2016年11月02日

君の名は。/YOUR NAME.

 今更ですが、やっと観てまいりました。
 なのにすごい込んでいた・・・「興行収入200億越えの可能性もあり」予測に納得。
 もはや<『君の名は。』現象>として違うところでも話題になってしまっているすごさ、あれほど話題になった『シン・ゴジラ』をもかすませるパワー。 まったくヒットというものは、とても不思議なもので。
 だからこそ、物語的ネタバレ要素を含みそうな情報は一切シャットアウトしていった。
 これが結構難しかったけど、やっぱり予断のない気持ちで観たいのです。
 予告での印象は「『転校生』の変奏曲?」ではありましたが、やはり全体的に新海ワールドでしたね。

  君の名は。P.jpg まだ会ったことのない君を、探している

 千年に一度飛来するというティアマト彗星、それが地球に最接近する時期を迎えたある日のこと。 飛騨高山でも結構な田舎町・糸守で暮らす三葉(上白石萌音)は神社の家系に生まれ、ごく普通の高校生活を送りながら家のしきたりも守ってはいるが東京での生活への憧れはやみがたい。 そんな気持ちの表れなのか、東京の男子高校生としての一日を夢で見た三葉だったが、翌日、「昨日の三葉はヘンだった」と親友たちに言われてしまう。
 一方、三葉が夢でなっていた東京在住の男子高校生・瀧(神木隆之介)もまた、夢の中で三葉として糸守で一日を過ごしていて・・・夢の中で入れ替わっていることに気づいた二人はスマホにその日の出来事をメモに残すようになり、前触れなく始まる入れ替わり日を周囲にばれないように乗り切ろうとしていた・・・という話。
 “男女入れ替わり”というありふれたネタを“夢”を介して繋がることにしたのが大きくて、しかもご都合主義じゃなく<糸守>という町が持つ力の具現として描いたのが素晴らしい。 昔ながらのやり方で、糸を編んで紐をつくる。 糸はときにねじれ、からまり、思いもかけないほどけかたをしながらもある形をつくる。 そしてそこに込められた思いが創り出すものは宇宙にすら匹敵する(まさに「ひも理論」!)。

  君の名は。2.jpg それを伝える三葉の祖母(市原悦子)の貫録もまた素晴らしい。 『まんが日本昔話』の片鱗もない。

 また古典の授業中に黄昏の語源を説明するシーンを挿入、「彼は誰時(かはたれどき)」をその町の方言で「かたわれどき」というなど、伏線がしっかり<日本ならではの、昔からの言葉や風習>をよりどころにしている、というのがあたしはとても好きでした。 多分これも日本ならではの引き戸が閉まる描写を縦に描くところを何度も入れてくるのは、運命の糸がそれで切られてしまうかも、というハラハラ感のためだったのかしら。
 『秒速5センチメートル』のほうが背景絵は綺麗だったような気はするんだけれど、全体的な作画のレベルは平均的に上がったような。 あっちが男性のある種身勝手な(いわゆる、「昔、自分のことを好きだった女はいつまでたっても自分のことを好きだと思っている」的な)初恋の思い出を描いたものだとしたら、こっちは現在進行形の、しかも男女それぞれの直球の想いを描いている点でもぐっとすがすがしい。

  君の名は。5.jpg やっぱり若者は走らないとね!

 そして前情報を入れなかったため、あのスペクタクルシーンでは素直に驚くことができ(時間のずれについては途中で気づくようにできていますが)、『ほしのこえ』から続く新海ワールドの重要なモチーフ<宇宙のスペクタクル>もまた健在なれど、3.11後の日本を描くには避けて通れないことなのだな、としみじみ(そこは『シン・ゴジラ』にも共通しているところなのですが)。 いわゆる<セカイ系>の要素はあれど、それが気にならないのは「日常はある日、突然分断されることがある」と平和な日本人ですらも理解できるようになってしまったからでしょうか。
 とはいえ、「見知らぬ誰かを、ずっと探している」という運命論的恋愛信者&それを経験したと思っている人たちには素晴らしい夢を、今はそんなこと信じてないけど「かつてそんなこと、思っていた時期もあったなぁ」という人たちには強烈なノスタルジーを蘇らせてくれるこの作品、いろいろタイミングもあったかと思いますが口コミでのヒットはある程度、予想できたはず(でもここまでだと思わなかっただろうけど)。

  君の名は。1.jpg 田舎描写は結構懐かしいものが。
 絵が普通にきれいなので、普段アニメを観ない人にもとっつきやすかったのも大きかったかな。

 もはや『君の名は。』を観ていない・興味ないというのが恥ずかしい、みたいな流れになっているようですが、そんなことは関係ない。 ヘンなバイアスがかかったまま観たり、観る前にネタバレ知っちゃうくらいなら、興味のないままずっと押し通し、忘れた頃に不意に出会ってもらいたい。 そんな感じです。
 世間的には神木くんの評価が高いようですが、あたしも彼が好きですが、今作においては三葉演じる上白石萌音さんの力が大きいかと。 いい意味で、とても『舞妓はレディ』の彼女と同一人物とは思えなかった。
 それにしてもティアマト彗星。 その名の由来は『銀河英雄伝説』ですか? それとももともとの神話の方から? それが気になって仕方ないのでした。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする