2014年11月16日

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札/GRACE OF MONACO



 子供の頃から母親に聞かされたハリウッド伝説は主に4つ。 ジェームス・ディーンと



スティーヴ・マックイーン、マリリン・モンローそしてグレース・ケリー。 死に方が急だった、



というのがポイントだと思うが(あとは母の好み)、やはり女優からモナコ公妃になったと



いうシンデレラストーリーには聞く者を魅了するなにかがあるのだろう。



 子供の頃、その片鱗をダイアナさんが英国王室に嫁いだときのフィーヴァーに見たし、



リバー・フェニックスの死の衝撃には「あぁ、ジェームス・ディーンのファンもこんなふうに



感じたんだろうか」と思ったこともあった。 時代は繰り返す、もしくはその年代にはその



年代の伝説がある、ということかもしれない。



 そんなわけで個人的には『裏窓』ぐらいしか記憶にないグレース・ケリー。 伝説の正体を



見届けたくてやってきました。



   世界を動かした、

                               一世一代の<大芝居>。



 <世紀の結婚>と称され、世界中に報道されたあの結婚式から6年。



 2人の子供に恵まれながらグレース(ニコール・キッドマン)は公妃としての生活や宮殿の



しきたりに馴染めずにいた。 夫であるモナコ大公レーニエ3世(ティム・ロス)も政治に



意見するグレースを快く思わず、モナコ内では<アメリカ流>と揶揄される。 そんなとき、



ヒッチコックから『マーニー』への出演を求められ、心が浮き立つグレース。 しかしモナコ



公国とフランスとの間に政治的危機が迫っており・・・という話。



 まず、結婚・引退したのが26歳だというのが驚き。 今の感覚からしたらめちゃめちゃ若い



(しかもそれまでにアカデミー主演女優賞も獲っているわけだし)。 勿論すでに知っている



人にとっては常識だろうけど、厳格な父親に女優業を反対され続け、モナコ公妃となっても



許さないグレースの父親ってどんな人?!、と思うし、さすがに知ってはいるけど自動車



事故のことには触れないんだね、と驚く(映画の途中で、彼女が怒りと苛立ちのあまり車を



すっ飛ばし、あやうく事故りそうになったシーンを挿入し、暗示させてはいるが)。



 そんなグレース・ケリーの心情を、ニコール・キッドマンの超クロース・アップで表現する



という・・・ニコール・キッドマンの強烈なまでの自負(私はグレース・ケリーをやるわよ!



なりきってみせるわ!、とでもいう意志のような)を感じてしまいますよ。 そのカメラワークで



OKってことは監督もそれでよしとしたんだろうけど・・・ほぼ、ニコール・キッドマン・ワンマン



ショー。 “世界が望む大公妃を演じる”ことで“女優”としてもう一度勝負をかけたかった



グレース、という構図をつくってまでの(そのあたりは事実かどうかわからないから)。



   ちょっと冴えないレーニエ大公を、

    ティム・ロスが好演! はじめはひどい人だが、次第にチャーミングさを出してくる。



 それにしてもフランス(というか、シャルル・ド・ゴール大統領)がこんな悪辣なやつだった



とは! 軍隊もない小さな国にひどいなぁ(でも「大国の論理」ではそんなこと関係ないん



だろうけど・・・)。



 ただ、予告では「彼女のまわりに味方は誰もいない」みたいなイメージがあったんだけど、



実は結構味方、いるし(なので感動を呼ぶはずの大公妃のスピーチに、あまり心が動か



されず)。 すれ違ってたレーニエ3世とも対フランスのモナコの出方を考える過程で心が



通じ合うようになるし、ある意味結果オーライな時期の出来事を切り取った、という感じ。



 「おとぎ話のような人生なんてことこそ、おとぎ話だわ」と、冒頭でグレース・ケリーの言葉が



掲げられる。 華やかであればある程、その影は暗い。 普通に生きているだけ、と思って



いるあたしにもそれなりの波瀾万丈はある。 そして自分に与えられた役割を無意識的に



演じていたり。



 これはグレース・ケリーの伝記ドラマではなく、<日常と演技>の物語だったのかも。


posted by かしこん at 15:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする