2015年04月02日

カルニヴィア 2 誘拐/ジョナサン・ホルト

 引き続き、『カルニヴィア』三部作の2作目。 3作目の邦訳はまだ出ていないので、これでまたしばらく待たされることになる・・・。
 でも、最初に1作目が(早川書房としては)大々的に宣伝されたときに受けたあたしの印象は、もっとドロドロとしたサイコスリラー的なものだったけれど、実際はヨーロッパの歴史の闇の深さとか、そういうものだったとは。 権謀術数は、日本人の不得意とするところですなぁ、としみじみする。

  カルニヴィア2.jpg 今回はイタリア国内にアメリカ軍の基地をこれ以上拡大しない・させないという運動をするいさかか過激なグループが出てきます。 まるで、この国のようではないですか。

 反対運動が巻き起こるイタリア駐留米軍基地の建設現場で年代物の人骨が発見される。
 鑑定結果によれば、第二次大戦中に行方不明とされたパルチザンのものと判明。 一方、米軍士官の娘・ミアが誘拐され、犯人は基地建設反対を訴えながらオレンジ色のジャンプスーツを着せられたミアをグアンタナモ刑務所でおこなわれた“アメリカの法律では拷問と見なされない拷問”にかけ、ネット上で公開する。
 前作で仲間意識が強まったイタリア憲兵隊のカテリーナとアメリカ軍人のホリーは、特殊なSNS“カルニヴィア”の創設者ダニエーレにまた協力を要請し、ミアの一刻も早い発見に努めようとするが・・・という話。
 相変わらずリアル一辺倒ではなく、かなり荒唐無稽が入っています。 でも扱うテーマが重たいから、これくらいがいいバランスなのかも。 他者に心を閉ざしまくるダニエーレが、ホリーに出会ってからちょっとずつ変わっていこうとしていくのも微笑ましいポイント。 更に、カテリーナのイタリア女ぶりも自覚のない無神経な方向に広がっていて面白い。
 正直なところ、「グアンタナモの件はまだ片付いていない」ということにびっくりする。
 あれから何年たっているんですか!
 けれどそれがヨーロッパとアメリカの関係や、共産主義と資本主義の対立(イタリアもかつては独裁国家だったわけで、その前は別々の国だった)、キリスト教圏とイスラム教圏の(日本人にはいささか理解が難しい)複雑で絡み合った問題に、読んでいて眩暈がするほど。 こういうとき、「日本が島国でよかった!」とか、「国境があるとはいえ所詮口約束で引いただけの線。 地つづきのところは大変」とか、中学校の歴史の時間に思ったことが今も頭をよぎる(勿論、日本には日本の大変さもあるのですが、ヨーロッパの血ぬられ具合に比べればまだましなんじゃないかと)。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする