2015年06月11日

ゼロの未来/THE ZERO THEOREM



 ポスターを見たとき、「これって、『未来世紀ブラジル』のある種のアンサー?!」と、



ひそかにときめいたあたし(とはいえ、『1984年』『未来世紀ブラジル』『華氏



451度』
のイメージがなんとなくごちゃごちゃになっている部分もあり)。



 しかも予告を見たら、スキンヘッドの男の人はクリストフ・ヴァルツじゃないか!(実は



ポスターでは全然気づかず)、びっくり!



 でもこの映画もなんだかんだ言って早く終わりそう・・・という予感のもと(でも実際は



3週間くらい上映していたのかな? 時間がぐちゃぐちゃでしたが)、なんとか観に行く。



いっそのこと、最初からレイトショーでやればよかったのに・・・。



   本当の幸せは、限りなくシンプルなものである。



 舞台は近未来。 天才コンピューター技師のコーエン(クリストフ・ヴァルツ)は孤独を



愛し、火災で崩れかけた教会に住み、人生の意味を知るための電話を常に待っていた。



家に引きこもりたいのは山々だが、仕事のために職場まで行かなければならない。 再三



在宅勤務を願い出ていたコーエンだったが、職場のトップ(マット・デイモン)から「“ゼロの



定理”を解読せよ」との密命が下り、家にこもって謎の定理の解明に集中することに。



 パーティーで出会った魅力的な女性ベインスリー(メラニー・ティエリー)との関係、同じく



天才的なコンピューター・エンジニアで、同様に“ゼロの定理”を追究しているボブ(ルーカス・



ヘッジズ)との関係、自分のことを「私たち」と呼び、人との関係・距離がつかみづらかった



コーエンの人生は、一気ににぎやかになっていく。



   街の雑踏は秋葉原をモチーフにした模様。



 コーエンのつづりはQOHEN。 だから職場の直属の上司にはずっとクィンと呼ばれ、



そのたびに訂正する。 その繰り返しが、彼の実直さと融通のきかなさを表現しつつ、



名前なんて所詮記号に過ぎないという上司の気持ちも表していて、ここはまったく交わら



ないのがすごい。



 この世界を牛耳っているのは資本家・富豪(つまりマット・デイモンに代表されるIT社長)



だけれども、物語の構造は基本的に『未来世紀ブラジル』と同じ。 ただ、ゼロは虚無で



あり、虚無はブラックホールである、というビジュアル効果が、どこか希望を漂わせていく



のが大変テリー・ギリアムらしくて、キッチュでチープなガジェット満載なのもノスタルジック。



 『未来世紀ブラジル』を観たことのある人、好きな人は楽しめると思うけど・・・そうでは



ない人には意味がわからないかもなぁ。



 クリストフ・ヴァルツのイカレ具合が加速するなり切り演技だけでも観る価値はあるけれど、



『未来世紀ブラジル』の存在はやはり欠かせないなぁ。


posted by かしこん at 23:59| Comment(1) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする