2015年01月20日

秘密/ケイト・モートン

 『忘れられた花園』の作者による新作を図書館から。
 舞台はやはりというか、イギリスとオーストラリア。 女の子が船に乗っていく、とか、前作とかぶるモチーフも。
 2011年、イギリスの国民的女優となっていたローレルだが、少女時代に男を刺し殺す場面を目撃。 事件そのものは正当防衛としておとがめなしだったが、母と父が何かを隠していることを、「見たことは他の家族にも誰にも言わず、秘密に」と言われたことがずっと気になっていた。 母・ドロシーが病に倒れ、死の淵が近いと感じられると尚更、ローレルはあの事件に隠された“秘密”を解き明かさなくては・・・と思う、という話。

  秘密1.jpg秘密2.jpg あぁ、この表紙があの写真を表しているのね、と途中で気づくことになる。

 物語は2011年と、ドロシーの青春時代である1941年とを行ったり来たりする。
 1941年のロンドンは、あの<ロンドン大空襲>の年で、コニー・ウィリスの『ブラックアウト』&『オール・クリア』に描かれているのと同じ場所・時代だから、出てくる用語に見覚えがあるというか、ロンドン大空襲を追体験したかのような気持ちになった。
 今回は前作のような<オーストラリア気質:結構大雑把?>な部分があまりなかったことにもびっくりした。 やはりロンドン大空襲はきっちり取材しないといけない素材だったり、それだけ資料が残っているということなのかもしれない。
 物語としては“秘密”の正体は途中で予測できるものではあったけれど、登場人物への愛情にあふれる描写がこちらの感情移入を容易にし、もう最後の4節ぐらいはほろほろと涙がこぼれてしまうほど(電車で読んでいたあたしは大変狼狽した。 もうちょっとで読み終わるから、と最寄駅のホームのベンチでハンカチ片手に最後まで読んでしまった)。
 ざっくりしたようにも読めるけど、実は計算し尽くされた構成(それ故にヒントがフェアに提示されており、“秘密”が予測できるのですが)。 そして最後にはとても美しくあたたかいエンディングが待っている。 だからこそ泣けてしまうのですけれどね。
 これまた読み始めたら加速度がつき、期日に余裕で返却できるわ。 予約者の人、待ってて!
 あぁ、これは、文庫が出たら買おう!!

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(2) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする