2015年11月15日

COOL UNCLE/Bobby Caldwell & Jack Splash

 タワーレコードからの告知メールで、<ボビー・コールドウェル、新ユニット起動!>という文を見たのはいつのことだったであろうか。 8月末か9月頭ぐらいだったか。 「あぁ、だから今年のツアーは早かったのか」と納得したのでした。
 ちょうどポイント10倍キャンペーン時期だったからそのまま予約して・・・そしたらば発売日が当たり前のように延期になって、「うっ、以前のリチャード・マークスみたいなことになるのか」と一瞬冷や汗をかいたものの、ボビー・コールドウェルにとっては日本は大事なマーケット。 そんなことにはなるまいと自分に言い聞かせながら、それでもちょっとドキドキしながら待っていたら、新たな発売日(11月11日)前日に届きました。

  クールアンクル.jpg COOL UNCLE/Bobby Caldwell & Jack Splash

 “かっこいいおじさん”ということでいいのでしょうか? 地味なジャケットも「内容で勝負」という気持ちのあらわれかと。
 ジャック・スプラッシュはグラミー受賞歴のあるプロデューサーだけど、お得意ジャンルはHIPHOPやそっち寄りのR&Bという印象。
 まぁ、ボビーも“キング・オブ・AOR”と呼ばれていますが(ていうかそれいつから? ちょっと前まで“ミスターAOR”だったのでは?)、R&Bやブルー・アイド・ソウルの要素も十分の人だからミスマッチということはないでしょうけど・・・パッケージを開ける前からトラック一覧に並ぶ feat. の多さにいささかひるむ。
 ボビーのヴォーカルが少なかったらどうしよう!
 イントロは拍手の音とライヴの始まりを告げるような呼び込みの声。 あ、ライヴ盤的な構成なんだ。 だからバックを務めている人たちがちょこちょこ表に出てきて脚光を浴びる場面もあるけど、主役はあくまでボビー・コールドウェルである、という流れか!
 でも一曲目、なかなかボビーが現れないのでドキドキ。 メイヤー・ホーソーンばっかり歌ってるじゃないか!、と思っていたらいちばんの中サビあたりから余裕の登場で、一気に彼の世界になりました。
 とはいえホーンセクションを従えつつもビートは打ち込みという従来にはないアプローチはソロ名義ではなく新ユニットとした意義であろう。 デュエット曲は前からあったけど、そこにラップが絡むのも新しい。 まさにボビーっぽいミディアムテンポの曲もギターにゆがんだエフェクトがかかっていたりといたるところに仕掛けが。
 おぉ、かっこいいじゃないか!
 それにしても声が変わらないなこの人は・・・いったいいくつなのだろう。
 <来日公演決定! 2015年12月21日 ビルボードライブ大阪>というシールが貼ってあったので、よし今度こそ!、と調べたら・・・びっくりするお値段(目玉が飛び出るとはまさにこのことだ)。 どうもクリスマスディナーつきみたいです・・・ライヴだけでいいので、もっと安くしてもらえませんか! ← 切実なお願い。

ラベル:洋楽
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2015年11月14日

旧交をあたためるランチ その1@Olive Bar

 大人になってからは友だちってつくりにくいものだと昔のあたしは思っていましたが、実際はまったくそんなこともないのだと実感しつつある今日此頃。 むしろ、学生ではなくなってからの方が、仕事などに対する価値観が近い等の理由でお付き合いの感覚が深くなるような気がします(子供の頃から今も付き合いがある人たちも、勿論いますけど)。 逆に、高校生の頃はあんなに仲がよかったのに、今や全く連絡先もわからない人もいるしなぁ(それは筆マメでないあたしにも責任があるが)。
 人の縁とは不思議なものでございます。
 今回は、前の仕事でお世話になっていたマダムとのランチ。 お店選択もおまかせしたら、しっかりコース料理を予約していただいていました。 場所は大丸神戸店近くの“Olive Bar”(オリーブ・バール)。

  CA3A1945.JPG 前菜:里芋のテリーヌとフォアグラ
 向かって右のコロッケ状になっているのが軽くサトイモをマッシュしたもの。 表面のカリカリと内側のねっとり感がいいコントラストでした。 テリーヌにもサトイモが入っているようで、こっちはフォアグラのねっとりに対するアクセントに。

  CA3A1946.JPG カボチャのポタージュと手長海老
 上にのっかったクリームがスプーマ(ムース的細かい泡)状になっていて、「おっ、ここは分子料理を取り入れているお店か?!」とドキドキする。 ソースを泡にするぐらいは結構やっている店があると聞きますが・・・全メニュー分子料理は食べたことないなぁ(そしてあたしは食べたいかどうかわからないなぁ)。
 ちなみに、バケットが最初に来たのですが・・・「バターないよ」と一瞬思ったあたし。
 そうか、このお店は名前の通りオリーブオイルに自信たっぷりのお店だった! 小皿にボトルからたぷたぷとオリーブオイルを注いでバケットにつけると、すごく軽い! あぁ、これこそ本物のエクストラヴァージンオリーブオイルですね!

  CA3A1947.JPG 海と大地のサラダ<秋>ヴァージョン
 どうやらこのサラダがメイン料理のようです。 なんだかわからない野菜の間に、お魚やお肉が隠れています。 しかも野菜を食べ終わるとその透明のふたの下には更に皿があり、小さなお魚のポワレとまた野菜が。 野菜もチップス状に薄切りにして揚げてあるものから軽く火を通してあるもの、生、と様々。 繊維質のものをばくばくと食べ、その合間にエスカベッシュ的小魚を食べるという感じで、「野菜でおなかがいっぱいになる!」と実感できるメニューでございました。

  CA3A1948.JPG ポルチーニ茸とルッコラのスパゲッティ
 なのにこの次にパスタが来るのかい! ↑ 陽がさしてきました。
 ルッコラは香草なので好き嫌いがあると思われますが、そしてあたしは薬味系苦手な人間なのですが、何故かルッコラは平気なのですよね、むしろ好きというか。
 しかし、パスタとしては大した量でもないのにあたしとマダムはかなりおなかにダメージをくらってしまいました(当然、完食しましたけど)。
 このあと、口直し&デザート一品目として<無花果と桂花陳酒のグラニータ>が来たのですが写真を撮るのを忘れました。 お皿、ちっちゃかったし。

  CA3A1949.JPG 栗のテリーヌ カシスとカカオのクランブル
 デザート二品目。 そんなに大きくなくて助かりました。 これにコーヒー・紅茶でコース終了。 全体的に優しいお味、あと新鮮な野菜を売りにしているお店、という印象ですかね。
 あ、オリーブオイル! もっとバケットにつければよかったかな・・・と最後の方で後悔(もう遅い)。
 そしてマダムとはお互いの近況報告。 マダムはお仕事をまだ続けていて(あたしが本を捨てられたことでぶちぎれてやめたところである)、その後の変化などを教えていただく。
 優しく穏やかでまわりに気を遣うマダムにつけこんでオーナーが無理難題を言っていることにとても腹が立つ(マダムはお客さんのことを考えて、「他にする人いないわ」と仕方なく引き受けているだけなのに、そこを無理させていると気づけない・気づきたくない経営者ってなんなの! ブラック企業か!)。
 と、そんな大変な状況にいるマダムに、あたしはあたしで今の仕事で転勤の話が出ていてとても迷っている・・・という相談をしてしまいました。 すみません。
 更に、「ここは私が」と御馳走してまでいただいてしまった!
 あぁ、10年後、あたしはマダムのように素敵な大人になれているかなぁ。 目標は、高く!

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2015年11月13日

レッドベルベット・カップケーキが怯えている/ジョアン・フルーク

 <お菓子探偵・ハンナ>シリーズ第16弾。
 あたしにとって、これぞコージーミステリ、というイメージそのもののシリーズです。 とはいえ、もう16作目だなんて・・・一年に一冊(だいたい9月から11月の間に発売)のペース、あたしがリアルタイムで買い始めたのが3作目『ブルーベリー・マフィンは復讐する』からだから、すでに12・3年は読んでいるってこと!? 時間の流れって恐ろしいわ。
 相変わらず舞台はミネソタ州の小さな町、レイク・エデン。 前作『シナモンロールは追跡する』から二カ月後の6月に次なる事件が起こります(今回珍しく、前作で解決しきれなかった謎があって、それが今作である程度明らかになるということも)。

  ハンナ16.jpg レッドベルベット・カップケーキはココアに酢やバターミルク(レモン汁が入ってます)を混ぜて焼くことで化学反応を利用して赤くさせるケーキ。 デビルズフードケーキもそんな感じではなかったか? でも最近は食紅で真っ赤にするパターンが多いようです。 いかにもアメリカン!

 今回は過去作でハンナをはじめノーマンなどなどにえらい迷惑をかけたドクター・ベヴが、町一番の大富豪の婚約者としてレイク・エデンに舞い戻ってきたからさあ大変!、という、いかにもなストーリー展開ですが、これもまた長寿シリーズならではのお楽しみという感じ。
 そんな中にシビアな殺人事件が起こるのがまたいいバランスです。
 そしてまたしても、ノーマンとマイクの間で結論を出さずに“両手に花”を楽しむハンナ。
 これ、コージーだからなんとかなってるけど、現実世界だったらどっちか迷っているうちに二人とも去っていくよ!、とハンナにはほんとに忠告したいレベルになってきた。 明らかにノーマンの方が人間的魅力に勝っているのに、ハンサムでセクシーだからという理由だけで無意識に男性優位視点の持ち主であるマイクに彼女自身幻滅することも増えているのに、何故さっさと引導を渡さないのか!
 だって、夜中に電話で「やあハンナ、今きみのアパートの下まで来てるんだけど、行ってもいいかな」なんて言われて人のいいハンナが断れると思うのか? おなかをへらした自分のために料理をつくってもらえるのが彼は当たり前だと思っている。 ハンナは自分のお店(“クッキー・ジャー”というクッキー&デザート&カフェテリア)を持っているので仕込みのために毎朝5時には起きる人なのに、そういうことはまったく気にしない男なんだぞ!
 それはやはり、ハンサムでセクシーな男性に自分がもてている、という状態をまだまだ手放したくない、ということなんでしょうね。 その感覚って若くて美しい女を連れて歩くことがヨロコビの年上の男性みたいにも思える。 アクセサリー代わり、みたいな。
 もしくは二人のうちどちらかを選んだらシリーズが終わっちゃう、ということなのかも。
 いつかボロぞうきんのように捨てられるマイクの姿をみられることを期待して、また来年、次作を待ちたいと思います。

ラベル:海外ミステリ
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2015年11月12日

ヴェルサイユの宮廷庭師/A Little Chaos

 へー、アラン・リックマンが監督なんだぁ、だから自分でルイ14世もやっちゃうわけだ、と納得しつつ、ふと気づく。 フランス王宮の話でありながら、イギリス制作じゃん!、と。
 だから当然会話も英語だし、しょっぱなからルイ14世はお笑い的行動をとるし、「あ、これはシリアス歴史ドラマではない。 一種のコメディだ」と理解する。
 そう思うとまったく問題ないのですが、史実に即した歴史モノと思って観に来る人たちはご立腹かもしれない・・・なんか、そんな映画でした。 あたしとしてはその当時に未亡人が自分の才能と力で仕事をして生きていく、ということがすごい!、と思っていたので、輝かしいケイト・ウィンスレットが観られて満足。

  ヴェルサイユの宮廷庭師P.jpg 世界一有名な宮殿の<秘密>がいま明かされる。

 1682年、フランス。 ルイ14世(アラン・リックマン)はベルサイユ宮殿の改築計画を進めていた。 国王の庭園建築家アンドレ・ル・ノートル(マティアス・スーナールツ)は新しい宮殿の庭の設計を一手に任されたが、造園作業も含めてすべての統括を一人でするのは無理と判断。 その協力者に応募しませんかというオファーを受けたサビーヌ・ド・バラ(ケイト・ウィンスレット)は田園地方を中心に活躍している造園技師。
 そんな華々しい場に自分はふさわしいのだろうか、と半信半疑でアンドレ・ル・ノートルに会いに行くが、ライバルは数多く、実際ルノートルとは“庭”というものの捉え方について意見が対立してしまう。 この件はもう終わった、といつも通りの仕事に精を出すサビーヌだったが、数日後、ルノートルが彼女に会いに来て・・・という話。

  ヴェルサイユの宮廷庭師1.jpg 面接のために帽子を美しく飾る。 アーティストであると同時に女心?
 なんというか彼女は、とても立体感がある肉体というか、確かに存在している感がすごくいいんですよね〜。 ミラ・ジョヴォヴィッチも確かに美しいけれど、めったにない美しさだからこその特別感がどうしても役を選んでしまうんだけど(どう見ても普通の人には見えないから)、ケイト・ウィンスレットはコスチュームプレイが似合うということもあるんだけれど、ドレスを縫ってもらうときに「そこ、ちょっときついわ」という台詞にまったく違和感がないし、庭の設計師とはいえ自分で作業も全部やるというたくましさがそこにはあるし、実存という美しさを体現してるなぁ、としみじみ思います。
 なんでも、この映画の撮影中、ケイト・ウィンスレットは妊娠中だったとか! だからより立体感があったのか・・・(といっても別に太っているわけではないんですけどね)、納得。

  ヴェルサイユの宮廷庭師4.jpg はじめは対立していたが、自分にないものを持つサビーヌに惹かれていくルノートル。 またわかりやすいことに、彼には父親が有力貴族ながらどうしようもなく高慢ちきの妻がいるという・・・。

 完成しきったヴェルサイユ宮殿を知っている者からしたら(といってもあたしは実際に行ったことはありませんが)、池やら噴水やらたくさんあってあれだけ水が豊富なのに、実は造園作業開始の段階ではほとんど水源がなかったというのが驚き! 周囲の地形図を見てサビーヌが近くの川から水路を掘れば水を安定供給できると提案するなど、やり手すぎるぞ、サビーヌ!

  ヴェルサイユの宮廷庭師3.jpg しかも彼女の名前そのものがこの極東の島国では“薔薇”を意味するだなんて気づきもしないんでしょうね。
 造園メイキングモノ的面白さもありますが、それだけで終わってはもったいないと思ったのか、ルノートルの出世(国王の寵愛?)を苦々しく思う方々による陰謀があったり、そのおかげでサビーヌとルノートルの距離が結果的に縮まったりと、ちょっと昔の少女漫画的な展開はあたしにはなんだか懐かしかったです。
 原題である“A Little Chaos”とは、サビーヌが庭づくりにおいて心がけていること。
 小さな混沌・ちょっとした無秩序があるおかげで、<完全なる秩序>が引き立つというもの。 ルノートルが目指していたのは<一分の隙もない完全なる秩序>だったけれど、それでは息がつまり心安らぐ庭園にはならないことを彼は身を持って知る、的な。
 太陽王にそんなお茶目な面があったのか・・・という部分もコメディ要素といえば要素か。
 でもルイ16世だって錠前作りが趣味だったわけで、よんどころなき身分の方々には何をわざわざ、みたいなことが楽しみなのかもね。
 自立した女性に癒しと安らぎを、というテーマに歴史ときらびやかさをまとわせたこの映画、ちょっと年齢層高めの少女マンガでもあり、もしくはハーレクインロマンス時代劇版(てことはある意味宝塚?!)というか・・・イギリスって実はフランスに憧れがあったのね、とちょっと思わされちゃったかな。 かつて支配していた時代もあったのにね。
 とりあえず、これはケイト・ウィンスレットを観る映画であることは間違いないです。
 彼女以外にサビーヌ役、思いつかないもん。

ラベル:映画館 外国映画
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2015年11月11日

カプチーノはお熱いうちに/Allacciate le cinture

 イタリア映画で、オシャレっぽいタイトルにポスターで雰囲気を出してはいるけれど、監督は『明日のパスタはアルデンテ』の人だ! 絶対ヘンな家族とか、ゲイの青年とか出てきて一瞬にして長い時間が経過したりする“人生”を描くものに決まっている!
 実際、冒頭から土砂降りの雨が石畳を濡らしている(というか池になってるぞ、というくらい深さがあるのだが、駆け抜ける人の靴はそこまで沈んでいないのでどうもCG処理のようだ)。 バスの待合所で濡れないように押し合い圧し合いする人たちの中での最悪の出会いが、その後の人生を変えるきっかけなんてね。

  カプチーノは2.jpg とにかくカフェがおしゃれだ。 
 南イタリアの街・レッチェ。 カフェで働くエレナ(カシア・スムートニアック)は同僚で親友のファビオ(フィリッポ・シッキター)といつか独立して自分の店を持つことが夢だった。しかし雨のバス停で最悪の出会いをした男が、もう一人の親友シルヴィア(カロリーナ・クレシェンティーニ)の新しい彼氏アントニオ(フランチェスコ・アルカ)だと知り、最悪の気分に。 しかし反発心は彼への興味を逆に生んでしまい、いつしか二人は恋愛関係に。
 13年後、ファビオとともにお店を成功させたエレナは、「仕事しすぎだよ」とファビオにからかわれながらも支店を出す計画を立てていた。 アントニオとの結婚生活は予想通り、決まった仕事を持たない彼のちゃっかりした浮気と子供との日々で彩られていた。
 これは自分が望んだ人生なのか? そんな中、おばさんに連れられた乳ガン検診がエレナにある契機をもたらす・・・という話。

  カプチーノはP.jpg 友だち、家族、そして、あなた。 愛し愛されて、わたしは今、生きている。

 さすがラテン系、感情の発露が濃い。
 あたしも自分は比較的ラテン系気質かと思っていましたが、それはあくまで大和民族の中での範疇の話であって、本場の方々とは全く比較にならないことを思い知りました。 愛情と本能がまず別(その後、変化していくけれども)、という描写を一瞬で理解させる感じ、お見事です。
 男ってバカだなぁ、という部分と女ってバカだなぁ、という部分がやはり違うのが、どんなに愛し合おうが永遠にわかりあえない二人、ということなのでしょうか。 ゲイのファビオがいい感じに盛り上げてくれますが、彼はタイプが女性寄りなのでほぼ女友達っぽいのが面白い。
 あとはやはりエレナの家族が母親と気分屋(人格が変わると紹介されている)のおばさん(母親の妹)という女系家族なところもまた、女性目線強めの映画のように。
  カプチーノは3.jpg みなさんゴージャス美人だし。

 だからなのかあたし個人の資質の問題か、アントニオに対して完全に感情移入できないというか、愛情を持っていることは感じるけれども信用しきれない困った感じが。 ノーマル女にとってノーマル男(しかもかなりオス要素強し)はやはり完全には理解不能なのかしら。
 というか、イタリア女はそういう男を結局許してしまうからその連鎖が消えないのでは?(これは日本の女性と男性の関係にも言えることかもですが−少なくなってはきていると思うのですが、妻はいつしか母親の代役になる、という点において)。
 勿論、正しい愛の形も家族の形も人生の形もない。
 本人が納得できるかどうかだけが価値基準ですから。
 時間の流れが交錯する終盤のまとめ方がとても美しかったです。
 記憶の中ではいつでも過去を追体験できるし、それを現在とすることも可能で、<死>という存在は終幕ではなく永遠の入口なのかもしれないという魅力的な考え。 映画途中で飛ばされた13年間を最後の方に持ってくる構成も些かベタではありますが、それまでのもやもやを吹き飛ばしてくれる効果がありました。
 きれいだなぁ、南イタリアの海は、と思いつつ、それでも彼らの情熱についていくことは感情や表情の起伏に乏しい大和民族には至難の業であるとも納得するのでした。

ラベル:映画館 外国映画
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2015年11月10日

先生と迷い猫

 小説家・小林弘利ファンとしては、彼が映画の脚本を書くのは複雑な心境だったりする。
 もともと学生時代から映画の仕事がしたかった人なのだから、今の状況はむしろ彼の希望通りであろう。 でも、あたしは彼の小説が好きだったんですよ。
 なので、微妙で複雑な思いを抱えつつ、<脚本:小林弘利>とあれば観に行ってしまうのであります。 まぁ、今回はネコの話だし、偏屈なイッセー尾形も気になるところではありましたが。

  先生と迷い猫P.jpg 君がいると、人生は面白い。

 舞台はコンビニもなさそうな寂れつつある港町。 一匹のノラの三毛猫は町中をうろうろし、日課のように美容院・駄菓子屋の店先、バス停などを訪れ、その先々でそれぞれに名前を付けられ、かわいがられていた。 そんなノラの立ち寄り先のひとつが「校長先生」と町のみんなに呼ばれている退職後の森衣さん(イッセー尾形)。 趣味をかねてロシア文学を翻訳する静かな日々を送っている。 校長先生は亡き妻(もたいまさこ)の仏壇の前で我が物顔に振る舞う三毛猫が許せず、見つける度に追い出すが、ヤツは隙間を見つけていつの間にかちゃっかり居座っている。
 ある日、地元の新聞にネコの死体が段ボールに詰められて発見されたというニュースが載る。 家の隙間を全部埋めた校長先生は「これでもう入ってこれないぞ!」と勝利宣言。 それ以来三毛猫は姿を見せなくなったが、それは校長先生の前からだけでなく、彼女をかわいがっているすべての人たちの前からだった。 貼り紙を作り始めた美容院の奥さん(岸本加世子)の行動をきっかけに、そのネコと関わっていた町の人々はお互い知り合い、ネコを探す行動に出る。 その中でいちばん熱心だったのは校長先生だった・・・という話。

  先生と迷い猫1.jpg イマドキの若者・猫アレルギーの町役場職員を演じる染谷くんが相変わらず飄々としていい感じ。 唯一、校長先生につっこむキャラでもある。

 白髪で偏屈なイッセー尾形はどことなく大竹まことを連想させ(これはあたしの個人的な見解のせいです)、「あ、イッセーさんならこういう間なんだ」と想像の大竹まことと比較してしまっていたことをまずお詫びいたします。 でもそれは校長先生の存在がコントに出てきそうな感じだったから。
 小林弘利的世界からいえば、孤児院(?)育ちの小学生男子がキーパーソンだったと思うのだけれど、そこはあえてぼかしてというか、説明なしでほったらかしにしてしまったところが(なんとなく想像はつくけどそれでいいかどうかという問題もあるし)彼らしくないというか、そこにわずかでも救いの光を当てるのが彼の世界であるはず。
 完全オリジナルストーリーではなく原作があり、また脚本にあったとしても編集の段階でカットされている可能性もあるし、そこらへんの判断が一観客からは難しいです。
 でも、一匹のノラネコをきっかけに、小さな町でもお互い知り合いではなかった人たちが連帯する、という大きな物語が、この映画のポイントなんだろうなと。
 あと、偏屈な校長先生が自分の自覚なき偏屈さと向き合う物語でもある。

  先生と迷い猫3.jpg 奥様役がもたいまさこさんってのがずるいですよ〜。 それだけでもう説得力あるもんなぁ。
 ネコの出番は思いのほか少なかった、ような気がする。 港町だからおこぼれの魚にあずかれるせいか、そこそこな数のノラネコがいるようなのに、例の三毛猫以外はその他大勢扱いだったのは寂しい感じがした。 他のノラネコに愛情を抱いていた人だっているのではないか? 物怖じせず人間にがんがん寄ってくるノラネコだけ特別扱い?
 それも含めて、人間の身勝手さが根底にある映画ということだったのでしょうか。
 なんだか違う意味で切なくなってしまいました。

ラベル:映画館 日本映画
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2015年11月09日

今日もハヤカワ文庫を4冊。

 ひと雨ごとに深まる秋のはずが、蒸し暑いとはどういうことだ!
 朝、駅までの道を普通に辿りながら(時間的に焦ってはいなかったし、走ってなかった)、頭皮から出る汗が首筋をだらだらと伝っていくのに耐えられない。 ほんとに今は11月ですか?! 着る服に大変困っている今日此頃です。

  レッドドラゴン1.jpgレッドドラゴン2.jpg レッド・ドラゴン【新訳版】/トマス・ハリス
 え、何故今『レッド・ドラゴン』の新訳が?、と思ったところ、スターチャンネルでドラマ『ハンニバル』のサードシーズンが始まるからみたいですね(それ以外のレクター博士が出てくる話の版権は新潮社が持ってるし、なによりドラマ自体が『レッド・ゴラゴン』の前日譚ですし)。 あたしがこれを読んだのはもう20年前ぐらいになってしまうのだろうか。
 時間がたつのは恐ろしい。
 ドラマ『ハンニバル』はファーストシーズンをAXNで観ましたが、「あれ、グレアムってこんな人だったっけ?」と思ったので、そのあたりを確認したいと思います。

  オールクリア文庫1.jpgオールクリア文庫2.jpg オール・クリア/コニー・ウィリス
 『ブラックアウト』に続く二部作完結編。 こんなに早く文庫になるのなら、新銀背版を買わなくてもよかったかな・・・と思えるのはあたしがすでにこれを読んでしまっているからであって、あてなく待つのはつらかったろうからやっぱり先に買って読んでおいてよかったのだと思う。 文庫版は再読のときや人に貸す用(こっちの方が読みやすい)。
 そしてコニー・ウィリス最新情報が詰まった大森望さんの解説が楽しみ。

 本日はジュンク堂センター街店に寄りました。 創元推理文庫の奥の平台に、ヘニング・マンケルのヴァランダーシリーズが並べられていて、「もしかしてこれ、追悼コーナー作成途中?」と思ってしまいました。 後日、また訪れてみます。

ラベル:新刊
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2015年11月08日

ヴィジット/The Visit

 こっちこそ、「おかえりなさい!」という声にふさわしい相手、M・ナイト・シャマランの、ホラー・サスペンステイストに回帰した新作。 シャマランに対してはいろいろと毀誉褒貶がありますが、あたしは一度「この人、すごい!」とか「この人、好き!」と思ってしまった相手は決してキライになれない性格。 『シックス・センス』で「やられた!」と裏をかかれる気持ちよさ(と同時に、何故気づかなかったのだ、違和感はずっとあったのにという悔しさ)を体験させてくれた彼のことを、多分あたしはずっと好きだと思うのです(だから前作『アフター・アース』は悔しさを通り越して泣きたくなりましたよ。 当時評判いまいちだった『アンブレイカブル』なんか、アメコミ作品の映画化全盛の今、改めて観直したら絶対に再評価されると思う)。
 で、てっきりドラマ『ウェイワード・パインズ』が好評だからまた映画が撮れるようになったと思っていたのですが、なんとカンパニーマークは『パージ』と同じところ! しかもPOV視点! なんと彼の新作は、低予算のある意味インディーズ映画だったのでした。

  ヴィジットP.jpg 祖母の家には奇妙な「3つの約束」があった。
     あなたは絶対に、“その約束”を破ることになる――。

 ポスターもコピーも、タイトルが似ているせいか過去の作品『ヴィレッジ』になんか似ています(真っ黒ベースのところは『シックス・センス』もか?)。 というかあえて似せていることが丸わかり(まぁ、舞台は同じペンシルベニアだし、風景もどこか通じるものがあるけどさ。 ときどきワイエスの絵みたいで)。
 日本の宣伝会社、そこまでつらいのか・・・『シックス・センス』の、というだけではもう効果は得られないと判断されたのか・・・シャマランファンとして、あたしもつらいです。

  ヴィジット1.jpg この雪がちょっと残ってる感じ、いいよ!

 15歳のベッカ(オリヴィア・デヨング)は映画監督志望のおしゃまさん。 母がかつて両親と大喧嘩をして家を出て以来帰っていないことを気にしている。 男に捨てられてからは女手ひとつで13歳の弟タイラー(エド・オクセンボウルド)も育ててくれていたが、ネットを通じて連絡がついた母の母(つまり祖母)から冬休みに孫二人の顔を見せてほしいといわれる。 これは家族のルーツ、なによりも母を縛り付けている呪縛を解く旅になるだろうと確信し、ファミリームービーの格好の素材として祖母の家に行くことに承諾する。 その間、母にはボーイフレンドと一緒に楽しんできて、と。
 メインカメラマンはベッカ、ときどきサブカメラマンのタイラーで、二人は電車に乗ってペンシルベニアに向かう。

  ヴィジット2.jpg 駅で迎えてくれたの図。
     祖母の手作りクッキーでおもてなし、だが、普通そこで渡す? 家に行ってから、もしくはせめて車の中じゃない? 祖母がタッパーを常にカタカタいわせているのがもう不気味。

 そして訪れた祖母の家だが、なにかがおかしくてどこかずれている。 普通のように見える祖母は暗くなってくると様子がおかしいし、子供の頃のベッカの母の話を聞こうとすると半狂乱になる。 年をとってきたからおばあさんは病気なんだ、という祖父もかなりの確率で会話が成立しない。 これは二人が年寄りだからなのか? しかしベッカとしては祖母に母を許すという言葉をいわせてカメラにおさめるまで帰るわけにはいかず・・・それがいつしか姉弟を窮地に陥れていく、という話。
 「またPOVかよ!」とホラー好きのみなさまからはお叱りとお怒りの声が聞こえてきそうですが(あたしも最初そう思いました)、途中で気づきました。 よくある低予算POVホラーは<どこどこで見つかった謎のフィルム>というパターンがほとんどですが、この映画は違います。 ちゃんと、編集された後のもの!、なのです(気づくまでちょっとかかりましたが、それもまたあまたあるPOV映画に対するイメージを利用して観客をトリックにかけようとしているわけです)。
 それに気づいたとき、「あぁ、シャマランはまだやる気満々だ!」と大袈裟に言うならば胸が熱くなりましたよ。 それ故に、あたしはこの映画に対して明らかに点が甘くなっていますがそういう事情です。
 というか、あたしだったら二日目ぐらいでもう帰ると思う。 それくらい不審であやしげな兆候が沢山出ているのに帰らない姉弟にあたしは素直にすごいと思いました。 これがアメリカンな“家族の絆”の強さ?

  ヴィジット3.jpg それぞれがひどい目にあうけど、カメラを離さないベッカはえらい。

 しかしこの映画の本質はそこではない(実際は悲惨な出来事が次々起こっているのであるが説明が少なく、ショッキングシーンもチラ見せなのでこちらの恐怖心はいやがおうにも高まるのだが)。 母親が男に捨てられたということは、つまり姉弟は父親に捨てられたということ。 ベッカが母親の気持ちを慮るのは、父親を許せない自分を許せないから。 タイラーはそのショックで潔癖症になっているし、お互い正面切って話し合うことを避けてきたようにも思えた。 それがこの二人旅でお互い思っていることを言い合い、そして死の恐怖を目の前にその困難に打ち勝つことで、彼らはトラウマを克服してる!
 救いのない物語の中にある救い。
 それがシャマランの描きたいホラーなのだと今更ながらに気づいたりして(しかも今回はタイトルに複数の意味が!)。
 祖父母役の方々(特に祖母役)の俳優さんたちも大変怪演で、それ故の説得力も素晴らしかったです。 それにしてもタイラーくん、小生意気だけどいいキャラだ。 やはり少年を描かせて輝く腕は鈍ってないなぁ。
 思いのほか、よかったです!
 次回作はまたホラー・サスペンステイストでお願いします。

posted by かしこん at 18:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

虫の知らせは恐ろしい

 おかげさまでのどの痛みはかなり緩和しました。
 ただ抗生物質や抗菌剤をのむと、なんだか呼吸が浅くなってふわふわくらくらする。
 あぁ、まだクスリと菌が戦っている・・・完治まで、もう少しかかりそうです。
 それとは関係なく、何故か妙に、東京創元社のホームページにアクセスしたい気持ちに。
 そんなにマメに見に行っているわけではないのだが(特に『桜庭一樹読書日記』が終了してからは尚更)、メルマガは読んでいるが気になる記事があっても「うーん、読むと時間がかかりそうだからまた今度まとめて!」となってしまってより後回し(過去記事は全部読めるので、タイムリミットがないのも大きいかと)。
 なのに、そのときは何故か切羽詰まったものを感じたのだ。
 そして<トピックス>欄に恐ろしい文字を見つけた。

    2015.10.05 作家ヘニング・マンケル逝去

 ・・・頭が、一瞬真っ白。
 変に呼吸したらしく、咳が止まらなくなる。
 ええっ、病気だとか聞いてないし、67歳だよ!
 なんで、なんで、なんで?!
 ・・・あぁ、これって虫の知らせだったの?
 急性副鼻腔炎の症状が、悪化しそう。

 BBCの記事を読んだら、2014年の早い時期にがんが見つかっていたらしく、そのときの経験を本にしているらしい。 年末あたり、ヴァランダーシリーズの新しい邦訳が出るはずなので、そのときの訳者あとがきにくわしいことを柳沢由実子さんが書いてくれるのを待とう。
 それしかあたしにできることはない。
 ――あぁ、明日(もう今日だが)、仕事行きたくない・・・。

posted by かしこん at 00:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題・ニュースに思うこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月07日

ぐったりの代償的一日

 今週はいろいろ盛りだくさんで、途中、祝日があったというのに金曜夜の段階でなかなかにつかれていたようです。
 翌日、つまり今日ですが、ぼんやりいろんな夢を見ていた記憶はあるのですが、今思い返せばごちゃごちゃになっていて、つまりなんだか寝ては起き、起きては寝、ぼやっと一日を過ごしてしまいました。
 でも洗濯と料理はした。 それはやっておかないと明日から、そして来週も大変という単なる必要に迫られた習慣にすぎないのですが。
 やっとゆったり、お茶を淹れる気分に。
 日々ぐーたらしていますが、自分で思っているよりぐーたらできてなかったというか、体力的にも衰えてきているのに自分でちゃんとわかっていないのかな、と思いました。 わかっているつもりなんだけどな・・・。

posted by かしこん at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記のようなもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月06日

間に合うであろうか・・・

 11月6日(金)、『エベレスト 3D』の公開初日です。
 是非観に行きたい!
 レイトショー、OSシネマズミント神戸で字幕3Dが、OSシネマズハーバーランドで字幕2Dがともに21:00から。 できたら字幕版は2Dで観たい(今回、吹替版の制作に気合が入っているらしいので3Dを吹替版で観ることもやぶさかではない)。
 しかし、仕事が・・・その時間に間に合うように終わるであろうか(仕事場からはミント神戸の方が近いので、20分ほど時間が短縮できるために間に合うほうに行く予定)。
 だからネットで事前予約ができないよ!
 ま、別に初日に観に行かなくてもいいんですけど(来週の火曜日のレディースデイでもいいんですけど)、どうせならね・・・観たいものは初日に。
 でも本日の仕事がまったく読めない!(自分でがんばればどうにかなる種類のことではないので、いろんな人から届く資料や原稿を待たねばならない)。
 あぁ、なんでこんな日に・・・。

posted by かしこん at 03:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記のようなもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月05日

DUST ダスト/ヒュー・ハウイー

 <サイロ三部作>、ついに完結。 というか、読み終えた。
 思ったほど・・・重たくなかったというか、そんなに長く感じなかったというか(一冊でもっと長いものを読み慣れてしまっているからかもしれません)、“ポスト・アポカリプスもの”としても、たとえばコーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』とか、懐かしいところで言えばロバート・R・マキャモンの『スワン・ソング』や、もっといえばスティーヴン・キングの『ザ・スタンド』でもいいです。 総じて、人類滅亡後の荒廃した世界で生き残った者たちがもがき苦しみ、争い、全体的にどうにもならない絶望に支配された物語でした。 希望があるとしても、ほんのわずかだったり、ラストまでギリギリ出し惜しみされるかのような。
 それはそれで味(?)があるんですけどね。

  ダスト1.jpgダスト2.jpg でも、<サイロ三部作>はそれらとは雰囲気が少々違っている。

 人類滅亡後の世界、というのは共通していても、生き残った人々が<サイロ>と呼ばれる地下の建物の中で暮らしていて、それなりに社会的営みが成立している(文化度は低いが)という点で、まず「目先の食糧のために殺すか殺されるか」という危険はあまりない(とはいえ、ちょっとバランスが崩れれば略奪に走ったりするのはアメリカ的にお約束)。 争いで沢山の人が死んだりもするけれども、視点人物が全貌を見ることを拒否したりしてあまり残虐な描写がない、というのもポイントかと。
 ラスト近くに素敵な文章があった。

   説明しようとして、ジュリエットは言葉に詰まった。この世界は広大で、無限の可能性を秘め、なぜか
  ジュリエットの胸を絶望ではなく希望で満たしてくれる。
   だがその広さは感覚でしかわからず、なかなか言葉にできない。

 技術者である彼女が理屈や仕組みではなく“感覚”を認めたこと。 それが彼女の成長であり、希望のはじまりなのかもしれない。
 ラストシーンで、二人が飲んでいる<お茶のようなもの>とはなにかのハーブティーだろうか、それともフレーバーティー? コーヒーだったら「色が黒い」的描写があってもいいはずだし・・・気になる〜。

ラベル:SF
posted by かしこん at 02:25| Comment(0) | TrackBack(1) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月04日

今日は13冊! <その3>

 13冊のご紹介、ラストは東京創元社からの4冊。

  にぎやかな眠り.jpg にぎやかな眠り【新版】/シャーロット・マクラウド
 シャンディ教授シリーズ、待望の復刊!
 とはいえ新訳ではなく、装丁を変えての新登場。 だって解説が浅羽莢子さんのままだもの(逆に貴重です)。
 「あぁ、読みたいなぁ」と思いながら、ぼんやりしているうちに書店からなくなる、というダメな体験を過去に何度もしているあたしは、もうこのチャンス、逃しません!
 このシリーズ、今後順次刊行みたいで(11月の新刊案内にもう出てる)、ますますあたし的にはありがたいです。

  なんでもない一日.jpg なんでもない一日<シャーリー・ジャクスン短編集>/シャーリー・ジャクスン
 おぉ、シャーリー・ジャクスンの短編集!
 なかなかチャンスがなくて(邦訳されているもの自体がそもそも少ないし、ご本人は48歳で1965年にお亡くなりになっているし)、『ずっとお城で暮らしてる』(ファンタジーなのにホラー!)くらいしか読んでいないのであります。
 でも彼女の真骨頂は短編の方!、と聞いたことがあるので・・・大変期待してしまいます。

  人形遣い.jpg 人形遣い<事件分析官アーベル&クリスト>/ライナー・レフラー
 翻訳・酒寄進一の名前につられて(酒寄訳の作品で今までハズレに当たったことがありません)。 事件分析官とはいわゆるプロファイラーのこと。 でもドイツ警察はFBIがはじめたプロファイラー制度よりも一歩進めて実際の事件捜査に投入しているらしい。
 フィクションですが、相当綿密に取材されて書かれた気がします(しかも作者が実際にこれを書こうとしたきっかけになったのは実際に起きた事件らしく)。
 これもあたしのツボに大変はまりそうです!

  100%月世界少年.jpg 100%月世界少年/スティーヴン・タニー
 この4冊の中ではこれがいちばん厚い、かな。 唯一、創元SF文庫からのエントリー。
 ある世代の月世界生まれの人間の目の色は地球上には存在しない色で、それを見る者を錯乱させる、という基本設定と、表紙のきれいな青に惹かれて。
 こういうSFマインドにドキドキするわ。

ラベル:新刊
posted by かしこん at 03:41| Comment(2) | TrackBack(0) | ☆ 買っちゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月03日

ジョン・ウィック/JOHN WICK

 チラシやコピーに<キアヌ完全復活!>とか書かれてあったりするのですが、あたし的にはキアヌ・リーヴスがそんなに沈んでいた印象はないのですよね。
 『マトリックス』シリーズでもう一生働かなくていいくらいのお金を稼いだけどお姉さんがかかっていた病気のための基金を創設したり、金銭的に余裕があるからこそ実験的な作品(『スキャナー・ダークリー』とか)に出演したり、共演者につられたのか「おいおい」というB級映画(『フェイクシティ ある男のルール』とか)にも出てしまって役者としての挑戦はずっと続けているわけで。 ハンサムを捨てて悪役に徹するのも(『ザ・ウォッチャー』『ギフト』とか)、二枚目俳優が通る道ではあります。
 世間的には評判いまいちな『47Ronin』もあたしは評価してるんですけどね(キアヌと真田広之が出ていなかったらどんなことになったかは想像したくないですが)。
 でもアメリカでの興行成績的には『マトリックス』以来の大ヒットだそうなので、その物差しで測ったら「復活」ということになるのでしょうね。 実際、あたしがこの映画の存在を知ったのも<ハリウッド・エクスプレス>ででしたから(で、「日本公開決まるの早いなー」って思った)。

  ジョンウィックP2.jpg 見惚れるほどの、復讐。

 不治の病を抱えていた妻ヘレン(ブリジット・モイナハン)を看取り、心にぽっかりと穴が開いたジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)。 葬儀の場で親友のマーカス(ウィレム・デフォー)にしっかりしろと励まされても心ここにあらず。
 そんなとき、亡き妻から贈り物が。 生前に手配をしていたようで、「あなたは一人で生きちゃダメ。 車を相手にするだけじゃなく愛することを忘れないで」というメッセージとともに子犬が届く。 妻の想いに涙し、子犬に必要なものを買うために久し振りの外出をしたその日。 ジョンの車がアメリカのクラッシックカーであることに目をつけられ、ロシアンマフィアの若い一党どもに夜襲され、ジョンはぼこぼこにされ車は奪われ、子犬も・・・。
 ジョンの元から盗んだ車をもぐりの工場に持ち込んだやつら(実はリーダーはロシアンマフィアのドンのバカ息子)は、工場主(ジョン・レグイザモ)から、その車の持ち主は引退した伝説の殺し屋のものだと聞かされる。 そしてジョンは、かつてすべて封印した武器の数々を掘り起こし、復讐のために立ち上がる・・・という話。

  ジョンウィック3.jpg 穏やかな時間は長く続かない・・・。
 R+15だし、血みどろアクション映画だからどうなんだろうと思っていたけれど、行ってみたら結構お客さん入ってる! しかも私より年長の女性客、多し。 キアヌのファンってそれくらいの年齢層なの?(まぁ、『スピード』『マトリックス』から何年たっているのか思えばそういうことになりますかね)
 ただキアヌが出てる〜、くらいしか前知識のなかったあたしとしてはウィレム・デフォーが出てきて小躍りしたものの、なんとロシアン・マフィアのボス・ヴィゴがミカエル・ニクヴィストであることにも更に心躍らせ。 でもスウェーデン人なのに結局ロシアンマフィアか・・・もともとチャーミングな役者さんなのに(スウェーデン版『ミレニアム』三部作における“カッレくん”を見よ)、『ミッション:インポシブル/ゴースト・プロトコル』に続きまた強面の役かぁ、とがっかりしかけたらところどころでお茶目さを披露してくれて個人的にはバンザイなのでした。 しかもバカ息子のヨセフ(アルフィー・アレン)、どこか見覚えがあると思ったら『ゲーム・オブ・スローンズ』のシオン・グレイジョイ役の人で、「やっぱりバカで卑怯者の役、似合うな!」とキャスティングの素晴らしさにドキドキです(勿論、ジョンの親友であるマーカスは凄腕の殺し屋スナイパーです)。

  ジョンウィック5.jpg バカ親子の図。 ミカちゃんの赤過ぎるシャツもあたしの笑いを誘う。
 そんなわけで裏社会の人たちしか出てこない。 ニューヨークの裏社会とはこんなに精密なルールで構成された“もうひとつの社会”として存在するのか、という妙な面白さにもちょっと盛り上がり、<中立地帯>として機能するホテルや電話一本で駆けつける<掃除屋>のみなさんの働きぶりはプロの技だし、特にすべてを知り尽くしているようなホテルのフロントマンさんのかっこよさにはしびれる。
 で、キアヌです。 今作の監督は『マトリックス』シリーズでキアヌのスタントマンだった方だそうで、彼の動きを知り尽くしているご様子。 ガン・フー(ガンアクション+カンフー)という新しいアクションスタイルを確立し、あまりカット割りせずスローモーションを活かしながらジョン・ウィックの動きの美しさ(特に武器がナイフや銃の場合)を引き立たせているのは素晴らしい!

  ジョンウィック4.jpg そして立ち姿もキレイ。
 ただ、それが取っ組み合いとか肉弾戦になると効果が半減し、むしろジョンの動きがもたもたして見えてしまうという問題が・・・(いくら伝説的な殺し屋といえども引退してからブランクがあります、ということに対して説得力があるといえばあるけど)。
 「なにもそこまでしなくても・・・」と途中から思わないこともないのだけれど、奥さんと出会ったことで表社会で生きることを決めた・つまり裏社会を抜けるためにかなり犠牲を払ったジョンにしてみれば、結局自分は裏社会とのかかわりを断ち切れない人間なのか、という苦悩、だから妻は死んでしまったのかもしれないという自責(出会った時からすでに病気だったような描写もさらりとあるが、そこが割り切れないのは妻への愛故でしょう)、などなどジョンが抱える葛藤があってこそ。
 それはヴィゴやマーカスなどにも言えるんだけど、<因果応報>というやつです。
 仕事や自分自身を守るためとはいえ、人をさんざん殺してきたやつが幸せになれるのか・真っ当な人生を歩いていいのか、といううしろめたさのようなもの。 それがジョンを徹底的な復讐へと駆り立てている。
 でも妻の遺言は決して忘れないラストシーンは、映画として綺麗にまとまってすごくいい感じだったんだけれど、大ヒットを受けて続編決定だそうで・・・え、またジョンをひどい目に遭わすの? 裏社会に戻すの?、と気が気じゃない。
 そういう意味ではジョン・ウィック、確かに今のキアヌのはまり役です。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 15:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

今日は13冊! <その2>

 引き続き、購入したもの。

  火星の人.jpg 火星の人/アンディ・ウィアー
 セルフパブリッシング作品に対して懐疑的だったあたし、ずっと気になっていたこの作品を、先日の反省をもとに買いました!
 映画の公開よりは先に読み終わりたいなぁ。 けれど原題そのままの題名なのに、映画のタイトルは『オデッセイ』。 なんか壮大感を追加している?
 ちなみにこの作品は<ハードSF>と定義されている。 となるとあたしの思っていた<ハードSF>は範囲が狭すぎた! もしかして、なんか損してきたかも!

  彼女のいない飛行機.jpg 彼女のいない飛行機/ミシェル・ビュッシ
 フレンチミステリつながりで、平岡敦さん訳のこれを見つけました(今年の8月に発売なので正確には新刊ではありませんが、集英社文庫海外はチェック油断しがちです)。
 おまけに飛行機がらみなのが購入の決め手。

  イカロスの誕生日.jpg イカロスの誕生日/小川一水
 小川一水、ライトノベル時代の作品を加筆修正とのことで。
 やっぱりあたしは小川一水、好きなんだわ。 最近川端裕人が小説出さないから、その反動もあるかも。

  ハンナ16.jpg レッドベルベット・カップケーキが怯えている/ジョアン・フルーク
 毎年秋のお楽しみ、お菓子探偵ハンナシリーズ第16弾。
 数ヶ月毎に事件が起こっているとして・・・いつまでハンナはアラサーなのだ?

ラベル:新刊
posted by かしこん at 03:16| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 買っちゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする