2016年08月16日

シング・ストリート 未来へのうた/SING STREET

 <『はじまりのうた』を超える名作!>と言われてしまったら観に行かないわけにはいかないではないか。 『ONCE ダブリンの街角で』も結構好きですし、また舞台をアイルランドに戻しての80年代少年たちの音楽青春ストーリーとあれば、きっとジョン・カーニー監督の青春時代も反映されているであろうし。

  シングストリートP.jpg 君といれば、無敵。
   80年代、大不況下のダブリン。僕たちはバンドのPVで、憧れのロンドンを目指した。 爽快! 感涙! 青春音楽映画の傑作、誕生。

 1985年、大不況下のダブリンで、14歳にして人生のどん底を見ることになったコナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)。 父親が失業したため、私立の学校から荒れた公立学校へ転校させられたのだ。 当然のように起こるいじめ、そして両親の不仲はエスカレートと公私ともに気の休まらないコナーだが、唯一の楽しみは音楽好きの兄ブレンダン(ジャック・レイナー)と一緒にロンドンの音楽番組“トップ・オブ・ザ・ポップス”を見て語り合うこと。
 ブレンダンは音楽大学に留学するはずだったが諸事情により頓挫、以降引きこもりを続けているがコナーにとってはよき理解者で、音楽においては師匠でもある。
 そんなある日、学校でもなんとなく仲間ができ始めた頃、学校の門の前でラフィーナ(ルーシー・ボーイントン)という美人に一目ぼれしてしまったコナーは、彼女がモデル志望であることを知り、「僕たちのバンドのPVに出ない?」と声をかける。
 それからコナーのバンドメンバー探しが始まった・・・という話。

  シングストリート5.jpg 最初に声をかけてくれた彼は楽器が弾けないので、プロデューサー兼カメラマンということに。
 お話は大変ベタです。 個人的な感想としては『はじまりのうた』のほうが映画としての完成度はずっと上、だと思います。 それでもこの映画を気に入ってしまう人の気持ちがわかるのは、MTV黄金期というか、PV(当時はビデオクリップとも呼ばれていました)が音楽を変えた!、という時代をちょっとでもリアルタイムで知っているから。 A−HAやデュラン・デュランの音楽とビデオクリップに胸躍らせるコナーの気持ちがわかるから。
 だからバンドのメンバーが結構簡単に集まりすぎだろとか、はぐれ者たちが集まったわりに(急ごしらえのバンドなのに)みんな演奏がうまいじゃないかとか、そういうことは言ってはいけない。 荒れた学校でこそっと過ごしているからこそ彼らは自宅でこっそり練習して、結果的にうまくなっていたんじゃないかと思う。
 音楽を始めるきっかけナンバーワン:女の子にもてたい、をそのまま実践しているコナーだけど、それはやはりきっかけで。 バンドメンバーが集まって一緒に曲づくりをして練習して・・・そんな日々が楽しくないわけがなく。 PVづくりも当時流行のものまねから入って次第にオリジナリティを獲得していく様子とか、無茶苦茶再現率高いファッションとか、もうニヤニヤ笑いが止まりません。

  シングストリート4.jpg バンドメンバーもそれぞれキャラが立っている。 特にコナーとともに曲づくりをするエイモン(マーク・マッケンナ)のなんでもできちゃう感じがすごい!

 彼らのつくる曲がおにーちゃんの与えてくれる課題の影響もろ受けなのには笑ってしまうのだけど(特にザ・クラッシュ、ホール&オーツ、スパンダー・バレエ等)、でもそんな一途なまっすぐさがまさに“若さ”なんだよねぇ。 その直球度合いに胸がキュンとしてしまうのです。彼らのオリジナル曲“UP”のサビにはうっかり涙ぐんでしまいましたよ。
 そしてなにより、ブレンダンが教えるロック&ポップスの真髄<ハッピー・サッド>の精神!
 まさに生きる指針ですよ。

  シングストリート2.jpg ひどい両親のもとに育っても、信頼しあえる兄弟の存在は貴重。
 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』での学園祭の演奏シーンみたいなライブをやりたい!、とか監督とあたしは世代が近いのかな、「わかるわかる〜」ネタが多々あり、そんなこんなですごくコナーを応援したくなる。 でも個人的にいちばん気になるのは兄ブレンダンの将来なんですけどね(音楽評論家として生きていってくれてたらすごくうれしい)。
 ラストシーンはほぼファンタジー展開になってしまって「あれ?」なのだけれど、この物語に現実的な着地点をつけたくない、夢を追いかける姿のまま終わりたい、ということなのかな、と納得。 エンディングテーマをアダム・レヴィーンが歌っていることにもついニヤリとしてしまいました。
 やばいな・・・これもサントラほしいかも!

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 18:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする