『さよならの手口』に入る前に、葉村晶シリーズ前作『悪いうさぎ』を復習。
シリーズ物とはいえ、それぞれ独立した作品なので復習する必要性はまったくないのであるが、「後味が悪くて、結構打ちのめされた」という強い印象は残っているものの、肝心の物語のほうはまったくといっていいほど覚えていない、ということに愕然としたからである。 いったい何に打ちのめされたのか、もすっかり忘れている。
子供の頃から記憶力がいいのだけが取り柄だったのに(が、実際のところ、ここ10年ぐらいは、読んだ本の細かい筋は忘れていることが多い。 印象や読後感は覚えているのだが)。 そんなわけで、再読。
一行目からインパクトのあること書かれているのに、まったく覚えていないとはどういうわけだ! 自分にびっくりだ!
しかし20%ほど読み進めば、さりげなく書かれてはいるが事件に関係する部分が浮かび上がってきて、繋がっていく。 あ、そうだった、そうだったね。
だからあたしは「あ、そこをスルーしちゃダメだ!」と葉村晶を叱咤激励する立場となり(一回読んでいるのだから当たり前である)、多分余計にハラハラしたかもしれない。
二回目もこんなに楽しめるとは・・・『依頼人は死んだ』も読み返そうかなぁ(しかし、どこにしまってあるかちょっとわからないのであった)。
が、あれほど強烈な印象であった<後味の悪さ>に、どうも今のあたしは耐性ができてしまったのか、それほどでもなかったのであった。 これもびっくり。 あれ以降、どれだけイヤミスを読んできたのだあたしは・・・。
いや、読んだ年齢というのも関係あるかも。 その当時のあたしは作中の葉村晶と年齢も近かったし(逆に今、『さよならの手口』では同じくらいの歳かもしれない)、彼女の感じた焦りやもやもやとしたなにかに共感していた部分もあったから、余計に衝撃だったのかも。
となれば、今のあたしは『さよならの手口』にも痛い目を見るかもしれない。
読むのがとても楽しみになってきました。
再読してよかった!
ラベル:国内ミステリ