2016年08月06日

死霊館 エンフィールド事件/THE CONJURING 2

 えっ、ジェイムズ・ワン監督、もうホラー撮らないんじゃなかったの?!
 そう聞いていたのでびっくり。 しかも『死霊館』の続編だというではないか。
 ではあの<アミティヴィル事件>に踏み込むのか?! これは観なければ、なわけです。
 ちなみに前作は1971年のロードアイランド州が舞台でした。

  エンフィールド事件P.jpg その日、世界は初めて心霊現象<ポルターガイスト>を信じた――

 1977年、ロンドン北部に位置するエンフィールド特別区に住むホジソン一家は、4人の子供を育てるシングルマザーとの5人暮らし。 ある日から家の中で奇妙な物音がしたり、家具が勝手に移動するなど奇妙な現象に悩ませられる。 はじめは泥棒が入ったと思い警察を呼ぶが、巡査も誰も触れていない椅子が移動するのを目撃。 「これは警察の領分じゃない」と教会に連絡するも、教会は確実な証拠がないと動けないから、その予備調査の依頼がアメリカのウォーレン夫妻(パトリック・ウィルソン&ヴェラ・ファーミガ)に入る。
 しかし<アミティヴィル事件>で精も根も疲れ果てたロレイン(ヴェラ・ファーミガ)は今後調査は一切引き受けないと宣言、<アミティヴィル事件>の後遺症に苦しめられていた。 そんな妻を気遣いながらも、もたらされる情報で子供たちが苦しんでいるのを知ったエド(パトリック・ウィルソン)は「事実かどうか判定するだけ」の調査を引き受ける。 それが「夫妻が地獄を見る」始まりだった・・・という話。

  エンフィールド事件2.jpg お二人の再登場はシリーズとしてはありがたいことです。 この次もあるのかと期待してしまう。
 ウォーレン夫妻が実績のある有名人だからお願いする、というのはわかるけど、歴史の長いイギリスにだってそういう<調査員>みたいな人はいないのだろうか?、という疑問が頭をもたげたが、まぁそれを言っては始まらない。 むしろ<教会ネットワーク>が機能していることをさすがと思うべきか。
 で、この映画、大変怖いです!
 舞台がロンドンだということもあり、雨が多いという気象条件や建物そのものの年代的な重み、悪霊(?)がまず子供たちの遊び道具を使って気持ちをつかもうとするなど、底意地の悪さが半端ない。 で、昨今頭打ちのJホラーですが、ジェイムズ・ワン監督はその基本をきっちりと押さえ、更には“視点のぼかし・焦点とのずれ”を利用することによってちら見せの美学:Jホラー要素を底上げ。 子供たちが多いので悲鳴が飛び交ってもそれで観客を驚かしている感じはしないし(むしろ子供たちなら叫んで当然、と受け入れられるし)、いろんな意味で前作よりも巧妙になってます。 でも<家族の愛の物語>という基本テーマは踏襲されてますが。

  エンフィールド事件3.jpg かわいい子供たちを見たら、「平穏な暮らしを送らせてあげたい」ってつい思っちゃうよね。
 しかしあたしにとってなによりショッキングだったのは、あれほどにあやしい美しさを放っていたロレインが、今作では登場からすっかり精彩を失っていること。 常に戦う姿勢を崩さなかった彼女が悪夢に苦しめられ、そこから逃げられずに怯えている。 それがとても痛々しくて、「エド!、なにやってる!」と彼の明るさに八つ当たりをしたくなってしまうほど(勿論、エドのそういうところがこれまで彼女の救いになってきたことはわかっていますが)。
 ベースが実話だし時代的に具体的な記録も残っている<エンフィールド事件>、描かれるポルターガイスト現象はこれまでのホラー映画にさんざん使われてはいるものの、それでも新鮮味を持って描けるってすごい! お約束的描写もありますが、その緩急がよいのかも。

  エンフィールド事件1.jpg いちばんおかしなことが起こる部屋には厳重に鍵をかけて誰も入れないようにしているのに、気がついたらその部屋の中にいることに気づく恐怖って・・・。 ちなみに壁の十字架は、ご近所の方々が持ってきてくれたもの(効果なし)。
 ホジソン一家、特に憑依されてしまう次女のジャネット(マディソン・ウルフ)がすさまじいまでに素晴らしい。 母ペギー(フランシス・オコナー)の愛情深い母親なんだけどどうしても弱さが入り混じってしまう部分とかもリアルでした。
 そして悪霊(?)の正体を暴く過程がさりげなくもちゃんと“謎解き”になっているのもミステリファンとしてはうれしいところ。 多分、<エンフィールド事件>だけを描いたらどこかで見たことのある話になってしまったかもしれないけれど、ロレインが引きずる悪夢も並行して描くことで、ロレインの再起とホジソン一家の団結をだぶらせ、より大きなカタルシスを得る、という感じ。 で、この映画でいちばん心温まるというか印象深い場面は、役立たずとあたしが言ってしまったエドが、ギター片手に怯えるホジソン一家の前で家族の団欒を思い出してもらおうとエルヴィスの真似をしつつ“好きにならずにいられない”を歌うところだったりするので、あなどれないぜ、パトリック・ウィルソン!
 前作よりもエクソシスト(悪魔祓い)感が薄かったのも日本人としてはよかったところかもしれない。 キリスト教者じゃないからなんか醒めちゃうのよね。
 ラストで自分にしかわからないことで苦しめられているロレインとジャネットがわかり合うシーンにほっこりし、「おぉ、ホラー映画でこんなハッピーエンドなんて!」とお気楽にもよろこんでしまったあたしでしたが、エンドロールで実際の<エンフィールド事件>の報道写真が次々出てきて絶句。 映画での再現率、ほぼ100%では・・・。
 それにぞっとして、帰途を辿ることになりました。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする