年末年始にWOWOWで放送した『ZOO−暴走地区』シーズン2。 シーズン1がぐだぐだの終わりだったのでまさか次のシーズンがあるとは思わなかったのだけれど・・・これまた途中までは盛り上がったんだけど、後半微妙な展開に。
で、原作者にジェームズ・パターソンの名前があって・・・なんか聞き覚えあるんだけど、と思って調べたら<アレックス・クロス刑事>シリーズの作者であった(その中の一冊、『キス・ザ・ガールズ』は『コレクター』というありがちな名で映画化され、モーガン・フリーマンがクロス刑事の役、アシュレイ・ジャドがシリアルキラーに誘拐されたものの命がけで逃亡する被害者女性を演じていた。 日曜洋画劇場でかつて何回も放送された記憶が)。 うわ、懐かしい・・・としみじみしたが、当然のように全作品が品切れ・重版未定である。 で、図書館検索で読んでいないアレックス・クロスものを探してみて、これらを見つけたのであった。
ちなみに映画でモーガン・フリーマンが演じていたアレックス・クロスは、原作と性格等が結構異なっていた印象だった。 刑事というよりも心理分析官的な要素が強調されていたような?
『闇に薔薇』
これ、順番間違って読んだら大変なことになります。 読むならばこっちから。
凶悪な銀行強盗事件が相次いで発生。 金庫を開けさせるために人質を取るのだが、金を手に入れて殺す必要はないはずなのにあえて人質を殺している。 犯人たちは銀行強盗であると同時に快楽殺人者なのか? 苦悩するアレックス・クロスの前に、実行犯とは別に指示役の<闇将軍>と名乗る存在が見え隠れ。 一体、<闇将軍>とは何者なのか? 彼の目的は・・・という話。
これ、もし映像化するならR15+だわ、という残酷描写多々。
とはいえ、明らかにサイコスリラーもののジャンルの顔をしながら、アレックス・クロスは出会う女性すべての魅力的な部分を見つける男であり、ロマンス小説の色も濃い(そして母親と自分の子供たち、家族を大事に思っている部分にもページを多く割かれる)。 なるほど、アメリカ人がいくつになっても恋愛に現役なのはこういうことか、と納得しつつ、そのような描写があるところが<全米bPベストセラー作家>である所以なのかも、と思わされる。 読者層が薄く広そう。
しかも! <闇将軍>の正体は最後の2行で読者にのみ明かされる(アレックス・クロスはまだ気づいていない)。
読者として、そんな終わり方されても困るよ!、なのです。
『血と薔薇』
そしてひきつづきこちらへ。
まるで獣にかみ殺されたかのような傷を持つ遺体が吊るされているのが発見される。 その犯行間隔はどんどん短くなり、アレックスは犯人は二人かそれ以上のチームで、これまで長い年月、移動しながら犯行を重ねていることを読み取り、犯人たちに迫っていく。
同時にアレックスは<闇将軍>から毎日のようにかかってくる電話に神経をすり減らす。 自分が大事に思う人々が狙われるのではないか、と考えると、新たに知り合った女性刑事との関係を進展させていいものかためらう。
やがて、捜査陣は「自分たちこそ吸血鬼の末裔」と考えている人たちがいることを知り、そのパーティーに潜入。 ゴスの延長としてのカルチャーと軽く考えている人が大勢だが、中には義歯として鋭利な犬歯をつくってはめ込み、血を飲む人たちもいる。 犯人はそんな過激派の中にいると感じたアレックスは・・・という話。
とはいえ、本作のクライマックスはアレックスVS<闇将軍>。 吸血鬼兄弟の犯行は派手で残忍ではあれど、その前座っぽい感じがしないでもなく・・・微妙。 でも、のちにヒットする『トワイライト』シリーズやゾンビものなど、こういうゴスカルチャーの延長として広範囲に広がった結果ともいえるわけで、アメリカのサブカルの歴史を辿る貴重な過程を書き記しているともいえましょう(原著は2000年刊)。
さすがベストセラー作家は流行りにも敏感。
ううむ、アレックス・クロスシリーズ、この先どうしようかな・・・。 面白いは面白いんだけど、あたしにはロマンス小説部分がやや長いかな、と感じてしまった(ま、それだけ、アレックスが女心に理解のある人物であることがわかるんだけれども)。
で、過去作の内容もポンポン飛び出すので、シリーズを順番に読んでいることが前提のつくりなのよね・・・図書館に全部ないんだな、これが。
ま、ジェームズ・パターソンについてある程度振り返れたから、それでいいか。
ラベル:海外ミステリ