2016年04月09日

人生は小説よりも奇なり/LOVE IS STRANGE

 こちらも上映最終日。 こっちは遅い時間スタートなのでいつでも行こうと思えば行けないこともなかったのだけれど、平日だと翌日の仕事を考えるとちょっときつい。
 『ロブスター』が観れる日ならば続けて観られるのだから、とタイミングを待っていたらこっちも最終日になってたんですよね! シネリーブル神戸、上映最終日が決まるのが唐突過ぎるときがあるのが玉に瑕(いや、他の映画館でもそういうことはあるけど)。
 だから今回の金曜日は一人で二本立てを敢行したわけです。

  人生は小説よりも奇なりP.jpg されど愛しき我らが日々。
    NYマンハッタン。39年連れ添った画家のベンと音楽家のジョージ。優しく慎ましい二人が“結婚”を機に直面する、笑いと涙。

 このポスターイメージから結構なドタバタコメディを連想していたのですが・・・意外にも本気というか、いい意味で大真面目な話でした。 思わず背筋が伸びるくらい。
 2011年にニューヨークで同性婚が可能になる法律が成立した。 39年間マンハッタンのアパートで一緒に暮らしてきた画家のベン(ジョン・リスゴー)と音楽教師のジョージ(アルフレッド・モリーナ)は、今の状況に不満はまったくないが、考えた末に結婚することに。
 当日は親戚や友人たちに祝福されながら結婚式を挙げ、パーティーも彼らへの温かい賛辞で盛り上がった。 が、ジョージは同性婚を理由に勤務先のカトリック系の学校をクビになってしまう(彼がゲイであることはカトリックの教えに反しているが、これまでは知らない振りができても結婚されてしまっては公の関係になるので、組織の上の方の司祭にばれて怒りを買ってしまったため)。 ジョージは定職に加えて様々な社会保障も失い、ベンは70歳を越えているし、それほど売れている画家でもないので二人の生活は一気に行き詰まり、アパートを売らなくてはならなくなった。
 次の家が見つかるまで、ベンは甥の家に、ジョージは同じアパートに住む友人の家に身を寄せることになり、結婚したばっかりに新婚から別居を強いられてしまう・・・という話。

  人生は小説よりも奇なり1.jpg あれだけ二人をたたえていた親類縁者たちなのに、二人の窮状を知った途端に及び腰。 ベンの甥・エリオットの妻ケイト(マリサ・トメイ)はそういう展開になったと見るや「仕事があるから帰るわ」と超そっけない!
 勿論、それぞれの事情はあるでしょうが・・・。
 ただ、この映画の大変上品なところは口汚い争いとか、直接的な結論をまったく描写しないこと。 舞台の暗転のようにシークエンスがゆっくり切り替わったら多少の時間が経過して次の状況に動きだしている。 これも『ロブスター』同様説明が少ない映画ですが、でもそれは描かなくてもわかるから、あえて描かないことでその空白を観客に委ねているから。
 それぞれが違う家に居候することで、二人で自由に暮らしてこれた39年間の貴重さや、空気のように相手を気遣い、思いやることのできる大切さといったものが胸に迫ります。 特にベンの行き先、エリオットとケイト夫妻の家には思春期真っ只中の息子ジョーイ(チャーリー・ターハン)がいて、いくら父親の叔父さんでこれまで付き合いがあったとはいえ生活を共にするのはまた別の話。 彼がベンや両親に怒りをぶつけたり八つ当たりする姿はあたし自身の子供時代の心の狭さというかまわりの見えてなさというか、自分中心でしか考えてなかった日々を見せつけられたようで、「なんかすいません!」と過去に向かって謝ってしまうほど。 ちなみにこのジョーイ君、ドラマ『ウェイワード・パインズ』でマット・ディロンの息子役やってます(なんと役名はベン)。

  人生は小説よりも奇なり2.jpg 二人の絆を明確な形として残すために結婚したはずなのに・・・。
 いや、別居生活を通じて二人の心の絆はより深まったのは間違いないんですけどね、代償が大きかったというか、時間の経過は容赦ないというか・・・。
 宗教の教義ってなんなの? 信者が幸せになるためのものじゃないの?
 時代はどんどん変化しているのに、教義だけが不変ってどういうわけ?!、とあたしはこのカトリックの学校に怒りを覚えましたが、たとえば憲法は国民投票など手続きを踏めば変えることは可能だけれど、宗教の教義や戒律とかって変えることはできるのかな?
 気になったので今度プロテスタントの友人に聞いてみたいと思います。
 でも映画の本質はそこではなくて・・・人生に対する肯定感をベンがジョーイに伝え、そしてジョーイが(ちょっと時間はかかったけど)それを受け止める、という、「子孫を残す」とは違う意味で若い世代に贈ったギフト。
 美しく穏やかな夕日とショパンの調べ。
 あぁ、こんな感動作だなんて思いもよらなかった!
 ジョン・リスゴーもアルフレッド・モリーナも、とってもキュートだったし。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする