2016年03月03日

俳優 亀岡拓次

 同じく横浜聡子監督作品『ウルトラミラクルラブストーリー』をその当時、同じくシネ・リーブル神戸のシネマ1であたしは観ましたが・・・帰りがけのあたし以外の観客の「なんなのこれ、全然意味わかんない」的怒りの空気、今でも忘れることができません(ちなみにあたしは横浜監督と同郷なので・・・ということが関係しているかどうかよくわかりませんが、映画はそれなりに楽しめたのでしたが)。
 今回は原作もあるし、<大ヒット御礼!>とか出てるし、大丈夫だろうと思いながら、それでもなんだかドキドキしながら観に行く。
 チームナックスで誰がいちばん好き?、と訊かれたらためらいなく「ヤスケン!」と答えるあたし。 安田顕映画初主演作と言われれば、観に行かずにはいられようか。

  俳優亀岡拓次P.jpg すんません。不器用に恋してます。
    カメタク37歳、独身。職業は脇役、趣味はお酒。人呼んで“奇跡を呼ぶ男”。

 37歳独身亀岡拓次(安田顕)は俳優を生業にしているが、実際は脇役メイン。
 “最強の脇役”として主に映画業界には重宝され、仕事が途切れることはない(まして、基本仕事は断らない)。 とはいえ一般人からの認知度は低く、「なんかどこかで会ったことあります?」みたいなことをよく聞かれる毎日。 そんな彼のプライベートは地元でもロケ先でも安い居酒屋で一人飲む地味な生活の繰り返し。
 そんな彼がロケ先の地方都市の飲み屋の女将・安曇(麻生久美子)にころっと一目惚れ。 そして世界的巨匠からもオーディションの声がかかるなど、彼の人生の転機がやってきたかに見えた・・・という話。
 カメタクの日常なのか映画やドラマのワンシーンなのか、説明なく切り替わってもすぐにわかるのは素晴らしい(逆に、TVドラマ演出がいかに日常からかけ離れたものであるかがよくわかって面白い)。 横浜聡子監督独特の幻想演出が前半は抑えられていたので、中盤から後半へ向かってのカメタクの酔っぱらい視点とも相まってそれほど浮いていなくて見えてほっと胸をなでおろす(あたしはなにを心配しているのか?!)。
 原作が連作短編なのでエピソードの羅列にならないか不安もありましたが、次の撮影現場に行けばすべて新しく切り替わるわけで、そういう不連続性も役者という俳優の日常という面白さにつながっていると思う(勿論、そういう日常に適応できているからこそその仕事を続けられるのでしょうけれど)。

  俳優亀岡拓次5.jpg ときには脇役俳優仲間とも呑む。
 というわけでヤスケンファンとしてはほぼ出ずっぱりで、ヤクザからホームレス、泥棒、ヤクザから脅される旅館の番頭、よくわからない謎の人物などなど、脇役ジャンルを網羅しまくる彼と、カメタクとして毎日を酒とともにとろーんと過ごす彼を見ることができて、大変お得感があるかと。 でも<奇跡を呼ぶ男>という部分に過度に期待してしまうと、とても肩すかしにあうのでご注意ください。
 ときどき思うのだけれども、世の中には二種類のダメ男がいて、自分はダメだと自覚のあるタイプとそうじゃないやつ(自覚があるほうが「なんだか憎めないやつ」って感じがする)。 彼は自覚があるほうなんだけれど、そのために何か具体的な行動を起こすかといえばそうでもなく、何か深く考えているかといえばそうでもなさそう(途中まで考えていても、お酒をのんだら忘れちゃうんだな、これが)。 そういうところにイラっときてしまう人もいるだろうし、「しょうがないなぁ」と笑ってしまう人もいるだろうし、なるほど、<新時代の“寅さん”>と言われる所以がなんとなくわかる。 ヤスケン好きならば笑って許せるだろうし、またカメタクを笑って見ていられる人はヤスケンを好きになる、そんな続編をも期待できそうな感じ。

  俳優亀岡拓次3.jpg 登場シーンは少なくとも豪華ゲスト多し!
 俳優なのに撮影のない日は昼間っから飲んだくれて、筋トレとかしなくて大丈夫なの!、と心配もしくは叱咤してしまうような方にはこの映画はお薦めできません(そういうのはハリウッドの一部の方々で、日本の主役級の方々でも仕事が決まってから身体づくりを必要ならします)。
 だからってカメタクは勉強してないわけじゃないのよ。 どんなマイナーな映画も観るし、世界的巨匠の名前もすぐに出てくるんだよ!( ← と擁護してしまうあたり、あたしはカメタク好き派です)
 原作者の戌井さんもそれこそ脇役で登場し(なにやってんだこの人、と一瞬あたしは思った)、ノリはほぼ小劇場テイストです。 沢山のちょい役豪華ゲストもあなたはどこまでわかりますか?!、で、好みのマイナー度合いも測れそう。
 ある意味、逆『バードマン』。 でもそれが日本映画だなって気がする。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする