2016年10月09日

血の極点/ジェイムズ・トンプソン

 ついに手をつけてしまった・・・作者急逝という不本意な形で終わるシリーズって、やはり切ない。 付き合いがそんなに長くないこのシリーズですらもそう思う。
 シリーズ物ってよくも悪くも登場人物に愛着がわいてしまうから困ったもんだ。
 前作『白の迷路』からさほど時間はたっていない。 いろいろと知りすぎてしまったカリ・ヴァーラのチームに危険が迫る・・・という展開に、前作で深い心の傷を負うことになってしまったカリの妻ケイトの問題も絡んで、生命の危険に関わる問題と、それぞれのプライベートが同じ重さで語られるという、ノワールものにしてはちょっと特異な流れになっております。

  血の極点.jpg 白から赤へ。

 あるエストニア人の女性から、売春組織にさらわれたダウン症の娘の捜索を頼まれる、という<一応の事件>はあるものの、前作同様そっちを掘り下げると自分たちの身が危なくなる度も深まるという・・・どんだけフィンランドの闇は深いのか?!
 相変わらずカリの感情は戻らず、やっぱりみんなコッシュは飲み続けているのでいつかそうなるだろうとは思っていたけれど、仲間を失う事態にまで発展。 怒りがカリの感情に火をつけかけるけれど、まだ不十分なんだよなぁ。
 幻のシリーズ5作目は途中まで書かれていたそうなので、多分次である程度の決着がつく感じになっていたような気がしないでもないが、一応本作でも一区切りされているといえばされてはいる・・・すっきりした終わり方ではないけれど。
 思えば『極夜−カーモス−』のときのカリ・ヴァーラがこんなふうに変わってしまうなんて、あの時は想像もしていなかった。
 人間の持つ暗黒面、ダークサイドを描く、という意味では<『スター・ウォーズ』エピソード1〜3>をも凌駕するかも。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする