2016年07月14日

ふきげんな過去

 これはチラシに、いかにも特別(友情)出演的にシティボーイズの三人の名前が載っていたので。 彼らのファイナル(?)公演の作・演出を担当した劇団『五反田団』主宰の前田司郎による脚本・監督作品です。

  ふきげんな過去P.jpg たかが 夏の冒険

 東京・北品川。 家族で食堂を営んで生計を立てている一家の長女は女子高生の果子(二階堂ふみ)。 食堂の準備には近所に住む親戚や料理長などが参加するので家はいつもにぎわっている。 小学生のいとこのカナ(山田望叶)も、いつも果子にべったりで、果子の部屋で宿題をするのが日課だ。 繰り返される、意味の見つけられない日常に果子はげんなりしている。
 しかしある日突然、18年前に死んだと聞かされていた伯母の未来子(小泉今日子)が食堂に「私、生きていたのよ!」と現れる。 果子にはよくわからない事情で前科持ちの逃亡犯である未来子の出現に周囲はうろたえるが、ひとまず人目につかないようにと果子の部屋で寝泊まりすることに。 「そんなのイヤ!」という果子の反論は採用されず(他に部屋がないという物理的な理由)、果子のふきげんさはますます強くなるばかり。

  ふきげんな過去2.jpg たいして広くもない部屋はこんな感じに。
   「この部屋でたばこを吸わないで!」と果子は更に声を荒げることに。

 二階堂ふみに機嫌悪い役やらせるとほんと似合うなぁ、と実感。
 『ふきげんな過去』は“ふきげんな果子(かこ)”と、未来子にとってのふきげんな“過去”とのダブルミーニングか。
 「退屈のあまり死にそう」と果子が言うように、特にこれといった出来事は終盤近くまで起こらない。 弾丸のような言葉遊びを含む台詞の応酬でそこまで引っ張るけれど、だからといってものすごい大事件が起こるというわけでもなく(でも大事件だったのかな・・・映画の中の価値観基準では大したことではないように思えてしまったから)、それでもほんのちょっと、果子が不機嫌さから脱する一瞬があり、そこに向かうための青春映画だったんじゃないかな、という気がしている。
 果子の70年代風レトロファッションがかわいいんだけれど、未来子が過去に携わった犯罪が爆弾がらみだったり、映画的にもはっきりと時代は設定されていなかったので、実は70年代レトロではなく、リアル70年代だったのかも。

  ふきげんな過去1.jpg 未来子お手製の爆弾の処理に立ち会う三人。
   よく考えたら結構すごいことだが、劇中では緊張感もなにもあったもんじゃなかったのがシュールだ。

 まだ若い、これからの人生が長いほうが果子(かこ)という名前で、18年前という時間の中に取り残されている方が未来子(みきこ)という名前だなんて、なんとも皮肉。
 小泉今日子(あ、彼女は現在を表す名前だ)もまた、二階堂ふみとは違う種類の不機嫌演技(+けだるさ)が似合ってしまっているので、もうこのキャストありきの映画だったのかな、と思う。 この二人とカナちゃんの三人のシークエンスが多かったしね。
 そしてやっぱりシティボーイズのお三方は、特別出演レベルでした(大竹さんに至っては果子の亡くなった祖父、という遺影だけのご参加。 まともに台詞があったのは―それでもろくな台詞じゃなかったが―きたろうさんだけ、斉木さんは通りすがりのご近所さんでした)。
 でもこんな東京のすっきりしない下町感には、ちょっと懐かしさを覚えてみたりして。
 やっぱり“舞台っぽさ”はちょっとあるんだけど、実際に川の水の流れが目に見えるかどうかでずいぶん印象は変わってくる。
 この物語には川が絶対必要だった。 だから映画だったのかなぁ、と思う。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする