2016年04月02日

ザ・バット 神話の殺人/ジョー・ネスボ

 今更ですが、やっとジョー・ネスボの処女作にして刑事ハリー・ホーレシリーズ第一作『ザ・バット 神話の殺人』を読み終える。
 黄金期のミステリや、日本の作品、イギリスのちょっと古いの、とかいろいろ読み渡り歩いていても、ふと北欧に戻りたくなる。 完全に<北欧もの>はあたしの中で流行りではないひとつのジャンルとして定着したようです(スーパードラマTVでも『ブリッジ』の第3シーズン始まりましたしね)。
 北欧といっても広い。 ジョー・ネスボはノルウェーです。

  ザ・バット神話の殺人.jpg とはいえ、表紙からわかるように舞台はオーストラリアです。

 オーストラリア在住のノルウェー人女性が他殺体で見つかったことで、オスロ警察の刑事ハリー・ホーレは単身シドニーへ飛ぶことに。 現地のシドニー警察の協力し、犯人を探すためだが、捜査の過程でこれは単一の犯罪ではなく連続事件の一端であることが判明するのだが、警察の打つ手は次々と後手に回ってしまい・・・という話。
 タイトルの『ザ・バット』というのは蝙蝠のこと(バットマンのバットですな)。
 ハリーとコンビを組むことになるアンドリュー・ケンジントン刑事はオーストラリア先住民をルーツに持つ人物なので、シドニーやオーストラリアの観光案内を兼ねながら先住民の伝説をいろいろと教えてくれる。 それが事件とリンクしていくので『神話の殺人』というサブタイトルがついたのだと思われる。
 ノルウェーとオーストラリアというまったく正反対の土地でありながら、ハリーにも<白人の罪悪感>のようなものがある、という奇妙さ(それは“教育”によってもう国は関係なく、人種間で共有されることになってしまっているのか?)、それに対してアンドリューは「おいおい、日本人観光客が来てノルウェーのこと何も知らないって怒るのか?」と問いかける。 それは二人の真の友情の始まりでもあるのだが、ここで引き合いに出される日本人って・・・人畜無害って意味なのかなぁ。 それとも金を持って世界中どこにでも現れるやつという比喩なのか。 ちょっと複雑な気持ちになったじゃないか(原著は1997年)。
 事件そのものは途中で大方の姿が見えてきてしまいますが、なによりいろんな意味で魅力的な登場人物が多く、そしてハリー自身が抱える闇も見えてきて、この先のシリーズ展開にも大いに期待させられます。
 この重厚感は、間違いなく北欧ミステリ。 舞台が南半球でもそれは変わりない。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする