2016年01月31日

クリード チャンプを継ぐ男/CREED

 今回のアカデミー賞に助演男優賞にノミネートされたシルヴェスタ・スタローン。
 『ロッキー』でアカデミー賞を制覇しているが、その後は筋肉アクションスターとして売れたけれど演技力は評価してもらえず、アクションを封印して人間ドラマに取り組んだけれどやっぱり評価してもらえず(あたしは『コップランド』、好きでしたけどね)、『エクスペンダブルズ』シリーズで開き直ったと思ったら、再び老いたロッキーとしてアカデミー賞ノミネート。 なんとも複雑で、彼がそう望んだわけではないだろうけど、「力は正義だ」というある時期のアメリカンドリームの悲しい宿命を背負わされた役者なんだな、スタローンって、と思わずにはいられない。
 ちなみにボクシングという競技はそんなに好きではないあたしですが(だって痛そうだから)、『ロッキー』シリーズは1から4まで金曜ロードショーでしっかり見ています。
 『クリード』って何のことだろうって思っていたけれど、それがアポロの名字だと知って合点! アポロはいい人だったよ! ちゃんと覚えてる!
 『ロッキー・ザ・ファイナル』は観ていませんが、今回の主役はアポロの息子だということが観に行くきっかけになりました。

  クリードP.jpg 「ロッキー」新章、始まる。

 アドニス・ジョンソンは父を知らず、柄の悪い地域で育つ少年の道をストレートに歩んでいた。 施設に収容されているところに、メアリー・アン・クリード(フィリシア・ラシャド)が会いに行く。 「あなたのお父さんの妻よ」と。
 アドニスはボクシングのヘビー級チャンピオンであったアポロ・クリードの愛人の息子で、彼が生まれたときはもうアポロは倒れたあとだった。 父を知らないアドニスはメアリーの申し出を受け一緒に暮らすことになり、その後は何不自由ない生活を送れるようになる。
 成長したアドニス(マイケル・B・ジョーダン)はエリートとして働いていたが心の渇望はいかんともしがたく、仕事を辞め、父の親友ロッキー(シルヴェスタ・スタローン)を訪ねてトレーナーになってほしいと申し出る・・・という話。
 アドニス(愛称ドニー)を突き動かしているのは、「自分は過ちではなかった」(自分はいらない子供ではない・間違って生まれてしまったのではない)という気持ち。 アポロの未亡人メアリーとの関係は良好だし、メアリーはダニーを息子のように思ってはいるが、メアリーに出会う前からダニーの心に巣くっているその思いを消すためにはボクシングで父のようになるしかない。 状況は違えども、「強くなりたい」という想いは『ロッキー』の若きロッキーが持っていた気持ちと同じ。
 シリーズをまったく新しく塗り替えるとも、シリーズの持つ魂は同じ、というところがこの映画の評価の高さを表しているのではないか、と思ったり。

  クリード1.jpg どっかで見たことあるなぁ、と思っていたけれど、ダニー役は『フルートベール駅で』の彼ではないか! すっかり身体が筋肉質に素晴らしく出来上がっているので気がつかなかったよ!
 またメアリーもすごくいい人だし(ヘビー級チャンピオンの未亡人だけあって肝の座り方が違う)、ドニーの彼女が難聴を患う歌手ビアンカ(テッサ・トンプソン)だったりとサイドの人物配置もなかなか考えられていて、弱者的立場をあざとく描いていないところもいい感じ。
 そしてなにより、老いたロッキー。 自分の願いは一日でも早くエイドリアンの側に行くこと、と言いながらアポロの面影をドニーに見てしまったら後には引けず。 『ロッキー4/炎の友情』以降ずっと彼を苦しめてきたであろうアポロへの悔恨と贖罪の気持ちがダニーに向かう姿は、多分このシリーズ大好きな人たちにとってはすごく感涙ものではないだろうか。 かつてのミッキーとは違う、歳月を経たロッキーだからこそ言えるトレーナーとしての発言に時間の流れを感じます。

  クリード2.jpg ほんとに助演ですか?、というほどに出番多いよ。 ダブル主演といっても過言ではない。
 日々の厳しいトレーニング、一歩ずつ勝ち上がっていくドニー、とスポ根要素をきっちり踏まえつつ、『ロッキー』シリーズ長年の歴史も押さえつつ、しかしやりすぎないという難しいことを見事に成し遂げたライアン・クーグラー監督はすごい!
 音楽も「ここぞ!」というところでだけあのテーマを使うなど、ツボを心得ている感じで(あたしはそこで泣いてしまいました・・・)。
 きっちりバトンは交代され、ドニーが主役のシリーズが続いても何の問題もない出来栄え。
 人気シリーズの焼き直しはよくあっても、こうやってきれいに生まれ変わる瞬間に立ち会えることって、もしかしたらそうないのでは?
 ギリギリだったけど観てよかったな(そして『ロッキー』も1から4まで観ていてよかった。 観てなくても大丈夫だけど−なにしろドニー自身が現役時代のアポロを知らないんだから−でも観ている方がもっと楽しめる)。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 18:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする