2015年11月12日

ヴェルサイユの宮廷庭師/A Little Chaos

 へー、アラン・リックマンが監督なんだぁ、だから自分でルイ14世もやっちゃうわけだ、と納得しつつ、ふと気づく。 フランス王宮の話でありながら、イギリス制作じゃん!、と。
 だから当然会話も英語だし、しょっぱなからルイ14世はお笑い的行動をとるし、「あ、これはシリアス歴史ドラマではない。 一種のコメディだ」と理解する。
 そう思うとまったく問題ないのですが、史実に即した歴史モノと思って観に来る人たちはご立腹かもしれない・・・なんか、そんな映画でした。 あたしとしてはその当時に未亡人が自分の才能と力で仕事をして生きていく、ということがすごい!、と思っていたので、輝かしいケイト・ウィンスレットが観られて満足。

  ヴェルサイユの宮廷庭師P.jpg 世界一有名な宮殿の<秘密>がいま明かされる。

 1682年、フランス。 ルイ14世(アラン・リックマン)はベルサイユ宮殿の改築計画を進めていた。 国王の庭園建築家アンドレ・ル・ノートル(マティアス・スーナールツ)は新しい宮殿の庭の設計を一手に任されたが、造園作業も含めてすべての統括を一人でするのは無理と判断。 その協力者に応募しませんかというオファーを受けたサビーヌ・ド・バラ(ケイト・ウィンスレット)は田園地方を中心に活躍している造園技師。
 そんな華々しい場に自分はふさわしいのだろうか、と半信半疑でアンドレ・ル・ノートルに会いに行くが、ライバルは数多く、実際ルノートルとは“庭”というものの捉え方について意見が対立してしまう。 この件はもう終わった、といつも通りの仕事に精を出すサビーヌだったが、数日後、ルノートルが彼女に会いに来て・・・という話。

  ヴェルサイユの宮廷庭師1.jpg 面接のために帽子を美しく飾る。 アーティストであると同時に女心?
 なんというか彼女は、とても立体感がある肉体というか、確かに存在している感がすごくいいんですよね〜。 ミラ・ジョヴォヴィッチも確かに美しいけれど、めったにない美しさだからこその特別感がどうしても役を選んでしまうんだけど(どう見ても普通の人には見えないから)、ケイト・ウィンスレットはコスチュームプレイが似合うということもあるんだけれど、ドレスを縫ってもらうときに「そこ、ちょっときついわ」という台詞にまったく違和感がないし、庭の設計師とはいえ自分で作業も全部やるというたくましさがそこにはあるし、実存という美しさを体現してるなぁ、としみじみ思います。
 なんでも、この映画の撮影中、ケイト・ウィンスレットは妊娠中だったとか! だからより立体感があったのか・・・(といっても別に太っているわけではないんですけどね)、納得。

  ヴェルサイユの宮廷庭師4.jpg はじめは対立していたが、自分にないものを持つサビーヌに惹かれていくルノートル。 またわかりやすいことに、彼には父親が有力貴族ながらどうしようもなく高慢ちきの妻がいるという・・・。

 完成しきったヴェルサイユ宮殿を知っている者からしたら(といってもあたしは実際に行ったことはありませんが)、池やら噴水やらたくさんあってあれだけ水が豊富なのに、実は造園作業開始の段階ではほとんど水源がなかったというのが驚き! 周囲の地形図を見てサビーヌが近くの川から水路を掘れば水を安定供給できると提案するなど、やり手すぎるぞ、サビーヌ!

  ヴェルサイユの宮廷庭師3.jpg しかも彼女の名前そのものがこの極東の島国では“薔薇”を意味するだなんて気づきもしないんでしょうね。
 造園メイキングモノ的面白さもありますが、それだけで終わってはもったいないと思ったのか、ルノートルの出世(国王の寵愛?)を苦々しく思う方々による陰謀があったり、そのおかげでサビーヌとルノートルの距離が結果的に縮まったりと、ちょっと昔の少女漫画的な展開はあたしにはなんだか懐かしかったです。
 原題である“A Little Chaos”とは、サビーヌが庭づくりにおいて心がけていること。
 小さな混沌・ちょっとした無秩序があるおかげで、<完全なる秩序>が引き立つというもの。 ルノートルが目指していたのは<一分の隙もない完全なる秩序>だったけれど、それでは息がつまり心安らぐ庭園にはならないことを彼は身を持って知る、的な。
 太陽王にそんなお茶目な面があったのか・・・という部分もコメディ要素といえば要素か。
 でもルイ16世だって錠前作りが趣味だったわけで、よんどころなき身分の方々には何をわざわざ、みたいなことが楽しみなのかもね。
 自立した女性に癒しと安らぎを、というテーマに歴史ときらびやかさをまとわせたこの映画、ちょっと年齢層高めの少女マンガでもあり、もしくはハーレクインロマンス時代劇版(てことはある意味宝塚?!)というか・・・イギリスって実はフランスに憧れがあったのね、とちょっと思わされちゃったかな。 かつて支配していた時代もあったのにね。
 とりあえず、これはケイト・ウィンスレットを観る映画であることは間違いないです。
 彼女以外にサビーヌ役、思いつかないもん。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 19:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする