2017年01月22日

顔のない男<刑事ファビアン・リスク>/ステファン・アーンヘム

 いやー、長かった。 海外、特に北欧ミステリは全体的に長い傾向にあるものの、初めて読む作家で650ページ越えはさすがに厚かった。 通勤電車で最初のほうは調子よく読んでいたのだが、自分の体調悪化とともに電車で本が読めなくなり(下を向くからか、なんか酔う感じで、黙って車窓を見ることがこのところ多くて)、そのせいで余計長く感じたのかも。 読了までのトータルの読書時間はそんなにかかっていない気がする。 なにしろ次から次へと事件が起こるんでね!

  顔のない男.jpg <刑事ファビアン・リスク>は4部作の予定とのことです。
 ファビアン・リスクはストックホルム警察に勤務していたが、都会の勤務と繰り返し見る悪夢とに耐えられず、妻と子供二人を連れて故郷のヘルシンボリ警察に異動してきた。 これで静かな生活を送れると思ったのも束の間、ファビアンの基礎学校9年生(日本なら中学3年生)のときの同級生が惨殺され、クラスの集合写真の被害者にバツ印がつけられていた、という事件が起こる。 これはクラス全員を殺すという予告なのか? 休暇中で正式な異動はまだ先のファビアン・リスクだが、見過ごすわけにはいかない。 殺されたのがクラスのいじめっ子だったことから、いじめられっ子であった人物を犯人と考えるが、本人を見つけることができない。 そのうち、第2・第3の事件が起きて・・・という話。

 おいおい、いくらなんでもスタンドプレーが過ぎるんじゃないか。 警察の捜査は基本的にはチームプレイでしょう?、と何度も言いたくなるファビアン・リスクの不可解すぎる独断専行に首をひねる。 どうやらストックホルム時代にもなにかあったようなのだが、詳細は語られず(シリーズの今後で明らかになるのでしょう)。 ヘニング・マンケルのヴァランダー警部もダメ男ではあるが、彼はチームを信頼していたし、なにか伝え忘れるのは「うっかり」だったのに対してファビアン・リスクは明らかに意図的に情報を流さない。 違う方向のダメ男である(また、本当は自分はダメ男だと思っていないところが余計腹が立つ)。 だから犯人の罠に簡単に落ちるし、同僚の刑事たちにも迷惑をかけてしまうのである。
 で、北欧ミステリはわりと社会派の一面も多く持ち合せるのだが、今作はいじめ問題と、結局解決できない大人が描かれているんだけれど、あまり深く扱われていない感じがして、それもちょっと物足りないかな。 デンマーク警察の女性刑事と協力する場面はドラマ『THE BRIDGE/ブリッジ』を思い出してニヤリとするけれど(あ、彼女が上司からハラスメントを受ける様は『ミレニアム』を思い出させるけれど、そこまで正面から取り組んでいるわけでもない)。 いろんな作品の影響を感じるが、後味の悪さは間違いなく北欧ミステリでした。
 とはいえ、続きが出れば買って読んでしまうんだろうな、という気がします。

posted by かしこん at 15:52| Comment(2) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする