったものの、バンドに参加することに。 そのバンドは成功し、ツアーも大反響、メディアへの露出も増えたが故にミアとはすれ違いの日々が続くが、セブは精一杯時間をつくってサプライズも用意する。
 なのに、「あなたがやりたい音楽って、ああいうのじゃないでしょう」とかミア言っちゃうし!
 そんなこと、本人がいちばんわかっているのに。 資金をためるための期間限定の行動だと自分を納得させてがんばっているのに。 それに(直接彼女には言っていないけど)、安定した収入を得ることが彼女のためになると思ってしているのに。
 ひどい、ミア、ほんとにひどすぎるよ!!
 そんなわけで、あたしはセブ派です。 ライアン・ゴズリング推し!
 あ、ジョン・レジェンドの“ジャズをベースにしたまったく新しい、かつ今風の音楽”もあたしは好きだった(また例によって、「この人、顔知ってるんだけどな・・・」と悩みましたが、エンドロールで名前を見て納得。 歌声で気づかない自分、どうよ)。
 だからこれまでの構成はすべてこのラストのためにあったのか!、という圧巻の<もうひとつの人生>のくだりも、あたしはセブの気持ちでちょっと泣いちゃいました。 そしてこのラストのために「いらないかな・・・」と思ったシーンもあったのかと考えると、それも必要だったんだなと思ってしまった。
 「観る人全てが恋に落ちる」というコピーはこのシーンのことだったのか。 もう、ただひたすらに切なくて。
 なにしろ観客が多かったので、映画館を出るまでちょっと渋滞。 その間も、オープニングの曲やセブのピアノのメロディーを口ずさんでいる人たちが結構いて、売店ではサントラを買うかどうか悩んでいる人たちの群れができていた。
 音楽と映像の素敵な融合。
 「アメリカ人、ミュージカル好きだからな」とか、「これでほんとにアカデミー賞最有力なの?」という意見も全部わかるし、いろいろツッコミどころはあるんだけれど、それでも確かにいっとき心は持っていかれた。
 映画としては、それでもう十分。

ラベル:外国映画 映画館
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする