2014年12月03日

マダム・マロリーと魔法のスパイス/THE HUNDRED-FOOT JOURNEY

 ヘレン・ミレン好き、お料理映画好き、となれば見たくなるこのタイトルとポスター。
 しかし映画が始まり、いきなり違和感。 オープニングタイトルが出てはっきりわかる、「あ、看板に偽りあり映画か!」。
 舞台はフランスの片田舎(一地方?)なのだけれど、そこにたどり着いたインド人一家の物語がメイン。 “THE HUNDRED-FOOT JOURNEY”は一家の長き旅路の果て。
 だからこれはご近所異文化交流の話だったのだ!

  マダムマロリーとP.jpg そのスパイスは、あなたの人生を“美味しく”変える。

 インドのムンバイで代々レストランを営むカダム家。 次男のハッサン(マニシュ・ダヤル)は名料理人として名高かった母親から味覚を受け継ぎ、シェフとしての才能を磨いてきた。 しかしある夜、彼らのレストランは選挙絡みで起こった暴動(このへん、詳しいことは不明)によって全焼、母親も亡くなってしまう。 祖国での行き場を失った一家はヨーロッパに移住するが、生きた野菜の味がしない、と各地を放浪の末、南フランスの小さな町に辿り着く。

  マダムマロリーと5.jpeg 何故なら、そこで迎えてくれた食べ物がとてもおいしかったから。
 妻を失って落ち込んでいた父(オム・プリ)も一念発起、この町でまたレストランを開くぞ!(勿論インド料理店だ)、と盛り上がるが、借りたお店の向かいにはミシュラン一つ星の老舗、マダム・マロリー(ヘレン・ミレン)の伝統的フレンチレストランがあって・・・という話。
 フランス料理の基本はソース、インド料理の基本はスパイス。 アプローチは違えども、いい食材を使っておいしい料理をつくる、という心意気は同じはず。 なのに対立してしまうのは、<お互いに対して理解がない・慣れていない>からなのでしょうか。
 不毛な対立を続けつつも、現状を打破したのはハッサンの料理人としての才能。 そして美味しいものは美味しいと、受け入れるマダムの器量。

  マダムマロリーと3.jpg でも、しなびたアスパラガスをお客様に出すことは絶対許しません!
 ハッサンの才能のフランス中が注目するまでさほど時間はかからず、修行の意味もあってパリのレストランに行くんだけど・・・詳しい年代設定はわからないけれど、時代の最先端となればフランスでも結局分子料理に行ってしまうのだな・・・というのは驚き。 一時期の流行だったのか、今でもやっぱりそうなのか気になるところです(日本ではあまり流行っていない気がする。 せいぜい液体窒素で急速に冷やしたり、ソースをムース状にするくらいでは?)。 ま、そのへんは“食材に込められた魂”を大切にしたいハッサンにとって自分の立ち位置を確認するために必要な修行だったのかも。
 ラッセ・ハルストレム監督、そろそろご高齢だからでしょうか、あまり人間の醜さをはっきり描かなくなっている。 卑怯者は出てくるけれど、完全な悪人はいない。 あまりドロドロな人を描いたら疲れちゃうのかな(あ、と気づく。 この映画、ディズニー配給だった。 そのせいもあり?)。
 美味しそうな料理はいろいろ出てきたが、「これ絶対食べたい!」と思うほどには料理は前面に出てきていなかったかも。 でも、“インド料理と融合したフランス料理”、食べてみたいなぁ。
 この映画においてあくまで料理は媒介物。 テーマである「異文化交流、と一言でくくってしまってはそれまでですが、風習も宗教も違うもの同士がどうやって仲良くするか?」。
 この映画で提示された解決策は、なんか日本が昔からやってることじゃね?、という気がしないでもなく・・・でも、現在では日本からも急速に<ご近所づきあい>というのは減ってきているわけなので、「日本はすごい!」と誇れるわけでは全然ないのですが。
 でも必要なときにはいつでも<おもてなしの心>を発揮する、というのは世界に通用するのね、とは感じてみたり。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 05:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする