2016年12月01日

インフェルノ/INFERNO

 予告を見て、「ラングドン教授、老けたなぁ」と思ってしまったものの、原作を読んでから観た『ダ・ヴィンチ・コード』はいまいちで、読まないで観た『天使と悪魔』は面白かった。
 それに、イタリアが主な舞台になる都合上、ヨーロッパの実力派俳優さんたちが惜しげもなく脇役に投入される贅沢さ、好みです。
 <映画で見る世界遺産・謎解きつき観光案内>という気持ちで出かける。 今回も原作は読んでいない。 トム・ハンクスが出る、タイトルから多分ダンテの『地獄篇』がモチーフ、という予備知識しかありません!  というか、『ダ・ヴィンチ・コード』がすでに10年前の作品だということにショックを受けたよ・・・そりゃ教授、老ける(そしてあたしも)。

  インフェルノP.jpg 人類は滅びる 全てはお前次第だ。

 きゃー、ラングドン教授、どうしちゃったの?!、というくらい、冒頭から教授自身はなにがなんだかわからない状況に陥っており、観客たるあたしもそれについていけないほどの混乱状態に唖然とする。 これが<煉獄>?
 とはいえ、ダンテに辿り着くまで映像的にはスピーディーなはずだが、あたしはなんだかだれてしまった(つかれていたのだろうか)。
 「ここはどこ、私は誰」状態で不意に悪夢から目覚めたロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス)は、治療にあたっている医師のシエナ・ブルックス(フェリシティ・ジョーンズ)からここはフィレンツェの病院であること、頭部に銃創があるのでそのショックで一時的に記憶が混乱していると説明される。 自分は狙われたのか? だがまったく思い出せない教授のもとに銃を持った暗殺者が出現、シエナの手引きで病院を抜け出す。 一体何故教授は命を狙われるのか? 教授は持ち物とあやしげな記憶を頼りにどうにか真実に近づこうとするが、WHOの職員、謎の秘密組織らもまたラングドン教授を追いかけており、その追いつ追われつはフィレンツェ、ヴェネツィア、イスタンブールと続いていく・・・という話。

  インフェルノ4.jpg 追いかけられるのに慣れてしまったのか、教授の逃げ道は誰も知らないような古い抜け道だったりする(近々の記憶はないのに蘊蓄は健在)。

 予備知識ゼロなので、フェリシティ・ジョーンズが出てきたことにまずびっくりだったし、WHOの職員クリストフ・ブシャール(オマール・シー)、秘密工作組織のトップであるハリー・シムズ(イルファン・カーン)、冒頭でいきなり死ぬもののその存在感は最後まで残り続けるバートランド・ゾブリスト(ベン・フォスター)など、「おぉ、この人も出てるか?!」という驚きでわくわく。 イルファン・カーンさんはハリウッドでストレートプレイをするインド人俳優の今の第一人者になっているのでは! 今回もあやしげで冷酷だけど義理人情に厚い、という不思議なキャラを妙な説得力で演じちゃってた。
 いきすぎた正義感と理想主義がゆがんだ手段を選んでしまう、というのは古今東西よくある話なのではあるが、科学技術が進んだ結果、「その気になればできる」となってしまっている現状、そして科学がある程度前提となった世界でありながらヘンな神秘主義に傾倒する人々が絶えないっていうのはどういうことなのか。
 人間とは基本的に愚かである、というのがこのシリーズの隠しテーマなのだろうか。

  インフェルノ3.jpg ゾブリストの講演会(?)。 アメリカってこういう感じ、多いよなぁ。

 とはいえ、「ラングドン教授の世界でも<無差別テロ>が出てきてしまうか・・・」という妙な感慨にふけってしまったのも事実。 誰が信用できる人なのかそうじゃないのか、誰の言葉が事実なのかわからない、裏切りに次ぐ裏切りというスパイ映画的要素もあり、「これじゃ<知のインディー・ジョーンズ>じゃなくて<知のジェイソン・ボーン>じゃないか・・・」と思ってしまいました。
 でもこのシリーズの中では上映時間は短い方だし、多分かなり原作をはしょっているのだろうな、というのはわかる。 映画的に<絵になる>ストーリー展開を優先したんだろう。
 でもあたしはどうも、“ゾブリスト”が人の名前に思えなくて(シオニスト、みたいな?)、団体名のように感じてしまってちょっと困った(実際、ゾブリストはある団体の代表であるから余計に)。
 そんなわけでいまひとつ納得できないところはあるものの、ラングトン教授と昔わけありだったらしいWHOのエリザベス・シンスキー(シセ・バベット・クヌッセン)のゴージャスで歳を重ねることを受け入れた美しさと佇まいにはみとれました。
 こんな感じの人になりたい・・・。
 彼女もどこかで観たことある人なんだけど、フィルモグラフィ調べても心当たりがない・・・海外ドラマかしら。
 やっぱりこのシリーズの魅力は、キャストだ。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする