2015年09月18日

ボヴァリー夫人とパン屋/GEMMA BOVERY

 予告を観て、「わー、なんか見たことある人結構出てる〜」と思い、雰囲気もパトリス・ルコント風に見えたので。 実際、こんなにコメディだとは思いませんでした・・・。

  ボヴァリー夫人とパン屋P.jpg あなたは私を発酵させる――
   彼の妄想は、運命を変えられるか!?

 かつてはパリの出版社に勤めていたこともあるマルタン(ファブリス・ルキーニ)だったが、結局は故郷のノルマンディーに戻り、父親のパン屋を継いで今はパン職人。 いいパンをつくると周囲の評判は上々のようだが、本人はあまりうれしくはない様子。 彼は日々世界の古典、特にフローベールの『ボヴァリー夫人』を折に触れ読み返しては妄想にふけることで退屈さを紛らわす。
 が、ある日、隣の農場にイギリス人夫妻が引っ越してくる。 その名もボヴァリー夫妻。 チャーリー・ボヴァリー(ジェイソン・フレミング)とジェマ・ボヴァリー(ジェマ・アータートン)。
 「ボヴァリー夫人だ!」とジェマの美しさと奔放な行動も相まって、マルタンの妄想は次第に現実と『ボヴァリー夫人』とが混在していくようになる・・・という話。

  ボヴァリー夫人とパン屋1.jpg イギリスからフランスに来て、いちばん違うのはパンの素晴らしさ、と話すジェマに、思わずパン屋であることにヨロコビを見出すマルタン(男って単純)。 確かに、どのパンもおいしそう。 ただ日本人としては、トング使わないの? 直接触るのはもう買い取り決定だからよね?、と一瞬思わずにはいられないが。
 小説の『ボヴァリー夫人』は悲劇で終わる、彼女が同じ道を辿らないように見守らねば!、と固い使命を背負うマルタンは本人が真剣なだけに、周囲から見たらかなり滑稽。 そこが“中年男の悲哀”でもあり、“妄想過多のインテリのイタさ”でもあるのだけれども、ファブリス・ルキーニはそのあたりを絶妙なバランスで表現。 これまで結構、権威を振りかざすイヤミインテリな役が多かった彼だけど、こういうちょっとしょぼくれた感じの役も似合う!
 対するボヴァリー夫人ことジェマ・アターソンさん。 『アリス・クリードの失踪』から何年ですか? すっかり大人の女性になっててびっくり! パンがおいしすぎて太ったとか、むっちりだとか劇中で揶揄される場面がありますが、あなたのレベルで太っているというなら(以下略)。 あえてサイズぴったりのワンピースを着ていることが多いので、彼女のダイナマイトバディぶりを監督は見せつけたかったんじゃないだろうか(ちなみに監督、女性です)。

  ボヴァリー夫人とパン屋2.jpg ワンピースはどれもローラ・アシュレイ風で、そこらへんに彼女のイギリス人らしさを入れている?
 近いようで遠い、そんなイギリスとフランスの違いも楽しめます。
 でも期待した“パトリス・ルコント風”はそこまでではなかったかな・・・。
 「官能的な美」みたいなことがチラシにはあったけれど、それが示唆する場面はかなりわかりやすく(マルタンとジェマがパンをこねるとか)、失笑一歩手前という感じ。 ルコントの方が行間はエロティックだった・・・(ま、これも好みの問題かもしれません)。
 しかし、妄想と現実の違いに痛い目に遭った、と思えたマルタンが、実はまったく懲りていなかったとわかるエピローグ的シークエンスには大爆笑。 現実をまっすぐに受け入れることのできない人物の方が実は強く生きられるのですね!
 なるほど、現代のまさに<大人のファンタジー>でした。

ラベル:外国映画 映画館
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする