ハリソン・フォードつながりで、次はこっちを。 ほんとは『紙の月』を見ようと思って
いたのですが、こっちの映画のほうが早く上映が終わりそうだなぁ、というのは明らか
だったので(それもなんだか悲しい)。

緊迫の頭脳戦を描いた痛快ビジネス・サスペンス!
ビジネスサスペンスだったのか・・・若者成長恋愛映画だった気が。
貧乏家庭に嫌気がさし、絶対成功してやるとの野心を胸にIT企業企業ワイアット社に
入ったアダム・キャシディ(リアム・ヘムズワース)だが、末端の社員のひとりでしかない
現状に苛立ち、仲間とともにCEOのニック・ワイアット(ゲイリー・オールドマン)の前で
堂々と新企画のプレゼンをするが失敗。 ニックに意見したことで逆鱗に触れ、仲間たちを
含め全員が解雇されてしまう。 腹にすえかねたアダムはプレゼン用の資金の残り(?)で
みんなで高級クラブで豪遊。 しかしそれはすぐにニックの知れるところとなり、「横領で
告発されたくなかったら、ライバルのアイコン社に潜入して新製品の極秘情報を盗んでこい」
と言われてしまい・・・という話。
もともとニック・ワイアットとアイコン社のカリスマ・ワンマン経営者ジョック・ゴダード
(ハリソン・フォード)とはかつて一緒に働いていた仲。 途中で袂を分かってワイアット社を
立ち上げたものの、ニックの中にはゴダードへの恨みが強く残っているようだ。 アダムは
それに利用された形であるが、おかげで<成功者の立場>の一面を垣間見る。

ゲーリー・オールドマンはこちらの期待通りの、傲慢ながら実は小心で臆病者、という
お得意のキャラで小物っぷりを発揮。 こういう役、久し振りだけどやっぱりうまいなぁ!
(個人的には<新『バットマン』三部作>の警部役がかっこよくて好きですが)、とニヤニヤ
笑いが止まらない。 それにしてもハリソン・フォードは何故はげ頭なのか? スーツ姿で
向かい合うと画面の中で雰囲気似てしまうからか? そう、予告を見て気になったのは、
「何故ハリソン・フォードがハゲに?」ということだったのでした(別に答えはなかったけど・・・)。
この二人の緊迫しつつもぐだぐださを擁した対決シーンの前には、リアム・ヘムズワース
くんはまだまだ経験不足であることを実感。 今後、がんばってほしいですね。
実はアダムの父親役はリチャード・ドレイファスで ここでも謎の人物としてジョシュ・ホロ
ウェイ登場!、と映画は低予算ぽいんだけどキャストは豪華な気が。 アダムが恋する
エマ・ジェニングスもアンバー・ハードだし(しかし彼女の役柄はまたしてもツンデレ系)。
とりあえずワイアット社側の始末屋(殺し屋?)ミーチャム(ジュリアン・マクマホン)が
いろんなことを白昼堂々やるのが怖かった(ある意味、『ゴールデンスランバー』での
永島敏行ばりに無茶をする)。 何故捕まらないのだろう?
結局、大金持ちになるというのは魅力だが、そこに至るためには数多くの屍を超えて
いかねばならず、それが平気な人間でないと無理なこと。 大事な家族や気の合う仲間
たちと細々とでも楽しくやっていけるのと、どっちがいい?、という人生の選択について
極端な例を出して考えた話、という感じか・・・。
それにしても原題は“PARANOIA”。 産業スパイとならざるを得なかったアダムの
苦悩に寄り添った(そして会社を存続させるために、何かに取りつかれたかのように働く
二人の経営者のことも指している)タイトルなのに、完全に仕手戦を連想させる邦題は
どうなんだ・・・。
ま、ヒットさせる気、ないんだろうなぁ、という感じ?