2016年07月05日

二ツ星の料理人/BURNT

 ブラッドリー・クーパーはキライじゃないが、あたしの目的はまたもやサポート役っぽいダニエル・ブリュールなのです! 料理もの映画も好きですし。 それだけで、前知識なく鑑賞。 そうしたら、オープニングクレジットに絶句。
 二人の他に、シエナ・ミラー、オマール・シー、ユマ・サーマン、エマ・トンプソンの名前が! しかも脚本はスティーヴン・ナイト、監督はジョン・ウェルズ! 何、この布陣! 料理同様、職人が集まってつくりました、みたいな感じですか?!

  二つ星の料理人P.jpg 本当の最高は、ひとりじゃできない。

 料理の腕は確かながら、生来の俺様体質が災いしてトラブルを起こし、キャリアをダメにした人気シェフのアダム・ジョーンズ(ブラッドリー・クーパー)はパリの二ツ星レストランから姿を消し、牡蠣の殻むき100万個を自らに課していた。 そしてそれが完了したとき、再び店を開こうとかつての友人で店主だったトニー(ダニエル・ブリュール)が現在いるロンドンのレストランに乗りこむ。 あれから3年がたち、失意のもとパリの店を閉めたトニーは父親がオーナーをしているホテルのレストランの支配人となっていたのだ。
 かつての恨みは忘れていないトニーだったが、アダムの料理の腕を信じているのもまた彼で、葛藤の末、トップシェフをアダムに任せることに(勿論そのために、アダムも悪知恵使いまくり)。 今度こそ三ツ星を狙うんだとかつての同僚ら最高のスタッフを集め、華々しく新店をオープンさせるアダムだが・・・という話。

  二つ星の料理人2.jpg トニーは支配人でありながら最高のメートル、という役どころ。

 常にスーツ姿なのがかっこいい! しかも、ダニエル、ゲイの役って珍しい!、とニヤニヤしてしまったならば、まだ登場してからちょっとしかたっていなく、具体的にそれと示す描写はまだなかったのだ(しばらくしたら控えめなのが出てきます)。 何故気づいたのだろう、あたし! そういう空気感をさりげなく漂わせる役づくりってわけ! うますぎるわ!
 ロンドンもかつての「料理なんておいしくない」という汚名を返上し(様々な国からの移民がいてその国の素材や料理が身近になったということも関係しているよう)、特に高級レストラン業界は世界に通用するレベルになっているようだ。 フレンチのトレンドの先端を走りすぎていないところもあたし的には好感が持てる(でも若干、お皿の上が地味かな・・・という気がしないでもない)。 とはいえ、追求すべき第一要件は味である。

  二つ星の料理人4.jpg 完璧主義なのは素晴らしいが、ものには限度というものが。

 自分の気に入らないからと調理台から料理の載ったお皿を全部払い落すようなシェフは、どんなにおいしい料理を出そうともあたしは好きになれないが(食材も食器ももったいない)、まぁそれがわかりやすく癇癪の発散を表す手段として使われてしまうのは仕方ないのかな。
 料理監修にマーカス・ウェアリングの名前があったので、「あぁ、モデルはゴードン・ラムゼイですか」と納得(『ヘルズ・キッチン』という過激すぎる『料理の鉄人』のような番組で、料理が気にいならければ皿を投げ落とし、若手シェフをこてんぱんにしていたからさ)。
 アダムの長年の宿敵リース(マシュー・リス)もまた、自分のほうが上だと思っていたのに、そうではないかもという危機感を前にすると店のテーブルを全部ひっくり返す。 リースのスポンサーが「シェフって人種はほんとに子供だな」とため息まじりに呟くのだが、職人というものは多かれ少なかれそういう部分はあるのかも。 自分の腕にそれなりの(相当の)自負があるからこそ、それが脅かされれば足元が崩れおちるような不安に襲われる。
 常に素晴らしい職人であり続けながら第一線のアーティストでもなければいけない、そのプレッシャーはいかほどのものか。
 ちなみにリースくん、あたしこの人絶対知ってる、しかも日本語話してたから海外ドラマに出てた・・・と一生懸命思い出していたら、ひらめいた! 『ブラザーズ&シスターズ』の三番目の弁護士の弟くんだ! 彼に再会できたのもうれしかった。

  二つ星の料理人3.jpg だからこそ、そんな自分を支えてくれる仲間がいれば、それは最高のチームになる。

 客としても、料理がどんなにおいしくてもお店の雰囲気がぎすぎすしていたらおいしく感じないし、同じぐらいの味のレベルなら穏やかで落ち着けるお店の方に行きたいですしね。
 ただ、ミシュランの星がすべてじゃない、とあたしは思う。 アダムは三ツ星を目標にしていたからそういう生き方のなってしまったのだが、星にこだわらなければもっと自由な料理人になったような気もするし、でもそういう目標があったからこそ高みを目指せたのかもしれないし、それは結果論ですが。
 すっきりさせない結論、けれど爽やかな幕切れ。 アメリカ映画なんだろうけど、まるでヨーロッパ映画のような味わい。
 まったくこの映画も、職人芸だぜ。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする