2016年10月08日

超高速!参勤交代 リターンズ

 <好きな映画の続編>ではありますが・・・、なりたち(前作のヒットを受けての続編制作決定)から『グランドイリュージョン 見破られたトリック』に似ているこちら、やっぱり不安はないわけではなく・・・でも脚本家も監督も同じ人だったんでまだましか!、と思って臨む。

  超高速参勤交代リターンズP.jpg 金なし! 人なし! 時間なし! おまけに帰る城もなし!?

 前作のラストシーンから始まる、完全なる続編。 しかし主要キャラクターの性格紹介を含んだはじめからしばらく続くエピソードは、一作目を見ている人間にとっては蛇足でしかない。 例の江戸城代家老(近藤公園)が現れ、「殿!、一大事でございます!」と報告が入ってようやく物語は動き出す。 動き出したら、あとはあっという間である。
 無事、参勤を終えた湯長谷藩一行は帰り(つまりは“交代”)の道中を様々な手段で小銭を稼ぎながら城に向かっていた。 その途中、藩主・内藤政醇(佐々木蔵之介)とお咲(深田恭子)の仮祝言の宴の最中に城代家老が飛び込んでくる。 曰く、湯長谷で一揆が起きたというのだ。 だがそれは農民を装った一派が湯長谷藩の土地を襲い、農地をむちゃくちゃにしてから城に攻め入り、湯長谷の人々を幽閉しているのだった。
 勿論、それは煮え湯を飲まされたと思い込んでいる(本当は単に自分が悪いだけの)老中・松平信祝(陣内孝則)の陰謀であり、ともかくも湯長谷へ戻って事態を掌握せねばならない一行は、さんざん苦労した行きよりもより速いスピードで帰らなければならなくなって・・・という話。

  超高速参勤交代リターンズ1.jpg 道中、みなさん飲まず食わずで走ることになり、へろへろ。 特にお殿様のおやつれがひどい。

 前作では311後の福島・いわきへの思いを押しつけがましくなく、しかしツボはきっちり押さえて表現していたところにあたしは胸を打たれたのですが・・・前作のヒットのせいか、いわきへの気遣いがよりはっきりと示されてしまったので、ちょっとご当地映画の空気が出てしまったのは残念(とはいえ、乱暴狼藉を働く一派が農地を差し押さえ、立入禁止の柵を立てる光景はそのまま福島第一原発事故後の汚染区域そのものである。 現代劇でやってしまうとあまりにあからさまだが、時代劇でそれをやることで受け取る側にワンクッション置いてくれるところがありがたい。 基本はこの映画、娯楽時代劇ですから)。

  超高速参勤交代リターンズ4.jpg 幽閉されている城の中の女性陣を描いてくれたのもよかった。 湯長谷藩という存在に奥行きが生まれたよう。

 前作は“参勤”の苦労と工夫で物語を展開させたが、今作はそれと同じままではいかない。
 その点で「大名行列をどうにかそれらしく見せるコツ」的要素は減ったけど、その分、人海戦術的アクションが増えましたね。 でもカットが結構細かく割られているので、せっかくのダイナミズムが薄れた感がなきにしもあらず・・・殿の必殺剣の存在も前作で見せたからいいや、的な? その中でラブコメ含むコメディを展開させることでパワーダウンを防ごうとした? そんな中、井戸があったらあの人、絶対落ちるよねぇ、といった「お約束」も踏襲。 そういうところ、好きです。

  超高速参勤交代リターンズ5.jpg えっ、あなたでしたか。

 ある人物が「私は町奉行、大岡忠助である」と名乗れば観客からどよめきが起きる(まぁ、どちらかといえば遠山の金さんタイプですもんね)など、結構お客さんが入っていたせいもあって<古き良き時代劇の流れをくむ作品>を一緒に楽しむあたたかな空気がそこにはあり、それがすごくよかったなぁ、と思ってしまった。
 それは湯長谷藩一行のチームワークにもつながる。

  超高速参勤交代リターンズ7.jpg 陣内孝則の悪役演技は悪ノリしすぎじゃないのか・・・と思わなくもなかったが、ほぼ準主役的位置づけなのに<特別出演>なのには恐れ入った。

 殿がいかに湯長谷の領民たちに愛されているのか、だからこそ彼は必要とあらばいつでも命を投げ出す覚悟である、という封建制度の中で限りなく理想に近い関係性。
 それを佐々木蔵之介は前作以上に体現してくれるのですが、勧善懲悪ってだけじゃなく、そういう部分が日本人の好きな時代劇ってやつなのかな、と思ってみたり。
 やつれているけど(それともやつれているが故に?)、佐々木蔵之介、かっこよかった。
 インパクトの点では前作よりも弱いですが、それでもこういう時代劇が好きな気持ちを確認できる作品があるって大事なことです。

ラベル:日本映画 映画館
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする