2016年09月05日

模倣犯 犯罪心理捜査官セバスチャン/M・ヨート&H・ローセンフェルト

 これは上巻を買って比較的すぐぐらいに読み終わったのだが下巻が見つからず(未読本の山に埋もれていた)、見つかったときにはすでに別の本を読んでいたので後回しとなり、その結果また埋もれ、「そういえば・・・下巻読んでなかったな」と思い出して最近発掘。 一年越し(もっと?)に無事読み終えました。
 『犯罪心理捜査官セバスチャン』のシリーズ二作目ながら、一作目ラストで判明した衝撃(?)の事実を引き継いでのスタートなので、これは一作目から読まないと大変まずいパターンです(作者がテレビシリーズの脚本家でもあるので、シーズンラストのクリフハンガー理論をこの作品にも応用している模様)。
 出張から帰って来た夫が見つけたのは、無残に殺された妻の姿。 それだけだったら殺人捜査特別班が呼ばれることはない。 その犯行現場の状況は、かつて犯罪心理捜査官として全盛期だったセバスチャンがつかまえた連続殺人犯エドゥアルド・ヒンデの手口に酷似していた。 だが現在ヒンデはレーヴハーガ刑務所で服役中。 犯人はただの模倣犯なのか? ヒンデ本人は関係しているのか? 前作で判明した理由のため、また殺人捜査特別班に入りたいセバスチャンは、渋るリーダーのトルケルに「ヒンデを誰よりも知っているのはぼくだ!」と主張して捜査班に加わろうとし・・・という話。

  セバスチャン2−模倣犯1.jpegセバスチャン2−模倣犯2.jpeg うーん、下巻の表紙の人がヒンデか?

 「これ、このままテレビドラマ化できるんじゃないの?」という登場人物たちのキャラだち振りがこのシリーズの魅力でもあり(特に末っ子キャラのビリーに恋人ができて、彼女の言いなりなのにそれを自分の成長のためと受け止めているのがかなしい)、タイトルで<犯罪心理捜査官>と書かれているセバスチャンがいちばんの役立たず(捜査官としても、人間としても)なのが逆説的な皮肉なのか?、という感じ。 しかも前作で地元のダメ刑事として登場したハラルドソンが、現場から異動になって(させられて?)、例のレーヴハーガ刑務所の所長になっていたりして、「うわっ、またなにかやらかすよこいつは!」という悪い方の期待を裏切らないという・・・読者サービスが過ぎます。
 上巻でいったん止まってしまったのは、実はそこで一段落しているから(ある程度全容に近い部分まで見えていた気がしたから)。 しかししばらくぶりに下巻から読み始めても、「あ、そうだったそうだった」と上巻を読み返すことなく進めたので、ストーリーもキャラたちもこっちの記憶に入り込んじゃった、ということでしょう。
 ヒンデは頭脳戦にたけたシリアルキラー、という、よくある「レクター博士を小物にした感じ」ですが、彼とセバスチャンの因縁はいいスパイスでした。
 前作では最低人間でもそうなった理由につい同情を禁じ得なかったセバスチャンですが、今回はダメ度が前作を上回り、「なにやってんだこいつ、バカだな」と終始徹底して思われる役回り(もはやコメディリリーフか、というくらいの)。 “紺屋の白袴”というか、臨床心理士(あれ、精神科医だっけ?)のクセに自分のことはどうにもできないというのが逆にリアルなのかも。 でもほんと、近くにいたら迷惑・・・。
 そして今回もハロルドソン並みの新キャラが登場し、次作で大波乱を起こしそうな気配で終幕・・・またしてもクリフハンガーかよ!、とぼやきたくなる。
 原著はシリーズ4作目まで出ているので、早く3作目の邦訳をよろしく!

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする