2015年02月10日

カルニヴィア 1 禁忌/ジョナサン・ホルト

 ハヤカワミステリ創刊60周年記念作品、と銘打たれて刊行されて以来、ずっと気になっていたのだけれど・・・三部作だというのに1しか出ていない(どのくらい待たされるのか不明)、しかもうちの本棚に並べにくいポケミスサイズでの刊行ということで、文庫化を待っていましたが・・・しばらく前に2が出たので、図書館から借りてみました。 予約者が図書館の所蔵数を下回っていたので、すんなり借りることができました。

  カルニヴィア1.jpg 幾何学性を持ちつつ、なんとなくおどろおどろしさもある表紙。 ちなみに、新刊情報で書名だけ見たとき、『カルヴィニア』と読んでしまったあたしは、しばらく間違えて覚えてました。

 舞台はイタリア・ヴェネツィア。 ある教会の石段で女性射殺体が発見された。
 しかしその遺体は女性には許されない司祭の祭服を着ていて、腕には奇妙な模様のタトゥーが。 イタリア憲兵隊の大尉カテリーナは初めて携わる殺人事件として捜査に参加する。 一方、イタリア内の米軍基地に赴任した少尉のホリーは、旧ユーゴ内戦時の記録の公開を求める女性と面会。 しかし、資料を探している間にその女性が死んだと知って、ホリーは・・・。 特殊なソーシャル・ネットワーク・サービス“カルニヴィア”の創設者ダニエーレは、事件の鍵が“カルニヴィア”内にあると知り、カテリーナとホリーに協力しながら真実に迫る・・・という話。

 まったくタイプの違うカテリーナ(典型的イタリア女性。 グラマー&セクシーで自己主張が激しい)とホリー(米軍内の女性軍人らしく自己抑制をしすぎるほどしてしまう)が初対面で相手にいい感情を持たなかったこと、しかし調査の過程で互いの知っていることをさらけ出して事件解決に臨もう、となったときに、自分にない面を相手が持っていることが尊敬の念に変わっていく感じが、すごく面白い。 男性と違って、大人の女は相手のいいところをすんなり認めて態度にも出すからね!
 あとがきによれば本作は『ミレニアム』三部作に影響を受けているとのこと。 確かにリスベットのような強烈すぎるキャラクターはいないですが、<虐げられた女性たちの物語>を女性たちが解決に導く、という構図は確かに同じかも。
 “内的狂乱”というのがひとつのキーワードで、ボスニア問題だけでなくルワンダ問題にも説明がつきそう。 とはいえ、キリスト教徒とイスラム教徒のようにまったく文化・慣習が違うからという理解不足による闘争ならまだ理解できなくもないが、同じ土地で隣人として生活していた相手に対して“民族浄化”という刀を何故振るえるのか、理解できない。 差異がないからこそ優越感を持つためか? 学校のいじめと同じ?
 ・・・むなしすぎる。
 だけど、イタリアにもいくつもの米軍基地があると知って驚くあたし(日本同様、国連規定の敵国だから?)。 イタリアには警察機構がいくつかあるということは知っていたけどもさ(憲兵隊はそのひとつ)。 知らないことはいっぱいあるなぁ、と愕然とするのであった。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする