2015年09月06日

日本人作家のは早く読めるな〜。

 最近はすっかり翻訳ものを中心に読んでいるあたしですが、こういうのって波があるというか、ブームもあるのですよね。 過去を振り返ってみれば国内作家しか読まない時期もあったし、でも翻訳ものを読んじゃうと続くし。 “翻訳文体”というようなものがあって、少し離れると読みづらくなる(また慣れるまで時間がかかる)という理由もあったと思いますが、最近は翻訳者の方もうまくなってきて“翻訳文体”を意識させないようになってきてるし、上質な作品が次々翻訳されている事情もあって、結構長いこと翻訳ものブームが続いています。
 しかしあたしは日本人、たとえ外国語を多少勉強していようが、やはり日本語がいちばん落ち着くのです。

  新世界.jpeg 新世界/柳広司
 謎の外国人によって持ち込まれた原稿を受け取る私(柳広司)と、その原稿内容というメタ構造。 1945年の8月にロスアラモスで起こった殺人事件の記録。
 これが書かれたのは2003年。 あくまで“ヒロシマ・ナガサキ”以降の日本人の気持ちを語り手である一人の科学者の言葉を借りて原爆開発者たちにつきつける話ではあるが、その前に確かなミステリである(だから十分にエンタテイメント)。
 しかし、今は角川書店によって<フクシマ以後必読のミステリ>と帯がつけられている。
 作者はさぞ不本意なことだろう。

  禁じられたソナタ1.jpg禁じられたソナタ2.jpg 禁じられたソナタ/赤川次郎
 もはや何年ぶりであろう、赤川次郎。 テンポのいいどこかユーモラスな地の文は記憶通り。 でも「あれ、こんなだっけ?」と思う部分もあり・・・自分の記憶と勝負しているところが無きにしも非ず。
 「決して演奏してはいけない」と言われる楽譜の存在と、それにまつわる謎。 かなりホラーテイストではありましたが、そこまで怖くなかった(映像化したらさぞやグロいことになるのは必至だけど)。 定番の年の離れたカップル(勿論、若いのは女の子の方)の存在も懐かしい。 あと、日本のクラシック界に言及する部分が面白かったです。

  ホテルピーベリー.jpeg ホテル・ピーベリー/近藤史恵
 日本でなにかをやらかしてしまい、職を失ってハワイの長期滞在用ホテルに逃げてきたような主人公が語り手で、こいつがいかにも不審というか、共感の持てないキャラクターなので、彼への不快感を振り払おうとする間に事件は起こってしまうという見事なレッド・へリング。 大上段からのトリックではないものの、人間の心理の襞に入り込む感情を謎と解決にきれいに絡めて、“前向きではない人生の夏休み”の功罪を示してくれる。
 やはり“悪意”を描かせるとうまいなぁ、としみじみします。

ラベル:国内ミステリ
posted by かしこん at 17:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする