『大鴉が啼く冬』から読んできた、<シェトランド四重奏>もついに完結編。
今回の舞台はシェトランド諸島でも更に離れたフェア島。
ジミー・ペレス警部の故郷であり、婚約者のフランを両親に紹介するために休暇を利用してきたのだが、島のフィールドセンターでひらかれた婚約祝いパーティの直後、センター長のアンジェラが殺される出来事が! 折からの悪天候でシェトランド本島との交通も途絶され、単身捜査を(科学捜査の助けもなく!)余儀なくされるジミー・ペレス。
一方のフランはジミーの両親とうまくやっていける感触を得るが、娯楽も何もないこの島にいつか移り住んできたとして、自分はやっていけるのだろうか、と考えて・・・という話。
<シェトランド四重奏>の特徴として、陰惨な殺人事件は起こるものの、基本的に島の住民はそれほど多くない&ほぼ顔見知りという関係上、どこか牧歌的な空気が漂うのは事実で、だからこそ真相がわかったときの衝撃は倍増という、読者をどん底に突き落とす作品群である(他の作品は知らないのであるが、シリーズの特徴というより作者の志向・嗜好の問題かもしれない)。
だから完結編といってもほのぼのとは終わらないかもしれないなぁと思ってはいたものの・・・まさか、こんなラストが待ち構えていようとは。
そ、そこまでするんですか! ひどくないですか?! 読者へのいやがらせか!
これだからイギリスのミステリは油断ならない・・・。
ジミー・ペレス、という一人の男が<刑事>という生き方をかつて選んだ。 そして更に<よりよい刑事>になるために必要な4ステップだったというわけなのか!
さすがに非難が集中したのか、罪悪感からかはわかりませんが、作者は続編を執筆したとのこと。 邦訳が待たれます。
ラベル:海外ミステリ