2016年09月07日

ジョイランド/スティーヴン・キング

 最近やっと、(あたしとしては)長距離通勤に慣れてきました。 
 いや、ほんとは慣れていないのだが、大きな駅で乗客がどっと降りた隙に座席に座る、ということがすんなりできるようになってきた。 ただ、その分、混雑している通路や窓側に座ってしまった場合、「すみません、前、失礼します」などとすり抜けるために、日々どのカバンがいいのか試しております。
 それはともかく、運がよければ一日往復で100ページぐらいは読める感じ。 ただ文庫サイズが基本。 図書館から借りたハードカバーは適さない・・・。

   ジョイランド.jpg つい最近買ったような気がしていたが、そこそこ前だった。
    よくみたら、タイトルより作者名のほうが字、大きくない?

 『ミスター・メルセデス』に手をつけたいのは山々だが、まずはこっちから!
 60歳を過ぎた“ぼく”は、40年前の大学生の夏休みにアルバイトをした海辺の遊園地<ジョイランド>での出来事、そこで出会った人生において大切な人々のことを回想する。
 ゴーストハウスではかつて殺人事件があったらしく、被害者の女性の霊がさまよっていると噂になっていた。 “ぼく”には見えなかったけれど、、アルバイト仲間のトムはなにか見たらしい。 何故“ぼく”には見えなかったのか? 調べていくうちに(そこは同じくバイト仲間のエリンが協力)、同じような手口で殺されている女性が複数いることがわかる。 これは連続殺人なのか、という話。
 そんなわけで「遊園地を舞台にした連続殺人」という謎を掲げつつ、筆の多くは“ぼく”の日常−彼女に振られそうなのがわかっているのに認めたくないあがきと未練とか、<ジョイランド>での仕事をいかに覚えて働いているか、そしてトムとエリンとのその後も続く友情、<ジョイランド>を介して出会う様々な大人たちのぶっきらぼうな優しさ、そしてなによりも近所の豪邸に住む筋ジストロフィーの少年・マイクとその母アニー(とマイクの愛犬マイロ)との出会いなど−に多く割かれる。 そこには過去を振り返るノスタルジーがたっぷりと振り撒かれているが、それ故に登場人物一人一人が愛情たっぷりに描かれているのでまるで一緒に夏を過ごしたような気になる。
 「犯人探しは二の次じゃないか!」というご意見もありましょうが、むしろ連続殺人というスパイスがかかったノスタルジックな青春小説と言えましょう(でも最終的に事件は解決するし、<ジョイランド>での被害者リンダ・グレイのことも“ぼく”は忘れることはない)。
 そんで病気の子供を出してくるってのがキングの卑怯なところよね〜。 おまけに<ジョイランド>オーナーのイースターブルック氏の(出番はすごく少ないのに)超かっこいいこと!
 子供と老人を描かせるとキングは元からうまかったけど、このところ更にうまくなっているのが恐ろしい(むしろ、あたしがまんまとやられているのだろうか?)。
 最後は(電車の中なのに)うっかり泣いてしまったじゃないか。
 一冊で終わっているし(しかもキングにしては短めの400ページ以内)、スティーヴン・キングの残酷描写が苦手、という方にこそおすすめできるかも!

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする