2016年06月12日

素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店/DE SURPRISE

 ブリュッセルだからベルギー映画かと思っていたら、オランダ映画でした・・・。
 意外に珍しくなかったのか、最近公開が増えたのか、どちらでしょう。 でもよく考えたらポール・バーホーベン監督もオランダ出身だったなぁ。

  素敵なサプライズP.jpeg 今すぐ<逝き・行き>たい!?

 オランダの大富豪の息子ヤーコブ(イェロン・ファン・コーニンスブルッヘ)は、幼少時に父親の死を体験してからずっと生きている実感がつかめず、ぼんやりと生きていた。
 大人になっても、母の死に際の言葉にも救いは得られず、自殺しようとするが次々失敗。 崖から身を投げようと遠出した際、自殺幇助のサービスを行う会社の存在をたまたま知り、ベルギーのブリュッセルに向かう。 その代理店は表向きは旅行プランを提供する会社なのだが、実際の売り物は「最終目的地への特別な旅」、つまりは死への旅だった。
 早速ヤーコブはどのタイミングで死ぬかわからないサプライズコースを申し込むが、同じコースを選んでいたアンネ(ジョルジナ・フェルバーン)と出会い、いつ死ぬのかわからないスリルが生きている実感を伴うことを知る。 もう少し生きてみたくなったヤーコブだったが、その契約はキャンセル不可能だった・・・という話。

  素敵なサプライズ3.jpg バックはヤーコブくんのお屋敷。 ほとんどお城。 沢山の使用人が働いているのだが、自分はそのうち死ぬからと全員に暇を出す。 彼らの生活の糧を奪ってしまったことに気づかないほど、浮世離れしすぎのおバカである。
 <死>というデリケートなテーマを扱いながらもしっかりラブコメなのがお国柄というか、日本ではなかなか作れないタイプの映画だなぁ、という印象(確かベルギーでは尊厳死の権利を法律が保証している)。 ぼんやりくんのヤーコブは、仕事相手としたらめちゃくちゃ腹が立つタイプだけれど、恋愛相手としてならチャーミング(それは優しく穏やかで繊細ということだから)。 まして同じ立場のアンネと出会って共感を覚えてからは彼の感情がメキメキと目覚めていくのがわかる。
 また映像表現も面白く、明らかな特殊効果ってわかるものではないんだけど、ちょっとしたタイミングのずれやアングルでクスッとした笑いがとれる感じが結構好きです。

  素敵なサプライズ1.jpg 二人同時に事故に巻き込まれそうになって・・・でも無事助かっちゃって、いろんな意味で驚きを隠せない二人。
 で、<サプライズ>は突然やってくる死の方法方面かと思いきや、ストーリー自体がサプライズだったという意図しない驚きの展開に。 それがちょっとずるいといえばずるいのだけど、ヤーコブの家にずっと仕えていた執事の方の人間性に免じて許してあげようかなぁ、という気になります。

  素敵なサプライズ4.jpg ずっと支えてくれた人の思いを、ヤーコブはやっと感じ取れる人間になった。
 なのでぼんやりくんの遅れてきた自我の目覚め(?)を描いたものでもあるんだけれど、本質は誰かを思う無償の愛情の存在を描くことだったりする。 それもかなりひっそりと、さりげなく。
 アメリカやイギリスのラブコメとはまたちょっと違う、不思議テイストのラブコメはキュートでなかなか新鮮でした。 でもこの禁じ手は、もう二度と使えないかな〜。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする