2015年07月14日

<おススメの本>ってむずかしい!



 先日、同じ仕事場のスズキさん(男性・仮名)から、相談を受ける。



 「電車での通勤時間が長いんで、本でも読もうかと思っているんですが、最近あまり



読んでないので、何を読んだらいいですかね」



 そんなの好きなの読んだらいいじゃないか!、と言いたいところであるが(スズキさんは



もういい大人である)、日々読書推進を心がけている者としてはぐっとこらえる。



 まずは聞き取り調査から。



 「よく読むジャンルとか、好きな作家がいたら教えてほしいんですが」



 「あー、推理小説とかばっかですね〜。 東野圭吾は読みます」



 出た、東野圭吾!



 大学生か!、と心の中でつっこむ(先日のワークショップで、平均以上に本を読みますと



自負する大学生がよく読む・好きな作家として名前が挙がったのはほぼ東野圭吾だけ



だったという・・・。 ちなみに、書籍流通会社にお勤めの方は、「好きな作家にいちばんに



東野圭吾を挙げるやつなんて、読書好きじゃないですよ!」とお怒りだった。 何かあった



のか?)。



 そして「推理小説とか」という言い方にも引っかかる。



 まるでレベルが低いジャンルと言っているようなニュアンスが感じられたからである。



 つい、ミステリファンで悪かったな!、みたいな気持ちに。



 まぁ、スズキさんに悪気はないのである。 ただデリカシーが足りないだけだ。



 結局のところ、多少本を読む人でも仕事がいそがしかったり、子供が産まれて自宅での



生活環境が変わったりして読書から遠ざかると、どこから手をつけていいのかわからない、



というのが現状なのだろう。 知識も経験も乏しい若者たちが本選びに迷子になるのは



当然である(だからランキング本が売れたり、上位にランクされた本が売れる、もしくは



わかりやすく賞を獲った作品や映像化された作品が売れる、ということなのでしょう)。



 そんなわけで、スズキさんには翻訳ものはハードルが高いかと思い、日本の作品を。



   まずは『さよならの手口』をお貸ししました。



 そしたらば・・・数日で「なんか、出てくる言葉が難しいです」と言われてしまった。



 え、そんな難しい表現あったっけ? まぁ読み慣れていない作家の文体に慣れるまで



多少抵抗はあるかもしれないけれど・・・。 しかしスズキさんは言うのである、「東野圭吾



作品ではわからない言葉でつまづいたことないんですけどね」。



 ・・・そこか!



 大学生が東野圭吾を挙げるのも、彼の本が出れば売れるのも、つまりはそこか!



 平易な言葉・単語で物語を最後まで進められるから、理系の専門用語は解説が入るから、



読者の知的水準(というか語彙力ですかね)の平均前後をきっちり見抜いて使っているから



なのね! 勿論、物語としての力やキャラクター、アイディア、テーマ性も加味されますが。



 なんかすごく、納得。



 かつて赤川次郎がブームだった時代も、ポイントはそこだったのかも(小学生のあたしでも



ガンガン読めたもんなぁ)。



 人に本を薦めるときは、内容だけではなく文体や言葉選びの相性も重要、と思い知った



のでありました。



 でもスズキさんはその後『さよならの手口』を読み切り、「面白かったっす! こういう



日常の延長というか、自分の身近に起こってもおかしくない感じって初めてだったので、



新鮮でした。 というか、怖かったです」という感想を伝えてくれ、うれしかったです。


posted by かしこん at 23:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 本・読書 reading books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする