2016年06月30日

本日、ゾンビのため

 またまた貧血の大波がやってきました。
 それでなくとも最近の蒸し暑さで些かダウン気味のところ。 低体温のあたしには堪えていたのでありますが、それに加えて貧血まで来ちゃったらアウト、なのであります。
 仕事場に電話し、「遅刻します。 でも行けるのは何時になるかわかりません」という非常に不審な連絡をする。 だって自分でもいつ起きれるかわからないんだもん!
 ほんとは仕事を休みたいところだったが、月末月初を控えた週末、休めない。 とりあえず少しでも、仕事場に行かねば!
 なんとか起き上がるまでに数時間を要し、歩き出せば壁にガンガンぶつかる始末だが、なんとかギリギリ午前中に家を出る。 駅まで急ぎたいが走るなど怖くてできないので、階段を下りている間に電車に行かれてしまったが、素直に次の電車を待つ。
 なんとか仕事場に着けば、ちょうどお昼時ぐらいだったのでオフィスには人が少なく、いる全員に「顔色悪いよ」・「顔、死んでるで」と言われ・・・まぁ、仮病ではないとわかってもらえるのはいいことだ。 結局、本日午前半休ということにして、休憩時間もちょっと多くとりつつ、ゾンビのような動きで仕事をする。
 スタートが遅いので、必要最低限の仕事に絞っても、結局ちょっと残業・・・明日に響かなければよいが。 多分この土日は寝込んで過ごすことになるだろうなぁ。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 体調 好不調の波 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月29日

今日は3冊!

 いつのまにやらもう6月もほぼ終わり。
 なんでこんなに時間が過ぎるのは早いのか・・・。

  クリフトン5−1.jpgクリフトン5−2.jpg 剣より強し<クリフトン年代記第5部>/ジェフリー・アーチャー
 ぎゃー!、<クリフトン年代記>もう第5部が出るとは!
 確かはじめは「全5部構想」とか言っていて、そのあと「7部構想に拡大」となったはずだけど・・・ほんとに7部で終わるのかも心配になるくらうの勢いなんですけど。
 訳者の戸田さんはケン・フォレットの歴史シリーズも訳しているから、時代がかぶるこのシリーズへの調べが少なくて済む、というのもハイペ―ス刊行の理由かもしれないが・・・そもそもジェフリー・アーチャーが書くのが早い人だったんだった。

  それでも日本人は.jpg それでも日本人は「戦争」を選んだ/加藤陽子
 単行本刊行当時、相当話題になりましたが・・・結局読んでいなかった。
 自虐史観と反自虐史観、という立場が明確になったいまならば、どちらにも寄りすぎない「自分の意見」で読めるのではないか、と思ったりして。 それに、あくまで<史観>は個人の考えに過ぎない(同じような考えの人がどれだけ多く集まるかが問題)。
 ・・・単行本と表紙の印象が同じだなぁ。 これは手抜きなのかイメージを壊したくないのかどっちだろう。 題名自体が結構煽情的だから、そっちで十分いけると思うんだけどな(聞いたらなかなか忘れないタイトルでしょ)。 もっと抽象的な表紙のほうがよかったんじゃないかな。

ラベル:新刊
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 買っちゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月28日

おや、こんなところにも。

 今日も帰りが遅くなってしまった。
 まだ週の前半なのにやってられないわ〜。
 しかも雨が降るんだか降らないんだか、数時間で天気予報がころころ変わるのはなんなのかしら。 湿気はしんどいですが、気温が思ったよりも上がらないので多少助かっております。
 で、夜の帰り道。 家の近くは比較的木が多く、朝は結構鳥の声がにぎやか(でもヒヨドリは業者さんが葉っぱを刈り込む時期以外はなかなか姿を見せてくれない)。
 夜はだいたい猫との遭遇が多いのですが、今日はひらっとはばたくものが。
 ・・・あ、こんな近くにコウモリいたんだ!
 かつて、大通り沿いの街灯周辺で目撃したことは多々ありましたが、家の近所では初めてです。 季節の問題? タイミング? 実は結構近くに巣があるのか!?
 商店街のアーケードにはツバメがよく巣をつくっていますが、これも北東北ではあまり見なかった現象だな・・・。 むしろ大都市のほうが野生生物との接点は近いと思う。 田舎ではそれなりに、人と野生生物の棲み分けがなされていたのかも(コウモリなんて海岸近くの岩場の隙間の洞窟のようになっているところに行けばいっぱいいるのは知っているけど、わざわざそこまで行く必要性がない)。
 自然が豊か、とかの定義ってよくわからない。 動物たちは変化した環境に適応して生きているだけ。 変化させているのは人間。 多くの動物に出くわすことが「自然に近い」ということならば、都市はもう自然の一部だ。
 ・・・しかしあたしは、まだその感覚に慣れない。

ラベル:季節もの
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 季節のこと/街の中の自然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月27日

今回は8冊(その2)。

 残りの4冊がこちらです。

  美食探偵明智五郎2.jpg 美食探偵 明智五郎 2/東村アキコ
 すっかり最近東村アキコにやられている気がするが・・・ミステリとしては雰囲気重視、そもそもコメディ路線なのでそこは文句を言う筋合いではないと思うのですが、明智探偵と“彼女”の関係がちょっと『黒蜥蜴』を彷彿とさせるものがあり、そこが気に入ってます。
 この2巻はまだ読めてないけどね!

  一千億の針【新版】.jpg 一千億の針【新版】/ハル・クレメント
 先日出た『20億の針』【新訳版】の続編なれど、こっちは新訳ではない。
 そんなにまだ古びてはいないということなのか。 むしろ『20億の針』のほうがこっちに合わせるようにして訳されたのではないか、疑惑が。

  過去を殺した女.jpg 過去を殺した女/エルスベツ・イーホルム
 こういう絵画タッチの表紙にレトロ時代のミステリみたいなタイトルの組み合わせ、なんかずるい! しかもデンマーク作品ということで、やはり北欧に弱いぜ、あたし!

  黒白3.jpeg 黒白(こくびゃく) 下/とりのなん子
 ついに最終巻が! <ゆきおんな伝説>の結末は!
 読みたいんだけど、なんかもったいなくて読めない・・・。

ラベル:新刊 マンガ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 買っちゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月26日

今回は8冊(その1)。

 たまっていた映画の感想を全部ではないけれど、ある程度アップできたので、今度はたまってきた本についても。 今回は一回で買ったわけではなく、ちまちまと買っているうちにこうなりました、です。

  邂逅.jpeg 邂逅 シドニー州都警察殺人捜査課/キャンディス・フォックス
 最近、オーストラリア発のミステリも熱い。 ジャンルとしては警察小説になるでしょうが、シドニーの海の底で見つかった箱の中に傷だらけの少女の死体が。 そして周囲には、合計20個の箱が・・・という発端だけでも「おおっ!」と思わせられたことに期待。
 あ、先日乱丁本を買ってしまった『埋葬された夏』ですが、一週間ほどで新品が届きました。 しかも定型文ではないお手紙付きで。 だから東京創元社って好きさ!

  やじきたF−1.jpg やじきた学園道中記F(ファイナル) 1/市東亮子
 ファイナル、と銘打ちながらもまだ2・3年は続くそうです・・・だったら何故タイトルを変える必要があるのか? これまでだって『○○編』という形で連作でやってきたのに。 昔読んでいた世代をひきこもう作戦でしょうか・・・。

  数寄です3文庫.jpg 数寄です!【文庫版】参/山下和美
 数ページの書き下ろしマンガのために結局買ってしまうんだな・・・。

  ポケットマスターピース ポー.jpg ポケットマスターピース E・A・ポー
 前回のスティーヴンソンの次回告知に名前を見て「内容によっては買うかなー」ぐらいの気持ちだったのですが(その時点では内容は一切載っていなかった)、鴻巣友季子編・桜庭一樹による翻案2作収録、しかもポー研究家池末陽子氏が編集協力とあれば、ある意味、現時点での最高のエドガー・アラン・ポー全集(一冊モノとして)ではないでしょうか!

ラベル:新刊 マンガ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 買っちゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月25日

君がくれたグッドライフ/HIN UND WEG

 タイトルだけでどんな内容かだいたい想像がついてしまうダサい邦題であるが、それくらいの方が受けるのだろうか? 確かに有名な俳優さん出てないし、ちょっと地味なヨーロッパ映画だし、宣伝も難しいかとは思いますが。

  君がくれたグッドライフP.jpg 最期の旅は、泣かないと決めていた――

 年に一度、5日間の休暇をとって自転車旅行に出かける6人の仲間たち。
 行先はメンバー持ち回りで決めて、今年はハンネス(フロリアン・ダーヴィト・フィッツ)とキキ(ユリア・コーシッツ)夫妻の番だった。 行先はベルギーと聞いて、名物はチョコレートくらいしか思い浮かばない仲間たちだが、いつも通りの楽しい旅行は次第にハンネスの不調が伝わるにつれ、違う様相を呈しはじめて・・・という話。
 あまり細かい説明はないので、このメンバーは多分大学時代のツーリングサークルかなんかの繋がりで今までずっと友だちできたんだろうな、と推測。 だから旅行中の彼らの言動はかなりガキっぽくお下品なところもあるのだが、気持ちは大学生なんだから仕方がない、という感じ。

  君がくれたグッドライフ3.jpg 途中、雨に降られた後の場所で一人がすっ転び、はしゃいだ結果、結局全員が泥まみれに。
 まぁ、そんなバカのことをやりあえる友だちという存在は貴重なんでしょう。
 今は全然乗ってないけど、地元暮らしのときの足は自転車だったあたしとしては、別に遠くまで旅はしないけど、片道一時間ぐらいは普通に自転車で移動していた過去がよみがえりました。 自転車を走らせているときの風景の動きとか。 あと、メンバーの一人がラジカセを積んでBGMを流しながら走るという感覚が、大学生のとき実家に戻る際にJRの普通列車を乗り継いで、ウォークマンで音楽を聴きながら車窓を眺めていたことなどを思い出させてくれて、しかも彼らの走る道が人工物の少ない田園風景が多かったこともあり、個人的にノスタルジーが刺激されてしまいました。
 あぁ、時間を気にしない移動っていいなぁ。
 しかしこの映画はそんなのんきなロードムービーではないのである。 実はハンネスは筋萎縮性側索硬化症(ALS)と2年前に宣告されており、半年ほど前から急速に病状が進行。 父親も同じ病気でなくなっているためこの先自分がどうなるかよくわかっているハンネスは、尊厳死を求めてベルギーを目的地にした、ということが旅の途中でわかり、仲間たちはそれをどうやって受け入れるのか、がもうひとつのトピック。

  君がくれたグッドライフ2.jpg そしてハンネスの意志を尊重してついてきた妻キキの、語られない苦悩と不安。 夫妻の愛の深さと強さもまた見える。
 いろいろ、あえて語らない(愁嘆場をつくらない)のがこの映画のいい意味での軽さではあるのだが、きっと感動して泣きたい人にとっては物足りない結果になることでしょう。
 個人的にはこのあっさり感が結構好きだったりするのですが(でも行間は重たいけど)。
 しかしあまりにベタすぎるラストシーンはちょっとダサいんですけど!、とつい思わずにはいられないのだけれど、それも仕方のないことかもしれない。 だってかつての大学生の気持ちのままなんだから。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月24日

シチズンフォー スノーデンの暴露/CITIZENFOUR

 いわゆる2013年に世界に激震が走った『スノーデン事件』について、その頃のあたしはニュースをきちんと追いかけていなかったので、部分的な印象だけが残っている。 つまり、「元NSA職員が機密情報をリーク」・「ロシアに亡命、ってことは旧ソ連のスパイ?」的な。 ウィキリークスのごたごたもあったし、どこまでが本当でどこからが本当じゃないのか、判断する術はなかった。 でも本当にスパイならここまで名前と顔が全世界に広まることは避けるはずだし、とりあえず殺されなくてよかったですね、と思ったのだった。
 で、この映画。 なまわかりにもなっていないこのことについて詳しくわかるかもしれない、と考えたのは事実である。 でもこの種のドキュメンタリー映画はスピードが命。 本国で2014年に制作されたこの映画の日本公開が2016年って・・・問題なく上映するためにはそれだけの時間が必要だったのだろうか、とかつい考えてしまう。

  シチズンフォーP.jpg 国家は、あなたを監視している。

 そもそもこの映画、イラク戦争やグアンタナモなどアメリカ政府の矛盾を批判するドキュメンタリーを撮っていたローラ・ポイトラス監督本人にスノーデン氏が接触をとったところから関係は始まっている(そのときは当然匿名だし、メールの暗号化の相談からスタートしている用意周到さである。 ちなみにドキュメンタリーの内容から、監督自身も政府から監視され、様々な妨害を受けてきたらしい)。
 だから<スノーデン事件>を総括する後追い映画ではなくて、リアルタイムで進行する様子を映し出す『24』手法なのである!
 動いて喋るエドワード・スノーデン氏はこちらの予想よりはずっと若かった。 けれどCIA・NSAにいたというその経歴から、気持ちをあまり表情に出さないような訓練をしているのだろうか、と感じるほどに彼はその場にいる誰よりも冷静に事態を把握し、その重要性・危険性をわかっていながら、誰よりも静かな笑顔をたたえ、態度も言葉も丁寧だった。

  シチズンフォー2.jpg むしろ動揺しているのは英ガーディアン紙の記者の方。 ちなみに彼らが実際に会ったのは、香港のあるホテルの一室。
 こっちは事情をわかっているからだんだん彼も動揺していることが見て取れるんだけど、それを知らなかったら何もわからないままかもしれない(しかも彼は不安の理由を「恋人が心配で」などときちんと言語化する。 コンピュータおたくにありがちの、合理的かつ理性的なタイプだった)。 たとえどんな心情であっても、キーボードをたたく手のタッチの軽快さは変わらない。 もしくは、それが彼の理性を保つための手順だったのかもしれない。
 携帯電話のSIMカードを抜く、ぐらいは常識だと知っていましたが、「IP電話も普通に盗聴されてます」とさらっと言われると「あぁ、ネット回線使っているもんね」とあっさり納得してしまう自分もいる。 すべてがデジタルに変わってしまったことで、勿論便利にはなっているけど逆にとってもまた便利なのだということ。 むしろアナログ時代のほうがそういう面では安全だったんだろうな。
 ときどき、「はっ、リアル『ジェイソン・ボーン』か!」と思ってしまう瞬間があったりする。
 最初にCNNがニュースを流したときもキャスターは「ジョン・ル・カレの小説のようだ」とも言っていたしね。 やはり人はショッキングな事実に出くわすとフィクションと比較してしまうようです。
 そして、香港のホテルで彼が持っていた本は『HOMELAND』だった(あのドラマの原作本なのかどうかはわからない)。 けれどドラマ『HOMELAND』のシーズン5のオープニングで、「スノーデンは卑怯だ」というどこかのニュースから採ったらしい誰かの言葉が入っている。 なんて皮肉だ。

  シチズンフォー3.jpg CNNやガーディアンの一連のスクープ後、彼は<国家による監視>反対派のアイコンに。 彼以外にも<国家による監視>は存在しているといっている人たちはいたのだが、彼ほどリアルな証拠を提示できていなかったのだろう。
 つまりはスパイ行為を働いていたのはアメリカ政府側の方で、なのにそれを告発した彼のほうがスパイ呼ばわりされる不可解さがまかり通る<国家>というもののおかしさの話なのだ(勿論、そのことは誰よりも彼がいちばんわかっていたが)。 国連の仲介が入り、彼はジュリアン・アサンジ氏と同様、エクアドルに行く予定だったようだ。 しかし、彼はロシアにいる。 アメリカの“手”は逃れたかもしれないけれど、ロシアが彼の安住の地だとは思えなくて、いろいろと重苦しい気持ちになった。
 確かに<テロとの戦い>の現場にいる人々にとっては些細な情報が生命線になることもあるだろう。 “愛国者法”を前にしたら個人に対する“些細な”人権侵害など取るに足らないと思えるかもしれない(実際、テロ後のボストン市民たちの中には「テロを起こされるぐらいなら多少の人権侵害は気にしない」と発言した人もいたらしい)。
 だが、どこで線を引くのか。
 盗聴・監視の網が世界中に広がっている現在、何をどうすれば元通りになるというのか。
 『パーソン・オブ・インタレスト』はそんな現在を好意的に解釈しようとした物語だったけど、シーズンが進むにつれダークな内容になっていっているのは、だんだん事態が現実に近づいているということなのかもしれない。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月23日

4日遅れの、衝撃。

 今週はとてもハイスケジュールで、PCを開く余裕もありませんでした。
 仕事終わって家に帰って、シャワーからあがったら12時過ぎるか過ぎないか、みたいな状態で。 だからニュースからも遠ざかっており、イギリスの国民投票がこんなにせまっているという自覚もなく(そろそろだよなぁという気持ちはありましたが)。
 だけど、このニュースには背中を刺されたぐらいショックだった。

  米SF映画「スター・トレック」シリーズで宇宙パトロール船の操縦士
  パベル・チェコフ役を演じた俳優、アントン・イェルチンさんが19日、
  ロサンゼルス市内の自宅前での事故で死亡した。27歳だった。
       <CNN.co.jp 6月20日(月)9時53分配信>

 ・・・一瞬、意味がわからなかった。
 そして瞬時に、「なんでだよ!」と怒りが湧き起こる。 形は違えど、自動車事故でポール・ウォーカーをなくしたばかり。 なのに更に、アントン・イェルチンまでつれていくのか!
 有名になったきっかけが『スター・トレック』『ターミネーター4』だったから、ビッグバジェット映画に出るハリウッド俳優という印象なのかもしれないけど(だからこそこうやって世界中にニュースが配信されたともいえるのだが)、彼の俳優としての本領は『チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室』のようなインディペンデント系作品でより発揮される。 クーンツの『オッド・トーマス』シリーズがそれなりに観られる映画になったのも、彼の魅力があってこそ。 『君が生きた証』でも繊細で優しい、それ故にぶつかる音楽青年そのものだったし。
 つまり、彼は近い将来、映画祭で俳優賞を獲るような、それこそアカデミー賞にノミネートされるような人なのだ。 ジム・ジャームッシュと仕事してたし、アメリカ映画だけでなく、これからヨーロッパ映画にも出ていくような人なのだ。 というか、あたしはそう思っていた。
 そう思っていたのだ・・・。
 結局『スター・トレック』の3作目が彼の最後の作品になるようだ。
 残念だ、残念だ、残念だ。 悲しすぎる。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題・ニュースに思うこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月22日

探偵ミタライの事件簿 星籠の海

 あぁ、これも早く観に行かないとやばいぞ(終わっちゃうぞ・無理な時間帯に移動されちゃうぞ)、という空気がひしひしと。
 しかしシアターにはあたしよりもずっと年上の女性グループが一般的にいちばんいい位置に陣取って上映前はずっとお喋り。 失礼だがミステリーファンには見えない・・・もしかしてこの方たち、『あさが来た』で新次郎さんファンだったとか!
 すごいな、玉木宏! まずはそれにびっくり。
 さらにびっくりだったのは監督が和泉聖治なのに、カットやアングルなどに『相棒』っぽさがまったくなかったところ。 オープニングクレジットなんか完全に別物で、「えーっ、もしかしてスタッフ総取換え?!」と思うほど(音楽担当の方が違うので、その印象も大きかったかと)。

  星籠の海P.jpg 謎を愛する、天才脳科学者。 趣味、探偵。

 94分というテレビ放送に際してカットする必要のない上映時間、ということもあるのか、大変テンポよく話は進む。 テンポよすぎて「原作読んでない人はお断りか?!」と感じてしまうほど。 もしくは、御手洗さんの思考が真相にまっすぐ飛びすぎて常人は誰もついていけないレベルだということを表現したかったのか?(おかげで石岡君がついていけない理由がすごくよくわかった。 そしてまぬけなリアクションになってしまうのも)。 しかし残念ながら今作には石岡君は登場せず、電話の声のみ。 でもその声はどう聞いても堂本光一じゃなかったんだよな・・・あのコンビ設定はテレビだけ? それとも二言三言だけでは仕事してもらえないってこと? それともギャラ問題か?!、などといろいろ妄想してしまいました。

  星籠の海2.jpg 友情出演:寺脇康文

 せっかく“『相棒』テイスト”から脱却しているのに、ほとんどすべてを台詞で説明してしまっているのが非常に残念!
 絶対、原作未読の人は謎解明が消化不良になっていると思う。 あ、原作設定とは違って舞台は現代になっているので、瀬戸内海の潮の動きはコンピュータシュミレーションになっていますが、あの模型を実際に見られたのはうれしかったかな。 でも携帯電話の出番が原作より少ないのが皮肉といえば皮肉。

  星籠の海3.jpg星籠の海4.jpg その分、外見的リアルを追究したのか、役者さんたちそれぞれメイクダウン。 要潤は男前度半減させられ、石田ひかりに至っては「どうしたんですか!」と聞きたくなるくらいの老けっぷり。 それもこれも、玉木宏をひきたてるためか。

 謎はそのままなんだけど、その背景がスケールダウンというか・・・日和ったな!、と感じさせるところがまた残念。 実在する巨大集団を扱ったらめんどいことになるのか? 犯人が原作と違うことは必ずしも悪い結果ではない場合もあるのだが、残念ながら今回はしょぼさにつながってしまった感じ・・・。

  星籠の海1.jpg 玉木宏ファンのための映画ではあるが、御手洗潔ファンのための映画かどうかは・・・計算された無造作ヘアが若干茶髪がかっているのも御手洗さんらしくないといえばらしくないしな(染めてない、真っ黒い髪のイメージなんで)。
 それでも、「このシーンは映像として絶対必要でしょう!」という場面がエンディングとして現れたとき、ようやく安堵感というか、「これがなかったらどうしよう」という気持ちにさせられたことは確かで、とても美しいエンディングなのだからそれをもっと活かすためにそれまでをもうちょっとなんとかできなかったのか、と思ってしまった。
 これもまた『スキャナー』同様、シリーズ化のハードルは高そうだな・・・。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月21日

デッドプール/DEADPOOL

 「もうアメコミヒーロー物、飽きた・・・」と言っておりましたが(ていうかどれか見逃すとつながりがわからなくなるし・・・)、たまたま時間があったので観てしまいました。
 なんでも、ライアン・レイノルズ自ら待望の企画だったそうで、別に彼のこと好きでもなんでもないんですが(ひどい)、ジャンルに関係なく、「誰かの強い熱意が集まって出来上がった映画」の持つ熱量がバカにできないことは経験上わかっています。
 それにつきあってみるのもいいかなぁ、と思ってみました。
 うん、やっぱり爽快なほどにバカだった。

  デッドプールP.jpg 呼んだ?  クソ無責任ヒーローですけど、何か。

 ウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は、以前は優秀な特殊部隊員だったが、辞めて日常に復帰してからは弱虫として生きるしかない人々の復讐代行人として小銭を稼ぐ日々。 出会って一気に盛り上がった運命の恋人との生活も順調で結婚を決めた彼らだったが、突然、ウェイドに末期がん宣告。 彼女に衰えゆく姿を見られたくない、と姿を消した彼は、何故か謎の組織から「ミュータントになる実験に参加しないか。 そうすれば結果的にガンも根治する」という誘いを受け、乗る。 長く苦しい実験の結果、彼は不死身の肉体と更なる脅威の運動能力を持つことができたが、代償として全身がケロイド状に。 この姿で恋人のもとに帰ることはできないと、実験を指揮した男(エド・スクライン)への復讐を(そして自分の外見を元通りにさせることを)誓うのだった・・・という話。
 オープニングから映像的なすごさとベタなギャグ全開。
 <ミュータント>という単語が最初のほうに出てきたので『X−men』と関係あるんだろうなとは思ったけど・・・。 そもそも彼はただ単に特殊能力を持ってしまった、というだけで、ヒーローでは最初からないし、なる気もない。
 “特殊能力=ヒーロー”という図式そのものはどこから来たのか?、と考えさせられるいいきっかけであった。

  デッドプール3.jpg その背中の二本の刀、忍者っぽいのでやめてもらっていいですか・・・。 何故赤いコスチュームなのかといえば(自分でミシンで縫った手作りだ!)、白だと血が流れたらときに目立つからとコインランドリーで遭遇したおばちゃんの助言によるものである。

 でもその気合と覚悟はR15+承知なところに現れていて、グロくても残酷でも振り切ってやる爽快感はあります。 そして、『デッドプール』の存在意義は、これまで積み重ねてきたマーベルヒーロー映画の真面目くさった「世界平和のために」とかなんとか悩みすぎるヒーローたちに肘鉄をくらわせたこと。 セルフパロディの域を越え、「そもそもアメコミって、そんなんじゃなかっただろ?」という自己認識。
 勿論、それが活きるのは他のヒーローたちがいるからなんだけど、という自己矛盾すらもギャグにする。 メタフィクション意識があるならそれはそれでたいしたもんですし、天然ならそれはそれで。

  デッドプール2.jpg 結局のところ、ラヴストーリーという体裁をとった「どんなに変わって見えても自分を受け入れてほしい」というヘタレ男子の願望&妄想話だったりするのがね。 その自己承認欲求は、日本の少女マンガの映画化と似たものがある気がしないでもない(男子と女子で方向性が違うだけ)。
 結局のところ、悪役の存在はよくわからないし(一体何を目的にそんなことしてるの?)、説得されてもデッドプールはX−menに入らないし、シリーズ化したいのかどうかもよくわからないけれど、「とりあえず振り切ってみました!」と言いたいだけなんだろうな、きっと。
 でもそれを観客は爽快と感じてしまうんだな、これが。
 そう、結構楽しめてしまったのでした。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月20日

海よりもまだ深く

 映画館でチラシを見た時、「これって『歩いても歩いても』の変奏曲?」・「是枝監督、最近ペース早くない?」というふたつの疑問がほぼ同時に沸き起こった。
 なんとなく、ドキュメンタリータッチの内容で無名の役者を使う感じだった初期の作品群に比べると、『誰も知らない』のあとの『花よりもなほ』以降は有名な人を使うようになったし、ここ最近は同じ俳優さんを続けて起用している。
 やっぱりその方が楽だからなのかな? そして宣伝上手なフジテレビと組み続けているからかな? 作品を観る前から、そんなマイナスイメージを持ってしまった(それは個人的に『海街diary』に対する恨みが残っているからか?!)。
 ていうか、主題歌がハナレグミってだけでもうずるいんですけど!

  海よりもまだ深くP.jpg 夢見た未来とちがう今を生きる、元家族の物語。

 15年前に文学賞を受賞し、そこそこ売れた小説家としての過去はあれども、二作目が書けない良多(阿部寛)は、「これは小説のための取材」と言い訳がましく現在は調査専門の探偵事務所で働いている。 良多は離婚した元妻の響子(真木よう子)と息子の真悟(吉澤太陽)に未練たっぷりで、また小説を書きあげて認められれば家族が再生できると思っている節があるが、月に一回の面会日にも約束の養育費を渡すことができないほどだらしない生活を送っているのに、響子に恋人ができたことを知ると動揺して尾行してしまうほど情けなく、探偵事務所の若手所員(池松壮亮)に笑われる始末。
 一方、良多の母・淑子(樹木希林)はふがいない息子にあきれつつも無償の愛情を注いでおり、妹(小林聡美)は兄がなにか母につけこむのではないかと警戒している。 そんな、よくありそうな家族の物語。

  海よりもまだ深く1.jpg 樹木希林と小林聡美が母娘だなんて反則過ぎるキャスティングでしょう! 辛辣な会話がポンポン飛び出してもむしろ微笑ましいという素晴らしさ。
 あたしは比較的“ダメ男”に耐性があるというか、それはそれとして受け入れられるタイプかなぁ(自分の近くにいるなら別の話ですが、物語としてなら大丈夫というか)と思っていたのですが・・・良多さん、ダメでした。 何故ダメかを考えると、「お金にルーズなところ」。 人のこと言えないくらいあたしもルーズなところありますが、こやつは絶対にやってはいけないことを平気でする(つまり、養育費として準備したお金がちょっと足りないからと競輪につぎ込み、勿論すってんてんになってしまうのだ)。
 この、「絶対手をつけてはいけないお金」を、「もっと増やせる」という根拠のない自信で使っちゃう、この金銭感覚のゆるさは許せるレベルじゃない。 そりゃ離婚されるわ、というか結婚前に気づけ!、とどっちにも説教したい感じで、子供がかわいそうです(普通の少年時代を持てない彼は、絶対アダルトチルドレンになるわ)。 元奥さんが働いているから、自分が養育費を出さなくてもなんとかなるだろと甘えているようにも思え、「だったらそんな約束するな!」なのです。
 祖母の愛情があるから息子くんのバランスはなんとかなっている部分もあるだろうけれど・・・自分の母親がお金や生活のため(自分の将来のためも含む)に再婚を考えている、というのは複雑な心境だろうな、と胸が痛むのであります(すでに彼は子供なりに気を遣い、父・母それぞれにいい顔をし、下手な大人より苦労していると思う)。 恋愛や結婚がダメになるのは当事者の問題だけど、子供が介在したら問題はもっと別のところにあるってこと、みなさんわかって!、って感じ(でもそういう人たちならこんなことにはならない気がするが)。

  海よりもまだ深く3.jpg 面会の日、「用があるから」と去っていく母親を見送る息子の表情には何とも言い難い不安が・・・父親が嫌いなわけじゃない、むしろ父と母が元通りになってほしいといちばん思っているのは彼なので、自分の意思が反映されない・自分の存在が役に立たないことにいちばん傷ついているのも彼で。 そのことに両親は気づいているのだろうか。 少なくとも父親たる良多は、自分の見栄を張ることに精一杯で、それを息子にある程度見抜かれていることに気づいているのかどうか。 ほんとかっこ悪い。
 どうしても、こういう話をあたしは子供視点で見てしまうようです。
 ちょっとしか出てこない橋爪功の役回りは何の意味があるんだろう、と思えば・・・結局、傍から見たら社会的に成功したと思われるような人も、「かなわなかった夢」というやつを抱えていて、その燻りをどうにかするためにその後の人生を生きてしまう、ということなのかもしれない、と納得。 男性のほうがロマンチストだとよく言われますが、男性全部がそういうわけじゃなく、そういう傾向の人が多いかもってことで、その傾向の中でも度合いの強い弱いがあるってことなんですかね。
 そんなわけで良多に対してとてもいらだってしまったので、<かなえられなかった夢のあとの時間を生きる>というテーマになかなかそぐえないまま観てしまった。 探偵家業でコンビを組んでる若者(池松くん)的視点で彼を観ることができれば楽しめたかもしれないのだけど(自分の想像を超える存在として良多のことを面白がっているように見え。 だから返ってこないの承知の上で一万円も貸すし、競輪場とかにもついていってしまうんだろう。 好意は持っているけど絶対自分はこの人に影響は受けない・真似しないという自信があるから。 そしてダメな父親の“本音”を間近で見られるから)、あたしにはそれは難しいことだった。

  海よりもまだ深く2.jpg 別の種類の生き物、ぐらいのスタンスで接するのがいちばんストレスもかからなくていいかも。 生きてきた時代が違う感じがあるのも大きいかと。 池松くん、『MOZU』と全然違う“普通の(社会人としての)若者”を好演しています。
 それはもしかしたら、響子が良多を許せないのと根本は同じ感情なのかもしれない(違うのは、あたしが良多に対してかけらもいい感情を抱けないところだけど。 ダメ男でも阿部寛が演じれば許されるということなのか、それとも一般的な基準でも彼は<愛すべきダメ男>の範疇なのか、よくわからない)。
 「なんで男の人はいつまでも夢をあきらめないのかねぇ。そのほうが幸せになれるのに」などと達観したいい言葉をいう祖母であるが、同時に、「最近はねぇ、女の人も学があると自分で稼げちゃうからさ」という(その年代の方にとってはそういう価値観なんだろうけど)残念な発言もあり・・・まぁそこが、“普通の人”であるってことなんでしょうけれど。
 <普通の人が普通の人生を送る>、ということの難しさがここでは描かれているのかもしれない。 普通ではない人、自分で思っている普通と世間一般の普通との誤差、普通のつもりだったのに結果的に普通ではなかった、とでもいうような。 それは「普通とはなにか」という大問題に答えがないからなんだけど。

  海よりもまだ深く4.jpg 多分、彼女の求める<普通>は良多の求めるものとは違う。 そもそも良多は普通を求めてはいないと思う。 かつて二人が惹かれあった理由はその“違い”だったのだろうけど・・・。
 ただ救いは、ダメ男くんにほんの少しの“成長”を与えてくれること。
 「父親として生きる」という本当の意味をつかみはじめた彼の姿を。
 ・・・多分、あたしに<家族>は鬼門なのだ。
 団地は、かつては誰もが住みたい場所だったのかもしれないけれど、当時の設計者・施工者たちはこんなに長く人が住み続けることを想定していたんだろうか。 エレベーターもなく、バリアフリーには程遠い。 当時は個人の住宅にエレベーターをつけるなんてこと自体ありえないことだったんだろうか(コスト面と、住む人の若さかな〜)。 高度経済成長期といえば聞こえはいいけど、勢いだけで後のことを考えていなかった気がする。 もしくは、すぐに建て替えることになるかもしれないと考えていたのかもしれない。
 それもまた、思っていたのとは違う未来。
 子供は親を選べない。 そして親もまた子供を育てていく過程で一緒に成長していくという。 最初から完璧な親などいないけれど、でも親となったからには、できるだけ子供に負担のかからない生き方をしてほしい、と願うのは難しいことなのだろうか。
 そんなこと、「子供がいないやつに言われたくないよ」って吐き棄てられて終わっちゃうかもしれないけど、普通の子供時代を送れなかった子供は、多かれ少なかれ大人になってから子供時代を取り戻そうとするものなんですよ。 そうしないと自分が大人になることに納得できないというか(勿論、個人差はあります)、そんなアダルトチルドレンからのお願いです。
 家族の物語をずっと描き続けている監督も、多分普通の子供時代は送っていないんじゃないかな。 すごくプライベートな部分に踏み込んでつくった作品なんじゃないか。 そんな気がしました。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月18日

氷雪のマンハント/シュテファン・ヤコブセン

 連日のように言っておりますが、暑いです。
 おかげで通勤電車の中で本を読む時間が激減(暑くて頭がぼーっとしてしまい、かすかな冷房を感じてぼーっとなっているうちに電車がついてしまう)。 おかげでなかなか本を読み進めないことにもストレスが。 家は家で暑いし、海外ドラマも消化しないとHDD圧迫されるし。 あと、映画の感想を書くのに追われて本のほうが若干お留守になっており、そっちはそっちでたまっていく・・・悪循環です。

  氷雪のマンハント.jpeg なので出来るだけ時間をおかないほうが記憶も鮮明で。

 こちらはデンマークの大ヒット小説とか。 ご想像通り、タイトルで涼しさを得ようとしております。
 警備コンサルタントにして有能な私立探偵ミケール・サンダのもとに一件の依頼が入る。 急死した大富豪の娘からで、金庫にあったDVDに若い男の処刑場面が収められているという。 父親は人間狩りをしていたのか? 真相究明のため、早速調査に入るミケール。
 そして<他殺に見えた自殺事案>を担当したデンマーク国家警察のリーネ・イェンスン警視の調査が進むにつれ、ミケールの案件と次第に交差していき・・・という話。
 冒頭に「人間狩りにまさる狩りはない」というヘミングウェイの一文が掲げられているが・・・サディズム要素をもたないあたしとしては理解不能(別に理解しなくてもいい)。 しかし世の中には“そっち側の人間”もまた確かにいるのだとわかってはいるし、知っておくことは大事であろう。
 本作では元軍人で、イギリスの名門警備会社に務めた経歴を持つミケール・サンダというキャラクターが秀逸。 有能で冷静沈着なプロ(言葉遣いも礼儀正しくかつ端的で明瞭)だけど、完璧ではなくてどこかうっかりもしてしまい、危険な仕事を愛してはいるが妻と子供たちのことを考えると忸怩たる思いがしてしまう“普通の人”の面も持つところが微笑ましくもリアル。 それと比べてしまうと警視のリーネは普通というか、勿論すごい精神力の持ち主だけど、ハード展開の多い北欧の小説ではよくある感じなのが残念。
 そう、なにしろ題材が<マンハント>ですから、暴力描写も容赦がない。 そして誰が信用できてできないのかが手掛かりが加わるごとに変わっていく、というのがミステリーとしての要素でもある(全体としてはアクションスリラーに分類されるでしょうが)。
 600ページ越えの大作なのに、後半がやや駆け足に感じてしまうのがちょっともったいないところです。 訳者あとがきによるとシリーズ化されているみたいなので(しかもまたこの二人のコンビで)、ミケール・サンダにまた会えることを楽しみにしたいと思う。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月17日

仕事って・・・

 基本的に、あたしは人見知りが激しく、引っ込み思案な性格です。
 大人になってから(特に神戸に来てから)知り合った人にはあまり信じてもらえませんが、人に意見するとかまして注意するとか、苦手です。 ほんとはお金の心配さえなければ家に引きこもって本を読んで暮らしたい。 しかしそれでは生活できないので(本も買えなきゃ映画代も払えない)、仕方なく仕事をしています。
 しかし、やるからには給料以上働かなければ気が済まない!
 なんなんでしょう、この矛盾。 決して完璧主義ではないのですが、どうやらあたしは「仕事が好き」らしいのです(過去に何人かの人にそう言われたことが・・・)。
 今更そんな話をしたのは、隣の部署のある人のことが今、すごく気になっているから。
 立場的には営業っぽいんだけど、なんかいろいろできていない感が伝わってきて、事務の方が大変苦労しているのが見えてきてしまったから。
 あたしは営業事務やアシスタントをしていたこともあるので(そして過去に新人営業マンを上司に見つからないように呼びつけ、お説教したことも<汗)、余計に気になりますが、相手は他の部署だし、自分より年上だし・・・で少々悩み、でも結果的にお客さんの迷惑になったりしては困ると思い、ちょっと声をかけてみた。
 なんというか・・・その人はちょっと天然というか・・・素直なんだけどあまり危機感がない。 いろんな方向から言われるままに動いちゃって、軸足が定まっていない感じ。
 それ、あなたが事務所にいるときはまだいいけど(でも電話対応とか聞いていると話にまとまりがなくて相手に伝わってない感全開なんだけど)、いないときはどうなる? 必要な情報を事務方にちゃんと与えているのか?!
 ということを、やんわりと聞いてみました。
 「あぁ、喋り方にコンプレックスがあるんだよね〜」、とのこと。
 ・・・えっ、それで終わり? そこで自己完結?
 コンプレックスがあるのは自由ですよ(あたしにだっていっぱいありますよ)。 でもそれはプライベートでの話。 仕事には関係ないから! 苦手なら苦手なりに、どうカバーするかとか考えないのか!?
 なんか、話していたら、「あたしのほうがおかしいのかな・・・」という気分になってきました。
 あたしの指摘(というか、<感じたこと>というニュアンスで伝えていますが)に対して、彼女の中では全部理由があることになっているんだけど、あたしにはそれはただの言い訳にしか聞こえないのです。
 ・・・この溝を埋めるのは、大変そうだ。
 別部署とはいえまったく関係ないわけではないので、そして同じ事務屋として悩んでいる人の気持ちもわかるので、どうにかできたらと思っているんだけど・・・余計なお世話なのかなぁ。 仕事における常識って多少の誤差はあれ、ある程度のラインはいってるでしょ、と思うことが間違いなのかな。
 とりあえず彼女には多少なりとも問題提起にはなった・・・と思いたいので、あと数回はセッションをしてみるつもりです。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記のようなもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月16日

殿、利息でござる!

 てっきり、『超高速!参勤交代』のスタッフがつくっているんだと思っていた(キャストが若干かぶるし、松竹だから?)。 コメディ時代劇なんてTVじゃ最近全然見られないし(というか時代劇そのものが)、これも是非観たい!、と思っていたら中村義洋監督作品だったとは・・・(時代劇を撮るようなイメージがなかったのでびっくり)。

  殿、利息でござるP.jpg これも世の貯め、人の貯め。
    千両集めてビンボー脱出! 庶民VSお上! 知恵と勇気と我慢の銭戦(ゼニバトル)が今、はじまる――。

 江戸中期、仙台藩による領民へ重税が原因で破産や夜逃げが続出し、小さな宿場町・吉岡宿は困窮し切っていた。 このままでは町はダメになってしまう、と考える商人・穀田屋十三郎(阿部サダヲ)は、ちょうど京で茶の修業をし嫁も連れて帰省してきた菅原屋篤平治(瑛太)に、なにかいい知恵はないか相談。 絶対無理だよと思いつつ「お上(つまり殿様)にお金を貸して、その利息で税を払えば町の負担はなくなるのでは」と口を滑らせた篤平治の一言に、穀田屋さんは乗っちゃいました! その日から、ひそかに同志を探し、コツコツと目標の千両をためる日々が続くのだが・・・という話。

  殿、利息でござる1.jpg 話を牽引していくのはこの二人、のように思わせておいて・・・実は、の展開。
 濱田岳の飄々としたナレーションがほのぼの気分を際立たせるのだけれど、一朝一夕で集められるお金ではないので、みなさん苦労してるし時間もかかっています。 でもその苦労話は最小限、むしろ「ちゃんと年を越せたのか、よかったね!」と観ているこっち側がいろいろ想像しまうほどみなさんの困窮振りはすさまじい。 でも同志探しの過程のほうに面白さを集中させたのは正解で、みなさん、身分としては農民なのですが、それぞれの立場があって・・・というところは現代と変わらず、人間くささ全開です。 とはいえ完全な悪人が出てこないところに(小ズルイ人はいますけど)、なんというか、今も変わらぬ東北人気質が感じられてちょっと胸が熱くなります。
 自分たち個人の利益のためではなく、この町のため、この宿場を存続させるためという考え方は、いわゆる<ボランティア>とは違うものかもしれませんが、このような地元に根付いた発想が日本人っぽい慈善事業ではないのかな、という気がしたり。 情けは人のためならず・袖すり合うも多生の縁、ってこういうことだよね、みたいな。
 で、<お上>に対しては文句を言うんだけど、それは直接殿様への不平ではないってところにも、封建主義ってだけじゃない日本人ぽさも感じてしまいました。

  殿、利息でござる3.jpg なんだかんだ、妻夫木聡(なんと阿部サダヲの実弟設定)がいちばんおいしいかも。
 予告やCMが比較的コメディっぽいイメージで宣伝してくれていたので、実は観ていたら意外に真面目な話だったというのがすごく好印象で。 「あぁ、いい話だなぁ」としみじみできるこのよろこび、みたいな。 小市民でもやる気になればなんだってできるぞ!、という勇気を与えてくれる感じですね。
 ただ、竹内結子は現代的な顔立ちなので、着物姿があまり似合わない・・・様な気がするのはあたしだけだろうか。
 時代考証しつつも全体的にあえて現代的にしてある時代劇の中で、個人的には堀部君がすごく“時代劇が似合う側の人”になっていたのがうれしかった。 松田龍平もいつものけだるげ演技をできるかぎり抑えて全体の雰囲気を壊さないようにしていたようにも感じられ(でも劇中では異分子であるので、そのへんをいつものけだるさと誤解されないようにしていたような)、チームプレイ感がよく出ていた感じがする。
 だからより、「いい話」になっているのかもなぁ。
 瑛太と濱田岳は『アヒ鴨』コンビじゃん!、と気づき、「あぁ、やっぱり中村作品だったんだな」と納得する。 この人もお気に入り役者を繰り返し使いたいタイプだった。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月15日

神様メール/LE TOUT NOUVEAU TESTAMENT

 ジャコ・ヴァン・ドルマル監督の新作。
 監督の名前は覚えていなかったんだけど、『八日目』『ミスター・ノーバディ』の人、と言われて「あぁ!」となる。 作品を量産するタイプの監督ではないのでついつい忘れがちになりますが、この監督のセンス、好きだ!
 というわけで期待してハーバーランドへ。 ちなみにこっちはベルギー映画です。

  神様メールP.jpg うれしい未来、受信中!

 ベルギーのブリュッセルにて、とある高層マンションの最上階にある一家が暮らしている。 実はその一家の父は神で、鍵をかけた自分の部屋でコンピューターを使って全人類の運命を管理していた。 気まぐれで奇跡を起こし、退屈すれば災害や大きな事故を起こし、人間が右往左往するのを見て楽しんでいる。 長男はとっくの昔に家出している(そしてもう生きてはいない)が、10歳の妹エア(ピリ・グロワーヌ)を見守り、相談相手になってくれてはいるのだが、もはや父親に対するエアの怒りは爆発寸前。 父の目を盗んで部屋に忍び込み、パソコンから人類の携帯電話に余命を知らせるメールを一斉発信後、パソコンを使用不可能にして下界(人間界)へ家出、6人の使徒を探すことに。 事態を知った父である神は怒り狂うが、パソコンが使えないと実は何もできない。 娘を追いかけて彼もまた下界に降りることに・・・という話。

  神様メール4.jpg 家長の横暴に母である女神は抵抗できず、無口に。 それもまたエアには耐えられず。
 いやー、一神教をここまで茶化すとは、実に爽快。
 とはいえ、一神教だけでなく宗教全体を決してバカにしているわけではない(と言っておかないと最近は怖いからな・・・)。 あくまでギャグですよ、ギャグ。
 様々な比喩にとんだ映像や展開、過去の映画を思い起こさせるディテールも含めて、「そんなに真面目に受け取っちゃダメだよ〜。 でも言いたい事はわかるよね」という監督のお茶目なウインクが見えるよう。
 次々にエアが出会うことになる使途たちが抱える苦悩を、素直に「知らなかったわ」と受け止める彼女がすごくかわいい!、んだけど、「違う世界にいました」という証明のようでそれもまた切なくて。 結局、神の側の視点と人間側の視点は同じ高さになることはない。

  神様メール3.jpg でも使徒たちは、エアを特別な存在とわかっていながら慕いつつ心配。 やっぱり見た目が子供だから?
 6人の使徒たちのそれぞれの物語も面白いので、オムニバス的に駆け足になってしまうのがちょっと残念なんだけど、配分としてはそれくらいがちょうどいいのかもしれないなぁ。 個人的には<新・新約聖書>の綴り手、ヴィクトールの存在がすごくよかった(彼はホームレスで携帯を持っていないので、自分の余命については知らされていないという特別感も相まって)。
 そして、実は世界は女性が管理したほうがずっとよくなるのではないか、を示唆したラストの痛快なこと!

  神様メール1.jpg それがエアのこの笑顔に集約される。 そういえばそれまでは無表情に近かったなぁ。
 自分の寿命を知らされる、というショッキングな出来事がきっかけなのに、意外にそのポイントはそんなに重要じゃないというか、普段通りに生きることにする人が多くて、それ以外の人たちはネタ扱い、というあたり、ちょっと日本人にも通じるものがあるような(まだ自分の寿命の日が来てないから、とあえて無謀なことにチャレンジするやつもいそう。 でも日本ならすごくネットでたたかれて炎上しそう)。
 そんな感じでとてもファンタジーなのですが、自分の身の回りのことと比較できるというか、思いをはせることができるという点で<ブリュッセル限定>の物語でありながら結構普遍的だったり(まぁ、イスラム原理主義的地域などでは難しいかな)。
 やっぱりこの監督、好きだなぁ!、と思い知る。 ちゃんと名前、覚えよう。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする