普段はぐずぐずと優柔不断なあたしではございますが、こういうときは行動が早い。
電子書籍でもいいかなぁ、とは思ったのだが、今の仕事場で別の部署に本好きの人がいることが判明、映画『悪童日記』を見たことを話したら「面白そう」と言っていたので(その人は原作のことを知らなかったが)、人に貸すことを考えたらやはり紙の本のほうがいいわけで。
表紙がいい感じになっていたのも購入した大きな理由のひとつ。
最初にハヤカワepi文庫になったときの装丁は「微妙・・・」だったから。
ところでアゴタ・クリストフという名前、アガサ・クリスティの現地語読みとかつて読んだ気がするんだけど、文庫版訳者あとがきにはそのことは一切触れられていなかった・・・あたしの記憶違い?
ちなみに原作では“ぼくら”が祖母の家に連れられてきたところから始まっていた。
<大きな町>の描写がない! なるほど、あれは映画的な説明描写だったか(幸福な時期を一瞬でも挿入することで、<小さな町>での出来事の理不尽さを強調するためか)。
平易で簡潔な文、短い章立て故どんどん読んでしまいそうになり、「待て! あたしには予約ありで図書館から借りている本がある!」と自分を押しとどめなければならなかった。
この同じテイストの表紙の絵が、なんかいいのだ。
実際の本には映画のキャンペーンのための帯がついているが、それをはがして、本棚に表紙側を向けて三冊並べておきたい衝動にかられる。
しかも、フランス文学の翻訳者としてある程度の地位を築いていると思っていた堀茂樹にとって、これが初めての翻訳だったとは!(言われてみれば、あたしの中のイメージより実際に翻訳している作品は少ない)。 しかも当時出版社に伝手をもっていなかったので原稿を郵便で早川書房に送りつけてたとか、気鋭のフランス文学者としてはなんだか切ない話である。 でもそれを受け入れる早川にはいい編集者がいるんだろうなぁ、と思う(まぁ、そういう勢いの社風であるというイメージもあるんだけども)。
読みかけの本はいろいろあるのだけれど、結局これは隙を見て読んでしまうんだろうなぁ、という気がしている。
ラベル:海外文学