2016年04月04日

ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります/5 FLIGHTS UP

 映画館に行く観客の平均年齢高齢化に伴って、高齢者向けの内容の映画が増えている(作りやすい状況になっている)と聞いたのはいつのことだったか。 でも昔だって高齢者やそれを含む家族がメインの映画はあったじゃないか(えーっと、『黄昏』とか『愛と追憶の日々』とかさ)。 でも、率としては確かに増えているのだろう、という気はするのは間違いない。 それはあたし自身がトシになってきたから目に入りやすくなったのと、名優が高齢化している(歳を取ることでいい味を出す役者が増えるから)こともあるだろう。 でも結局、観客の高齢化というのがいちばんの要因なのであろうなぁ。

  ニューヨーク眺めのいい部屋売りますP.jpg 人生も、リノベーションしてみませんか?

 結婚して40年がたった画家のアレックス(モーガン・フリーマン)と妻のルース(ダイアン・キートン)は、ブルックリンの風景が楽しめ、屋上の家庭菜園も利用できるアパートメントの最上階に愛犬ドロシーとともに新婚当初から住んでいる。 文句はまったくない暮らしだが、歳とともにアパートメントにエレベーターのないことがだんだんきつくなってきた(その昇り降りが、犬さえも!)。 ルースの姪リリー(シンシア・ニクソン)が不動産のエージェントをしていることから、今の部屋を売りに出し、エレベーター付きの別の部屋を探すことにするのだが・・・という話。

  ニューヨーク眺めのいい部屋売ります1.jpg あ、『SATC』のミランダだ! 相変わらず、仕事にてきぱき・かりかりする様がはまっている。

 しみじみ思うのは、モーガン・フリーマンって、いくつ?、ということ。
 いや、確かに老けてはきているんだけど、『セブン』のときのかっこよさがこっちの眼に焼きついているからでしょうか、どうもあの頃と印象が変わらない気がする・・・(いろんな映画に出ていて頻繁に彼をこっちが見ている、というせいもあるでしょうが)。
 ダイアン・キートンがいつもの「あるべき母親像を演じ続けることで娘に精神的負担をもたらす」母親役ではなかったのはよかったのだが(今回、子供のいない設定だったので)、それでもやはり「理想的な妻像を演じている人」っぽいのはなんでだろう。 その雰囲気がお堅そうだから? 相手を理解しようとしていながらも限界を越えるとキレるから?
 とはいえお二人の演技はすっかり安定で、「こんな老後が望ましい」というアメリカ人の理想そのもののようだ。

  ニューヨーク眺めのいい部屋売ります2.jpg ブルックリンブリッジを見渡せるアパート前のベンチで。 ご老体の朝は早いから余計に空気がすがすがしい。
 黒人と白人のカップルなんていまどき珍しくもなんともないだろうけど、彼らが若かった頃はそれこそ偏見の対象だったのだ、と思うと奇妙な気さえする。 ヘイトスピーチとか最近また問題になっているけれども(そして欧米では移民問題は今も大きな壁だが)、それって日本にいるとどうしても非日常のこととしか見えなくて、けれどもかつての彼らにはそれが普通だったのだという驚き。 歴史は地続きなんだけど・・・個人の感覚として納得するのはなかなか難しい。
 それにしてもニューヨークというのはアメリカにとって特別な街なんだなぁ、ということがしみじみわかる。 エレベーターのない築40年以上の物件でも内覧会には様々な人たちがやってきて、切実にブルックリンに、ニューヨークに住みたがる。
 日本に置き換えたらどこだろう、と考えてみるけれど、いまひとつ思い浮かばない感じがして・・・しかも日本なら絶対改装工事するはずなのに、下手したらタワーマンションに建てかえちゃうに違いないのに、昔の建物をそのままずっと使っちゃうところが地震のない国だなぁ、と実感(原題は『5階までがんばろう』という意味かな?)。
 かつてはマンハッタンとブルックリンは雲泥の差という扱いだったはずだけど、治安もよくなって地域の差はそれほどなくなってきているような感じがした(ミートパッキングエリアは流行りの地域からもう一歩ランクアップしたみたいだし。 そりゃ、アッパーイーストサイドのようにどうしようもなくハイソなエリアはあり続けるだろうけど)。
 そんな街の移り変わりを今の段階で焼き付けた映画、ということかもしれない。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする