2015年10月10日

スーツケースの中の少年/レナ・コバブール&アニタ・フリース

 先日、図書館に行った際に普通に棚に見つけたので、「おっ!」と手に取ってそのままカウンターへ。 確か『ミレニアム』と各賞をその当時争った作品だという記憶があったので(でもほぼ『ミレニアム』が受賞)。 ちなみに『ミレニアム』はスウェーデン、こっちはデンマークの現代をえぐった作品となっております。
 しばらく連絡のなかった旧友からの久し振りの電話、それが意味不明のお願いであることに首をかしげつつ、コインロッカーに荷物を取りに行ったニーナ。 彼女は看護師の資格を持ち、男性からの暴力に悩む女性たちのシェルターハウスのようなところで働いているので(そのため行きすぎた正義感と猪突猛進型の性格を併せ持つ)、旧友はニーナならばなんとかしてくれると思ったようだ。 コインロッカーの中には重たいスーツケース。 そしてその中には、3歳の男の子が眠らされた状態で入っていた・・・という話。

  スーツケースの中の少年.jpg うーん、講談社文庫は文字が大きくて行間も広めで読みやすいなぁ。 459ページがあっさり読めたのはそのせいだったんだろうか?

 これ、デンマーク語の原著からじゃなくて、英語版から訳してる? 章立てが短いせいもあるけれど、この読みやすさは北欧独特のいろんな意味での重厚さがあまり描かれていないからかもしれない(だからこそあえて、どこの国にでも起こりうる話という普遍性を求めたのかもしれないが)。
 文字通り少年を抱えてひたすら逃げるニーナのノンストップ・サスペンスとして一気読み必至なのではありますが、何故彼女が他に助けを求めないのかがいまひとつ理解できず(そういうところで働いているから、施設に預けられた子供の待遇のひどさをよく知っている、というのもわかりますが、着るものも食べ物もない状態からの逃走よりは多少ましなんじゃないかと)。 異国の少年・人身売買・少年を追いかけてくる凶暴な謎の大男の存在等々、明らかに犯罪要素がからんでいるのがわかってくればこそ、一時的に保護施設なり警察を利用すべきなのでは? まぁ、読んでいくうちにニーナの性格とかトラウマとかも見えてくるので仕方がないのかなぁ、と思ったりもするのですが、私はこの人と一緒に仕事はできるかもしれないけど友達にはなれないな、としみじみしたり(別にそんなことを考える必要はないのですが)。
 移民問題や旧ソ連時代の東欧の問題などが根底にありますが、その話も今や世界規模。
 とはいえ、ヨーロッパは地続きだ(海を隔てていてもそれほどの距離ではない)から過去の因縁やらの根の深さは島国の人間には想像しかできないのでした(想像はできても、多分実感としては理解できてない)。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする