2015年12月15日

これは夢ではないかしら・・・@Sting

 生まれて初めて、「ここはあたしの行きつけのレストラン!」と感じた神戸・磯上通のフレンチレストラン『レ・グラース』が閉店してからもう・・・5年?
 味を感じるのはあくまで相対的なもの、個人差がありますが、あたしにとっては自分の好みに限りなく近い味を追求している岡崎シェフは、絶対に逃したくない存在だったのです。
 その後、店は大阪の本町に(名前・形態も変わって)移転し、ビジネス街だったから日祝休みでなかなか訪れるチャンスがなく、それでもどうにか一回行ったんだけど、しばらくしたら「閉店します」というシェフからの留守電。 そりゃーもう大ショック。
 「次のお店が決まりましたらご連絡します」という言葉を支えに待っていたけれど・・・もう3年以上が経過した。
 もう待ってはいられない、本格的に探そう!
 それまでも探していないことはなかったのだが、「きっと連絡をくれるだろう」・「もしかしたらフランスに修行にいっているのかも」とそんなに本腰を入れてはいなかった。
 でもかつてのあたしと同様、磯上通で働いていたことがあって、あの店がお気に入りだったということがしばらくしてからわかった人がいたりなんかして(それが先日のひろさんです)、こんなひっそりやってるここのブログにまで辿りついたり、コメントくれたりする人もいて、「探してください!」という声があたしの元に何人分かたまってきたせいもある。
 シェフを探すのはあたしだけのためじゃない、彼の味を待っているみんなのためなのだ!
 それが、あたしを本気で動かす原動力になりました。
 そして、ついに見つけ出しました。
 シェフは今、大阪市西区新町(地下鉄四ツ橋駅から徒歩3分)の“Sting”というお店にいらっしゃいます。
 ランチタイムはビジネス街だから決まったワンプレート系メニューしかないけれど、夜ならばシェフオリジナル料理が食べられるということで、まず一回目はあたしと一緒にレ・グラースに通っていたえむさんを誘って、訪問。
 シェフおまかせコース・5500円で予約しました。
 シェフとは電話で喋ったけれど、ほんとにこれは現実なのかしらという気持ちがあたしのどこかにあった。 実際にお店に入り(レンガ造りの壁っぽい倉庫のような雰囲気のお店で、入り口が引き戸!)、シェフにお目にかかっても(おやシェフ、なんかちょっと見た目にダンディ入ったよ!)、どこか現実離れしていた。
 しかし料理は、あたしの記憶につながっていく。

  CA3A1974.JPG アミューズ:タマネギのキッシュと不思議な卵
 キッシュは<レ・グラース>時代からのアミューズ定番メニュー。 うっ、タマネギ甘い! そして、あの味! ――ちょっと、泣いてもいいですか。
 そして不思議な卵は、どこかのブランド卵の黄身を冷凍したものが真ん中に入っているのでよくかき混ぜてお召し上がりください、と小さいスプーンが添えられる。 で、ガシガシかき混ぜていただきましたが・・・いろいろなものが入った複雑な味。 確か卵の黄身を冷凍したって言ってたよね? でもそんな冷凍した感じがないんですけど。 で、いろいろ複雑な味を、優しいクリームソースがまとめている。 あぁ、このソースもまた、シェフの味!

  CA3A1975.JPG 前菜:生ハムとフレッシュチーズ
 このフレッシュチーズもちょっと珍しいのが入ってきたので、というご説明。 カチョカバロのまわりを生クリームでくるんでチーズにしたやつ、みたいに解釈しましたが間違っているかもしれません(なにしろメニューがないし、こっちは舞い上がっているので)。
 とりあえず、濃厚! そしておいしい!
 あたしたち、シェフの料理を食べるときは無言になって黙々と食べてしまうので、普段より明らかに食べるペースが速い。 それでも次の料理はそんなに待たされることなくやってくる。

  CA3A1976.JPG ジビエ:コルベールのポワレ
 「こちらは僕からのサービスです」とのこと。 コルベールって、青首鴨(雄)でしょ!
 ジビエの皿をサービスしていただくとは(確かに、あたしは「シェフの鴨が食べたいです!」と電話で言っちゃったけど)・・・絶対コスト足出てるよ。 申し訳ない。
 内臓も、フォアグラもついて、でもジビエって言うほどクセは強くない。 そう、肉類の臭みを消したいのがシェフの個性なんだよな。 フォアグラの表面にちょっと抵抗がある感じが、野生の名残りって感じ。 あぁ、カモは美味しいなぁ。

  CA3A1977.JPG 魚料理:白身魚の蒸し焼き
 たしかスズキと言われたような・・・(記憶が曖昧ですみません)。
 魚の蒸し焼きもフランス語の調理名あるんだけど、忘れちまったぜ・・・定期的に使わないと覚えたはずの言葉も忘れてしまいますね。
 紫色をしたものは付け合わせのニョッキ。 緑色のソースもクリーム系で、一口食べてえむさんと「あっ!」と思わず声が出る。 これって、<レ・グラース>で<本日の魚料理>としてよく出てきた味!
 「うわぁ、なにかを思い起こさせる味ですねぇ」
 「そうそう、まさに<思い起こさせる味>というか、これぞ記憶にあるシェフの料理!」
 若干遅れ気味だったえむさんのペースでしたが、あたしはここで一気にごぼう抜きされ。
 「ほんとに、自分の好きな味のときは食べるの早いよね。 途中で飽きたりおなかいっぱいになってきたらこっちに押し付けるのに」とつい半ば感心、半ばあきれつつそんな言葉が出てしまったら、「あ、ばれた?」と。 ばれますよ、もう10年以上の付き合いですよ。

  CA3A1978.JPG 肉料理:牛熟成肉のステーキ
 お店の看板である熟成肉が出てきました。 「軽く下味はつけていますが、お好みで岩塩などつけてお召し上がりください」とのこと。 写真に入っていませんが、確かアラスカ岩塩・ワインの風味づけした赤紫色の岩塩・ハーブなどが混ざったマヨネーズっぽいソース・マスタードソースなどがボードの四方に。 あたしはシンプルにアラスカ岩塩がよかった。付け合わせの野菜もおいしいし! しかしこうして食べたことで、あたしはやはりそんなにも牛肉が好きというわけではない、ということがわかった。 すみません、東日本ではあまりすきやき以外で牛肉を食べる習慣がないんです(今は違うかもしれないけど、当時は)。
 ここの熟成肉自体は美味しいですよ。 でもさっきの鴨のほうがあたしは好き!

  CA3A1979.JPG デザート:ショコラ・オランジュ
 オレンジが入ったこってりチョコレートケーキ。 しかし付け合わせのソルベが見た目もドラゴンフルーツそのまま! 皮ごと食べられる柿がびっくりするほどおいしい!
 チョコレートケーキの合間にちぎったミントの葉を口に放り込めば、チョコの重厚さが軽減されるのもポイント。 それに紅茶をいただいて、コース終了。
 紅茶(えむさんはコーヒー)を飲みつつ、やっとゆっくりお喋り。 シェフにこれまでの恨み節(?)をぶつける余裕も出てくる。 でもいいのだ、またこうしてシェフの料理が食べられるのだから。
 「また来ますね」と席を立てば、シェフはお店の入口まで見送りに出てくれて、あたしたちの姿が見えなくなるまでその場にいようとする。 途中で気づき、「シェフ! 他のお客さんもいるからもういいですよ! 大丈夫ですから!」と叫んでも深々とお辞儀を返されてしまう。
 こうなったら早く角を曲がるしかない!
 帰り道、「これって夢じゃないですよね」とつい呟いてしまう。 これ以上ないほどおなかはいっぱいなのに。 あぁ、何回か行かないと現実だと実感できないかも!
 早々に再訪を誓う。 ひろさんも連れていかなきゃね、だし!

posted by かしこん at 23:57| Comment(2) | TrackBack(0) | ごはん・お茶の時間 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする