2015年04月04日

きっと、星のせいじゃない。/THE FAULT IN OUR STARS

 改めて探してみると、外国のYA小説にはなかなか優れたものが多い。
 なんでだろう・・・と考えるに、諸外国には日本の少女マンガという存在がないからだ!、と気づく。 逆にいえば、少女マンガがあるせいで日本ではYA小説があまり根付かないんだろうか(一般小説とされるかライトノベルとしてマニア向けにジャンル細分化されるか。 いや、私の時代の集英社コバルトシリーズはもっとメジャーだった気がしますが)。
 つまり、この映画を観て、とても上質の少女マンガを読んだような、そんな満足感に浸ることができたのです。
 16歳のヘイゼル・グレース(シャイリーン・ウッドリー)は末期がん患者だが、ある薬が奇跡的に効いているおかげでとりあえず日常生活は送れている、いつも酸素ボンベをつないだままだけど(だから学校には通えないし、日常生活っていったって自宅から半径何mって範囲)。 こんな状況で希望なんてないよね、とふてくされ気味のグレースだが、母親(ローラ・ダーン)の希望でいやいやがん患者集会に参加すると、そこでガス(アンセル・エルゴート)というちょっと変わった青年と知り合う。 彼は骨肉腫を克服したキャリアの持ち主で、片足が義足であることに誇りを持っているようだった。 お互い、一目で恋に落ちた二人だが、自分を“爆弾”にたとえるヘイゼル・グレースは距離を置くことにし、けれどガスはそれにめげない、というさわやかラブストーリー的展開に。

  きっと星のせいじゃないP.jpg 運命がくれた、今日が愛しい。

 ガスくん、どっかで見たことがあるなぁ、と思ったらリメイク版『キャリー』でキャリーをプロムに誘った彼ではないか。 微妙にハンサム度が足りない感じが、こっちの映画では吉と出ました。
 「ただの友達だから」と母親に言うヘイゼルに対し、「僕はそう思っていません」と言うところがとてもキュート!
 ガスくんはガスくんでのちのち苦悩を抱えることになるのだが、あえてヒーローでいることが彼のアイデンティティだったり、でもつらいこともあったり、と、彼も繊細な演技で応えていて、この二人がとってもいいコンビに思えたのでした。

  きっと星のせいじゃない1.jpg 普通のデート。
 先が見えないどころか、そもそも先がない関係だからって「ほんの少しかもしれない先」ごとあきらめるのか? たとえどれほど短くても楽しもうじゃないか!、というガスくんの思いが彼女にいい影響を与えていく過程がとても微笑ましい。 かたくなだった表情のヘイゼルがちょっとしたきっかけでやわらかくなりはじめ、目が輝きを宿し、でも消しきれない苦悩が顔を出す、といった繊細な演技がとてもよかった。 このあたりも「少女マンガっぽい」とあたしに思わせた原因のひとつであろう。
 最初に2人の関係をぐっと身近にしたヘイゼルのお気に入りの小説の、描かれていないその後について語り合う場面がいかにも若者っぽくていい感じでした(いや、あたしは今でもやるが、相手が減ってきた)。
 お涙頂戴でもなく大袈裟な演出もなく、淡々と静かに、けれど確かに日々を積み重ねるような撮り方も好感触。 その小説家に会いにオランダへ行く、というのがその後の2人を変えていくまさに人生のハイライトであるが、その小説家が髪を短くしてこざっぱりしたウィレム・デフォー!(おかげで最初一瞬、気づかなかった)

  きっと星のせいじゃない4.jpg 実際、オランダから生きて帰ってこれるかどうかはわからなかった。 待つだけの父親もつらい(だからこそよろこびが炸裂)。
 若い世代の映画であるが、いい大人たちがしっかり脇を固めているので、決して軽い話ではない。 いくつになっても自分は健康だと考える人間はこの先も同じような時間が流れていくと錯覚しがちだけれど、決してそんなことはないのだと、一日一日を大事に、どう価値のあるものにするか。 それは終活にも通じるのではないか。 いや、むしろ人生後半以降の人が観た方がしみるかも。 で、あたしはよい少女マンガを読んだときのような満足感とともに映画館をあとにしたのだった。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする