2015年12月31日

今年もありがとうございました

 なんだかあっという間の大晦日です。
 今年も一年いろいろあった・・・はずが、10月以降に個人的に重大な出来事が続けざまに起こったので、それ以前の記憶がさっぱり・・・です。 まぁ、蒸し暑い時期などもそれに負けて記憶に残ってない、ということもありますが。
 しかし今年、改めて思ったのは、言葉は場合によっては凶器になるということ。
 たとえ使う側に悪意がまったくなくとも、いくらでも相手を不快にさせたり傷つけたりできる。 それを忘れてはいけないと肝に銘じました。 その刃が自分に返って来たとき、それ以上にあたしが深手を負うので、これもまた自己防衛ではありますが。
 年を重ねるごとに図々しく、図太い性格になってきていると思っていましたが、まだまだ人見知りの激しい臆病な子供があたしの中に居座っているようです。
 そんなわけで、今年もお付き合い、ありがとうございました。
 今年もここを通じて新しい出会い・深まった出会いなどいろいろありました。
 立ち寄ってくださったすべての方に(そしていつも来てくださる方には更なる感謝をこめて)お礼を申し上げたいと思います。 本当にありがとうございます。
 それでは、みなさま、どうぞよいお年をお迎えくださいませ。

posted by かしこん at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記のようなもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

完全なるチェックメイト/PAWN SACRIFICE

 予告を見たときから、「これは観なければ!」と思った、というか思わされた。
 トビー・マグワイアがその童顔イメージを捨てるかのようなふてぶてしい表情を!
 それに、あたしはチェスはしないが(そしてルールもなんとなくしかわかっていないが)、チェスが出てくる話にはなんか惹かれる。 しかも、ボビー・フィッシャーを主人公に最盛期を描く、となれば絶対逃すわけにはいかないわけで。
 くしくも、これも天才の物語だった。 自ら才能を呪うことになるような。

  完全なるチェックメイトP.jpg それは、世界が震えた<神の一手>

 米ソ冷戦時代の真っただ中、1972年にアイスランドのレイキャビクで開催されたチェスの世界王者決定戦は、最強の王者、ソ連代表のボリス・スパスキー(リーヴ・シュレイバー)とアメリカ代表ボビー・フィッシャー(トビー・マグワイア)によって争われることに。 宇宙開発に敗れたアメリカ側としては、米ソの威信をかけたもうひとつの代理戦争としてボビーを応援、その勝敗の行方は世界中の注目を集めていた。
 そもそもボビーがチェスを始めたのは、複雑で厄介な家庭環境から逃避するため。 IQ187の知能とたぐいまれな集中力の持ち主であった彼はチェス界でたちまち頭角を現し、15歳にして最年少グランドマスターとなる。 常に自信満々で謙虚さのかけらもなく、自分の主張はすべて通ると思っている彼はチェスの才能とともにその奇行でも有名だが、この映画ではボビーが言われるほど奇人に見えないというか、彼の要求はそれなりに正当だよねと思えてしまうところがミソではないかと思う。

  完全なるチェックメイト3.jpg また子供時代のボビーがのちのトビー・マグワイアにすんなりつながる顔立ち・イメージなのがすごくうまい。

 チェスのルールはわからなくても十分話についていけるようにできているが、主人公に共感なり理解なりできたほうが観ていて面白いのは確かである。
 だから弁護士でボビーの代理人を買って出たポール(マイケル・スタールバーグ)は次第にたくらみのある人間に見えてくるし、どんどん心を病み始めるボビーの言動にこっちの心が痛む。 ボビーの才能故の苦悩を理解するセコンド担当の神父(ピーター・サースガード)の存在が観客にも心の支えだ。 最近どこかあやしげな要素のある役の多かったピーター・サースガードが、悪意のかけらも見せないいい人でずっといてくれるのがとてもうれしい(悪役的要素がまったくのゼロなのだ!)。

  完全なるチェックメイト1.jpg 神父は自分もチェスプレイヤーだったので、これ以上行ったら狂気の領域に入ってしまうことを身をもって知っている。
    ↑ ほんとにピーター・サースガードですか!、と目を疑うくらいの素晴らしさ。

 が、100%ボビー・フィッシャーの伝記映画にしなかったのは、ボリス・スパスキー側のことも少し描いているから。 CIAなどに監視され、盗聴されているといい、完全な静寂がほしいとわめくボビーの姿は、なかなか人には信じてはもらえないがすべてがまったくの妄想ではないように描かれている(とあたしには思えた)のだが、スパスキーの場合は確実に監視されているし、盗聴もされている。 旧ソ連の代表、国家的財産である彼は広告塔であり、絶対に亡命されてはならない存在。 そして負けることも許されない立場。 しかしボビーのように自分の気持ちを公に語ることもできない。 形は違えど似たような状況に置かれている二人はきっと誰よりもわかりあえ、素晴らしい友人になれただろうに、と思うと切ないのだ。

  完全なるチェックメイト4.jpg スパスキーは常にツイードのジャケットを着ているのが微笑ましい。 ボビーに比べ、彼のほうが年齢的にも精神的にも“大人”ということなんだろうけど・・・どれだけのものを抱えていたのか、もっと彼のことが知りたくなった。

 が、あたしはすっかりトビー演じるボビーに魅せられてしまったようで、「ちょっと考えたら彼の言いたいことわかるじゃん!」と見当違いなことを答えたり、自分の都合ばかり押し付けてくる(結局それはアメリカ政府からの要請だったりしたのだが)ポールに怒りがわいてしまったし、映画のラストで語られるボビー・フィッシャーの波乱の人生(のほんの一部)で、最終的にレイキャビクを終の住処として選んだのは、彼にとってスパスキーとこころゆくまで対戦した時間がとても大切な思い出だったからなんだろうか・・・、と胸をつかれたり(その後、隠遁生活をしていたスパスキーを訪ねてまた対戦してるんだけど)。

  完全なるチェックメイト2.jpg 大ホールのステージ上で対戦させられるなんて、落ち着かないよ。 卓球室で対戦したい気持ち、わかる。

 リーヴ・シュレイバーも今までのイメージから脱却した素晴らしい演技だったし、でもそれ以上にトビー・マグワイア、過去最高の演技じゃないかと思うくらい(アカデミー賞に2人、できれば3人ノミネートしてほしい)。
 あぁ、素晴らしい演技とはこんなにも人を満足させるものか。
 今年最後の映画をこれにして、とてもよかった。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 17:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする