2016年12月08日

暗殺者の森/逢坂剛

 <イベリア・シリーズ>もついに第6弾。 残すはこれとラスト一作になりました。
 となると読むのがペースダウン。 上巻は比較的早かったんだけど、下巻になかなか手をつけない、心の中で「読み終わりたくない願望」が抵抗をはじめたようです。
 とはいえ、作中でも時間は過ぎていき、ドイツの敗戦はもうすぐそこまでとなっているので、これまでの緊迫感が若干薄れてきた、ということなのかもしれません。

  暗殺者の森1.jpg暗殺者の森2.jpg これまたタイトルと内容がリンクするようなしないような・・・。

 上巻はほぼ、ドイツ軍内部による最大のヒトラー暗殺作戦の顛末(トム・クルーズ主演の『ワルキューレ』で描かれていた内容と結構かぶる)で、レギュラーメンバーほとんど出てこないんだけどそれが気にならないのは、もうこのシリーズが<歴史の流れとそれに翻弄される個人>を描いているものだという認識がこちら側にあるからでしょう。
 下巻ではまたも出会っては引き裂かれる北都とヴァジニアが描かれておりますが、今更ですがベルリンに派遣されている日本のジャーナリスト・尾形正義(一作目から登場)が実はいちばんおいしいキャラクターなのでは、ということに気づかされ。
 決して主役ではないけど、彼ほど様々な場面に立ち会い、物事を知る立場にいる人は他にいないのではないか。 ちょっと便利に使われている感もあるけれど、狂言回し的立場でもあり、客観的にすべてを見ている読者に近い位置にある登場人物でもある。 だから彼はきっと生き残るだろうな、と思います。
 ヒトラー暗殺に文字通り命をかけた人々を上巻分かけてじっくり描いたにもかかわらず、ヒトラーの自殺に関しては伝聞の数行で終わり、というあっさりさ加減もまたこのシリーズらしい。
 この『暗殺者の森』がシリーズ中いちばんページ数少なかったような気がするんだけど(いっそのこと一冊でよかったと思う)、こんなんで次、最終巻で大丈夫なのかしらと思ったら『さらば、スペインの日日』はこれの倍くらいの厚さでした(持ったときの印象)。
 グランドフィナーレ、最後まで楽しませてもらいます。

ラベル:国内ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする