2016年11月05日

暗い国境線/逢坂剛

 <イベリア・シリーズ>第4弾、早くも折り返し地点にやってきました(全7作だから)。
 北アフリカ上陸作戦やカティンの森事件など次々出てくる出来事に対して、「あぁ、これをもっと早く読んでいたら」という気持ちにならないわけではありませんが(つくづく現代史に弱いよ、あたし)、映画『カティンの森』を観ていたからこそ「結局あの事件はドイツ、ソ連どちらの仕業なのか」で右往左往する連合国側(主にイギリス)のハラハラ感を突き放して見ることができるんだけど、真実よりも「ソ連であっては困る(対ドイツで連合国と同じ側にいるソ連がそんなことをしでかしたとあってはポーランドが黙っていない、連合国側が一枚岩でないことを見せられない)」というほうが重要である・・・というのが哀しいというか腹立たしい。 ナチス・ドイツに蹂躙され、その後もソ連の事実上支配下にあったポーランドという国の悲劇は、イギリスにとっては瑣末なことなんだな、ということがね。

  暗い国境線1.jpg暗い国境線2.jpg まぁ、よくも悪くも戦争とはそういうもの。 結局のところ自国の利益がいちばん、ということ。

 こいつらどうなんだ?、と思っていたゲシュタポの双子がやはり“手強い敵”として再登場したり、カナリス提督の配下ブランデンブルク師団のメンバーが活躍したりとサブキャラクターが輝くのがやはりシリーズ物の面白さ。 なにしろ主人公がスパイだから、一般人のように見えた人が実は・・・なんてことはしょっちゅう起こるし、また“顔”を使い分けて生きることがある程度当たり前の時代だったのだろうな・・・と感じてしまうと、やはり平和がいちばんです(しかし現代においては戦争で、というよりもテロ作戦のため仮面をつけて生きている人が多そう)。
 物語も佳境に入り、ドイツの敗色が濃厚になってきている(つまりは日本もまた)。
 これからノルマンディー上陸作戦やら、日本への原爆投下までも描かれるのだろうか。
 歴史の答えはわかっていても、個人の人生はわからない。
 最後までこの勢いで突き進みます!

ラベル:国内ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする