2016年12月31日

ドント・ブリーズ/DON'T BREATHE

 今年の最後を締めくくったのはホラー映画となりました。
 なんかで宣伝されていたのだろうか、ほぼ満席といっていいくらいめちゃめちゃ込んでいた! しかも高校生や大学生といった若い人たち中心で、ホラー映画ファンの一人客はあたしを含め大変肩身の狭い思いを。 しかしその価値はあった!
 最近のホラーはジェイムズ・ワン系が多かったので、製作総指揮サム・ライミの突き抜けた感じもまた大変好きだということを思い出しました(フェデ・アルバレス監督はリメイク版の『死霊のはらわた』を撮った人)。

  ドントブリーズP3.jpg 20年に一本のアメリカ発恐怖の作品!
     この家から生きて脱出したければ、息をするな・・・

 舞台はすっかり寂れてしまったデトロイトの田舎町。
 妹を連れてとにかく早く町を出たいロッキー(ジェーン・レヴィ)は、父親がセキュリティ会社で働いているのでパスワードや鍵を持ち出し放題のアレックス(ディラン・ミネット)と彼氏のマニー(ダニエル・ゾヴァット)とともに留守の豪邸に侵入し一回一万ドル以内の窃盗を繰り返していた(一万ドル以上の被害額になると強盗罪になってしまい、捕まったときの刑が重くなるため)。
 古買屋は盗品だとわかっているので安く買いたたき、目標額にはまだまだ遠い。 ある日、マニーがしこたまお金を隠し持っている老人がいることを聞きつけてくる。 調べてみるとその老人は娘を事故で失い、その賠償金として30万ドル受け取っているという。 しかし使った気配はなく、ご近所とも没交渉(そもそもご近所、空き家が多い)。 ただその老人(スティーヴン・ラング)は実戦経験のある元軍人なのだが、戦場でけがをし、盲目だという。
 これはちょろい仕事だぜ!、と盛り上がる三人だったが、それが恐怖の始まりだった・・・という話。

  ドントブリーズ2.jpg バカ3人。 何故夜を待って侵入するとかわざわざ自分たちに不利なことをするのか・・・。

 まずメインの若者三人組がバカすぎて情けない。 ろくでもない母親が家にいて、賢い妹にちゃんとした環境を用意してあげたいという姉としてのロッキーの気持ちはわかるが、その手段が犯罪ってどうよ。 おまけにマニーは留守宅に侵入して金目の物を盗むことより家の中をめちゃくちゃにすることの方にヨロコビを見い出すタイプ。 こんな男を恋人にするようではろくでもない女確定である。 しかもいちばんまともそうなアレックスはロッキーに恋しているのがばればれなのに、その気持ちを利用しちゃってない?
 しかも相手は老人で目が見えないから勝ったも同然、とうかうかしているけれど、元軍人ですよ? 目が見えなければ他の感覚が俊敏になるとは考えないのか? しかも理不尽に娘を失っているとあれば人間不信のかたまりですよ。 すっごいやばいことをしようとしていることに気づけ! しかし気づかないのですよね(まぁ、気付いたらこの話は成立しないですが)。

  ドントブリーズ1.jpg 老人の動きを目にして、やばいことになったと気づいてももう遅い。 息を止め、気配を消すので精いっぱい。

 だが、とふと考える。 バカであることは悪いことなのか?
 わかっててバカなのは手に負えませんが、バカではない道を選択することができない人たちもいるわけで。 世の中にはびこる理不尽さや不公平さというものに、実は真っ向からテーマを突き付けてくる映画だったりするのですが・・・まぁそんなことを考えずともお化け屋敷感覚でぞっとするのもよろしいかと。 でも後味はよろしくないので、ご注意ください(B級ホラーにありがちな、続編ができそうな終わり方)。

  ドントブリーズ4.jpg アレックス役の人、数年前のローガン・ラーマンを彷彿とさせる顔立ち。 ということはいい人もそうでない人の役もできるお得顔ということかも。

 そんなわけで三人に同情できるような同情できないような・・・しかも俊敏な感覚の持ち主でもやっぱり目が見えないんだなとわかる不潔さを見せつける一瞬のシーンには思わず悲鳴が出そうになる。 しかしほぼ満席の映画館は水を打ったように静かなのだ。
 音をたてたら、老人がこっちを向きそうな気がするから!
 という、低予算ながらアイディアとすぐれた演出・カメラワークで魅了するリアル感。 ホラー映画ってこうじゃなきゃねー、と思わせてくれる力作。
 そして思うのは、バカであることは悪いことではないかもしれないが、強欲はやはり悪である、ということだろうか。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする