2015年12月27日

ミケランジェロ・プロジェクト/The Monuments Men

 なんでこの映画が公開延期(あやうく公開中止の可能性もあったらしい)になったのかわからないのだが・・・(本国でも公開延期の憂き目にあったらしいが、ハリウッド的スター大集合なのに何故?)、とりあえず観られたことをよろこぼう。
 個人的に、ジョージ・クルーニー、お久し振り!(『トゥモロー・ランド』を見損ねたので)。
 第二次大戦も終盤、ハーバード大学付属美術館館長ストークス(ジョージ・クルーニー)はナチス・ドイツ軍が侵攻したヨーロッパ各国から美術品を続々強奪していることに危機感を抱いていた。 アドルフ・ヒトラーの命令で<総統美術館>をつくる計画のためだが、ドイツ敗色濃厚の今、美術品はすべて破壊されるかもしれない。 ルーズベルト大統領をはじめとした米国上層部に直訴したストークスだが、美術品のために回せる兵士などいないから、やるなら自分たちでやりたまえ、と許可を取り、早速旧知の間柄のメトロポリタン美術館の主任学芸員のグレンジャー(マット・デイモン)に接触、参加を要請。
 他にも建築家キャンベル(ビル・マーレイ)、彫刻家ガーフィールド(ジョン・グッドマン)、元美術学校の主任で現在は美術商のクレルモン(ジャン・デュジャルダン)、美術史学者サヴィッツ(ボブ・バラバン)、元歴史家のジェフリーズ(ヒュー・ボネヴィル)がストークスに賛同し、“モニュメンツ・メン”が結成される。
 しかし向かうは最前線ではないが戦場。 にわか訓練を受けた新兵として(それなりの肩書はもらいつつ)、「美術品より命のほうが大切だぞ」を合言葉にヨーロッパ各地をチームにわかれて奔走することに。

  ミケランジェロプロジェクトP1.jpg 美術はプロ 戦争はド素人 美術品奪還プロジェクト

 原題はチーム名“モニュメンツ・メン”だが、奪還したい目玉の美術品のひとつがベルギー・ブル―ジュ聖母教会にあるミケランジェロ作の聖母子像なのでこの邦題がつけられたと思われる(つけた方たちの苦悩が見えるようだ)。
 もうひとつの目玉は同じくベルギー・ゲントの聖バーフ大聖堂にあるファン・エイク兄弟作の祭壇画。 総統美術館所蔵(予定)目録にも大きく載せられ、それを入手したソ連側も狙っているというモニュメンツ・メンに頭の痛い状態をつくりだす。

  ミケランジェロプロジェクト3.jpg なにしろみなさん専門家ではあるが軍人ではないので、いろんな意味で隙だらけです。

 いやー、とにかくジョージ・クルーニーかっこいいですね! 今回は監督・制作・脚本も兼ねているのでストークスの登場場面は必要最小限なのですが、押さえるところは押さえているので(チームリーダーですし)、その出すぎない感が絶妙。
 おかげでジョン・グッドマンとジャン・デュジャルダンの凸凹コンビ、ビル・マーレイとボブ・バラバンのいじられコンビ(当然、いじるのはビル・マーレイのほう)の楽しさが引き立ち、目的は同じでもほぼ初対面だった人たちが次第に<仲間>になっていく過程が、観ていてきゅんときます。
 「美術品より命のほうが大切だぞ」と言いながら、自分の命よりも優先してしまう彼らの想いが痛いほどわかってしまうあたしは、同じく芸術を愛する人間なのかしら。 隠していた美術品たちが見つかり始めたことがわかったナチス・ドイツ側が別の場所に隠してあった美術品を火炎放射器で焼き尽くすシーンに思わず悲鳴を上げてしまったし、モノとはいえ美術品には多くの人々の思いが込められているのに理解を示さない軍の上官には腹が立って仕方ない。 でもそんなところで言い争っても時間を無駄にするだけ、と引きさがりつつ自分たちの行動を進めるストークスがかっこいい!、のです。
 通訳としてメンバーに途中参加するサム(ディミトリー・レオニダス)が、スター&ベテランの方々にまじって若手として大健闘しているのがとてもすがすがしく、彼はチェックだ!、と思ってしまいました。

  ミケランジェロプロジェクト4.jpg 単独行動でパリに行かされたグレンジャーだが、パリの美術館学芸員クレール(ケイト・ブランシェット)と微妙な関係に。 パリジェンヌであることをことあるごとに強調するクレールですが、ケイト・ブランシェットがどうもフランス人に見えない気が。

 ちなみに、古典的美術品を執拗に集めさせたヒトラーが、集めた先から燃やしていったのがピカソをはじめとする現代芸術だった、というのは、やはり本人がかつて絵描きとして認められなかったという恨みがあるからだろうか、とつい思ってしまう。 エルンストだって確かドイツの人だし。
 戦争時期を舞台としながら、映るのは<戦場の跡>(たとえば、彼らがノルマンディーに上陸するのはいわゆる“ノルマンディー上陸作戦”、つまり『プライベート・ライアン』のオープニングの約一カ月後)。 戦争の跡を辿りながら戦争映画の名場面の跡をも辿る彼らの旅は、ジョージ・クルーニー的戦争映画。 コメディタッチだし大仰なシーンはないけれど、戦争のむなしさは十分伝わる。 連合軍側でも主にアメリカから奪還計画が持ち上がったのは、やはり歴史の薄さからくる芸術への情熱故だったのかしら。
 「美術品のために命を落としてそれでよかったのかね」とルーズベルトが呟く。
 勿論、誰だって進んで死にたくはない。 でも時と場合によっては仕方ない。 むしろ、美術品を守って死ねるのならばそれこそが名誉である、という彼らの気持ちに、涙が止まらなくなってしまいました。
 あぁ、この映画、観てよかったよ〜。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする