2015年12月10日

ハーモニー/<harmony/>

 <Project Itoh>アニメ化三部作計画、『虐殺器官』の制作延期のため繰上公開。
 『屍者の帝国』が思った以上に面白かったので、つい更に期待してしまった第二弾の『ハーモニー』。 原作的にも好きだし。
 オープニング部分は静かになにかが起こっている、これからなにかが起こる、という予感に満ちた静けさにあふれていてあたしは心の中で盛り上がる。 しかし、次第に「・・・あれ?、こんな話だったっけ?」となっていってしまったのはなんだか残念だった。

  ハーモニーP.jpg 行こう、向こう側へ

 アメリカから始まり全世界を巻き込んだ“大災禍”後、政府は弱体化し、やがて世界は人類こそ最重要的公共リソースであると位置づける高度発達医療社会へ移行した。
 <生府>が誕生し、人々に恒常的体内監視システムWatchMeを埋め込むことで致死的リスクを遠ざけ、すべての人々は健康になった。 その結果、うわべだけのやさしさや思いやりが幅を利かせる“ユートピア”であり続ける世界に飽き飽きの少女ミァハはWatchMeを体内に埋め込まれる前に死を選択しようと友人トァンとキアンをそそのかす。 自殺を試みた3人だったが、ミァハだけが死に、13年後トァンはWHOの螺旋監察官として紛争地帯で働いていた。 そんなある日、大規模テロが発生し数千人規模の犠牲が出る。 “大災禍”再び、とおののく世界に発表された犯行声明はかつてミァハの言っていたことそのもの。 ミァハは、生きている? トァンは真相を追うことに・・・という話。
 自分で書いてて、これほど役に立たないあらすじも珍しいと思ってしまった。

  ハーモニー1.jpg このコード描写をどう受け止めるかも結構重要かな。

 『屍者の帝国』と違って、こちらは基本的には原作に忠実。 それ故に、読み手の解釈の違いが大きく目立ってしまった(つまり制作陣の“解釈”と読み手のひとりとしてのあたしの“解釈”の違い)・・・そういうことなのかもしれない。 だからきっとこの映画に感銘を受けた人もいるだろうし、あたし以上に激怒している人もいるだろうということ。 そもそも原作のある作品の映画化には必ず起こりうる問題だけど、この作品ほど毀誉褒貶の幅が大きそうなものも珍しいのではないか。 そんなことがすごく気になってしまうぐらいだった、というのがいちばんの感想だったかもしれないです。
 映像はきれいだったですし、ヴォイスキャストのみなさんも違和感なく(明夫さんと三木眞一郎は『屍者の帝国』から引き続いての出演で、『虐殺器官』にも出るのだろうかとひそかに期待している)、棒読みやらいわゆるアニメ声へのいらいらに煩わされることなく物語に没頭できたのはとてもよかったです。
 ・・・だからこそ、つらい部分が目立ってしまったのかしら。
 完全なる<ハーモニー>が完成した世界らしき、実写以上に美しい(3DCGの)光景がたたみかけられる終盤の流れは圧巻だけれど、だからこそメインの女性たちの描かれ方・気持ちの伝え方がなんだか短絡的過ぎて、ほんとに残念です。

  ハーモニーP2.jpeg ポスターよりも、このチラシのビジュアルのほうが好きだな。
 <わたしの心が、幸福を拒絶した。>というコピーのほうが、テーマに合っていた気がするし。

 『虐殺器官』は2016年完成をめどに制作再開の報があり、安心しました。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする