2014年08月03日

教場/長岡弘樹

 警察学校が舞台の作品ということで、何年か前に放送していた佐藤浩市主演の連続ドラマのことを思い出したのですが、かなり似て非なる内容でした。
 実際には警察学校は取材拒否が原則だそうなので、あくまで“警察学校”という舞台を借りただけで、「閉鎖空間に閉じ込められ、理不尽と感じる規則に縛りつけられていると感じている人間は、歪みを持つ者はどんどんひどくなり、それでもあえて乗り越えられる者もいる」というシミュレーション成長小説のように感じてしまいました。

  教場.jpg 連作短編、という構成。

 だから生徒たち(立場は巡査だけど)の素質を見抜き、暖かくも厳しい指導をする謎の教官・風間以外の教官たちは類型的(というか没個性的というか)にしか描かれず、風間の奇妙な指導についてこられた者たちだけが成長していく(それ以外は自分の弱さからくるノイローゼになり、学校を去っていく)。
 だから前半は大変後味が悪く、後半になるにつれて内容がちょっとずつ明るくなっていくのをアンバランスととらえるか、ミステリというより成長物語ととらえるかによって読む人の印象や評価はガラッと変わってしまうかもしれません。 連作なれど短編独特の切れ味があり、あたしは結構面白く読めました。 ハードカバーだけど、会社の行き帰りの電車で数日しかかからなかったし。
 このような構図は多分、ここで描かれた警察学校だけではなく、規則の厳しい全寮制の学校とか、いわゆるブラック企業的職場とか、自分の思考までも閉ざされる“閉鎖空間”ならばどこでも起きることでは、と思わされる。 あたしは競争とかとにかく好きじゃないので、とりあえず関わりたくありません。
 でもその昔、刑事ドラマに憧れて「刑事か鑑識になりた〜い」と思っていた時期もあったんですよね・・・(その頃は捜査一課と二課の違いもわかってなかったです)。 のちに、たとえキャリアで合格しても警察学校には行かなければならない(柔道やらをマスターしなければならない)と聞いてあっさり断念しました。 その選択は間違ってなかったです。

ラベル:国内ミステリ
posted by かしこん at 09:11| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする