2015年11月26日

劇場版 MOZU

 別に観るつもりはなかったのだが・・・WOWOWに総集編とTVシリーズ全15話一挙放送をやられて勢いで観てしまい、やっぱり新谷兄弟いいなぁ! 池松くん、ステキ!、的精神にとらわれてしまい、劇場版にも参戦してしまいました。 実は正直なところ、倉木警部とかどうでもよくなってます。

  モズp.jpg 終止符を、打て。

 爆破事件に巻き込まれて死んだ妻、その前に事故として処理された愛娘の死の謎を追い、ついに警察内部に存在する闇を暴いた公安のエースと呼ばれた倉木警部(西島秀俊)だったが、すべての謎が解明されたわけではなかった。 密かに謎を追い続ける日々だが、あれから半年後、テログループによる高層ビル占拠事件とペナム大使館襲撃事件とが同時に発生。 優秀な犯罪プランナーの高柳(伊勢谷友介)と暗殺のプロである権藤(松坂桃李)が率いるグループが引き起こしたものであり、権藤の手口はかつて“百舌”と呼ばれた殺し屋・新谷宏美の模倣犯と思われた。 そして彼らの背後には、戦後犯罪史を裏から操り続けていると噂される謎の存在(個人なのか団体なのかすらも不明とされていたはずだが・・・)の“ダルマ”(ビートたけし)の存在がちらついていた・・・という話。
 もう、笑うしかないのは、みなさん壊れた人しか出てこない、ということ。
 ドラマ第一部『百舌の叫ぶ夜』は倉木警部が壊れていく過程を、第二部『幻の翼』では壊れた状態のまま突き進む決意を描いていた、と考えれば、そりゃ劇場版では壊れたまま突き進む様を描くしかないですよね、納得です。

  モズ1.jpg いちばん壊れている人、倉木。
     彼のいちばん多い台詞は「おれの家族になにをした!」です。

 しかしダルマを実体化させてよかったんだろうか・・・結局また別の違う話になっちゃってます。 まぁ、それが『MOZU』の世界観なんでしょうけど。
 殺し屋としての百舌の比喩は、<百舌の早贄>
 それは宏美ちゃんと和彦くんの「誰も理解できない、おれたちの衝動は」に象徴される猛禽類としての“百舌”。 しかし劇場版ではカッコーに托卵されるという弱者としての“百舌”の存在をあえて浮かび上がらせる(つまり倉木もまたMOZUであったということを言いたいのか)。 
 新谷兄弟の生き様に惹かれてドラマを観ていた身としては大変寂しいのであります。
 それでも、新登場の暗殺者・権藤が明らかに宏美ちゃんを冒涜している存在であることにあたしはとても腹が立ち(本人としてはフォロワーのつもりらしいが)、同じように和彦くんが腹を立てて現れてくれたのはとてもうれしかったです(個人的にツボだったのはそのシーンだけか?)。

  モズ5.jpg 和彦くん! やれ、やっちまえ!

 確かにアクションはド迫力ですが、アクションシーンのために組み立てられたストーリー展開という感じがして・・・結局なにひとつ謎は解けないしね(というか解けると思うほうが間違いである)。 イワン・タイラーどこいったよ、って感じだし。
 そのくせチャオ東(長谷川博巳)の過去がちょこっと見えたら実は愛すべきキャラっぽくなってしまい(悪役として愛すべきキャラというのとは意味が違ってしまった)、冒頭あたりで「こいつもとんでもない目にあってすさまじい死に方すればいいのに」と確かに思ったあたしですが、後半ではそう思ったことをちょっと反省してしまったからね!

  モズ4.jpg 彼のふざけた態度の奥にある悲しみが見えてきてしまっては、単純に「こいつムカつくぜ!」と言えなくなっちゃうのだよ・・・。

 大杉元警部補・今は私立探偵(香川照之)はじめみなさん結構死にそうな怪我を負いながら、それでもみなさん死なない、というのがすごい。 というか、かなり無茶苦茶だ(その分、「え、こいつもう死ぬのかよ!」というあっさりしたがっかり感もあり)。
 大杉さんはスピンオフが2本あったせいか、今回は出番はそんなに多くなかった。
 ダルマの「――地獄? ここが地獄だよ!」の場面もCMで流しすぎたよね・・・あそこがいちばんいい見せ場なのに(しかしダルマは自ら地獄と呼ぶ世界をどうして裏から操り続けていたのだろう? よくわからない)。
 映像的に描くことで説明を省略する、という手法はとても映画的ですごくよかったですけど(冒頭、ダルマの目‐瞼と睫のアップから倉木一家の写真につながり、ドラマでは使われていないカットで残酷に燃え上がるところは、倉木の幸せを奪った張本人はダルマであることを示唆しているのだろうし、後半、また目のアップが同じアングルで出たときにはその目は実は倉木のもので、彼が行きつけのバーで酔ってまどろんでいる場面へのループ構造にも関わっている。 そういうトリッキーなところはキライではない)、全体的にどうかと尋ねられれば、消化不良です・・・完結編と銘打ちながら、結局終わらないというね。
 続きはみなさんご自由に、ということなんだろうけれど・・・和彦くんの行く末が、やはりあたしには気がかりです。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする