2014年12月14日

天才スピヴェット/THE YOUNG AND PRODIGIOUS T.S. S



 あ、原題切れちゃった、“THE YOUNG AND PRODIGIOUS T.S. SPIVET”(英題)



“L'EXTRAVAGANT VOYAGE DU JEUNE ET PRODIGIEUX T.S. SPIVET”



(仏題)
です。 あたしが見た方は台詞は英語・英題でした。



 ジャン=ピエール・ジュネが3Dにかけた魔法!、みたいなことを予告で言っていましたが、



神戸市内では(というかシネ・リーブル神戸では)2Dのみ上映ということで、会員サービス



デイに1000円で鑑賞。 というか、いつもあたしはサービスデイ狙い(もっぱら金曜日)



なんですけれども。 それでも3D感、2Dでも十分堪能できました。



   泣き方だけが、わからない。

     10歳の天才科学者、都へ行く。

     弟の死で、家族の心にポッカリと空いた穴を埋めるため――



 モンタナ州のある牧場に暮らすスピヴェット一家。 天才的なひらめきと、すでにそれを



理論化する術を持つ10歳の少年T・S・スピヴェット(カイル・キャトレット)だが、年頃の



子供としては自分が普通ではないことも知っていた。 まったく似ていない双子の弟とは



仲がいいが、あたかも時代に遅れてきたカウボーイである父のお気に入りで、母は虫を



追いかけてばかりの学者、姉はアイドルを目指してテレビ番組三昧。 家庭内でもT・Sの



居場所はないように思える。



   でも一応、しあわせな家族の風。



 そんなある日、弟が父の猟銃で遊んでいて、誤って死亡。



 家族内の空気は一気に変わり、特に父の最愛の息子であった弟の死は、T・Sに「ぼくが



死ねばよかった」と思わせるほど。



 だから、スミソニアン学術協会からベアード賞(その年のもっともすぐれた発明に贈られる



公募賞)受賞の知らせを受けたT・Sは、黙って家を出て、モンタナから首都までの旅路を



行くのだった・・・という話。



 一見、ほのぼの話に思えるけど(勿論、そういう要素もあるんだけれど)、よく考えたら



かなりブラック。 T・Sも頭脳明晰だけれど所詮10歳なので他人の心を慮ることができない



(つまり完璧な“いい子”ではない)、というエクスキューズはあるものの、結果的に「親が



しっかりしていないとそのツケは全部子供にまわる」という話なのだ! それもまた、本物の



銃を子供のおもちゃにしてしまう(実際に子供の手の届くところに銃が存在する)アメリカ



社会への風刺、なのであろうか。



   3D効果は、T・Sの空想・想像を表現する手段。



 そのへんが飛び出す絵本のようでとても楽しい。 T・Sのひらめきを現実に反映させる



のにも効果的。 結構コメディ要素も強いし、さりげなく詩情もあったりして。



 母親役のヘレナ・ボナム=カーターは、ヘンな扮装していなければ普通にいい感じなので、



この映画でもやりすぎることなくいい感じで。 でも虫の分類に命をかけるようなヘンな人



なんだけど。



 息子の内緒の冒険がきっかけで一家が再生する、という話ではあるものの、もともとの



家族がまともではないので・・・むしろ、T・Sが精神的に自立する物語、なのかも。



 映像的にはかわいらしくてファンタスティックなのに、本質にダークなものが詰まってる。



そのアンバランスさが実にジャン=ピエール・ジュネなんだろうなぁ。


posted by かしこん at 09:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする