2014年08月02日

her 世界でひとつの彼女/HER

 スパイク・ジョーンズとミシェル・ゴンドリーの作品には、あたし個人的にはあたりはずれがあるというか、ぐっと来るものといまいち物足りない・ピントがはずれたように感じるものにわかれることが多い気がする。 なのでこれもどうかなぁ・・・と思いつつ、人工知能を内蔵したOSとの恋、というキーワードにつられて見てみる。 エイミー・アダムスも出てるしね!

  ハーP2.jpg 人生にときめく、AI。 声だけの君と出会って、世界が輝いた。

 さほど遠くない未来のロサンゼルス。 代書屋(といっても文章を考え、それにぴったりくるフォントを決める)をしているセオドア(ホアキン・フェニックス)は、最愛の妻キャサリン(ルーニー・マーラ)から一方的に別れを告げられたことを今も引きずり、モノクロな日々を送っていた。 かつて快活だった時期のセオドアを知っている友人のエイミー(エイミー・アダムス)も彼をはげましたりするが、あまり効果はない。
 ある日、AI(人工知能)を搭載したOSが発売されると知り、購入したセオドア。 初期設定中の「声は男性にしますか? 女性にしますか?」との質問に「女性で」と答える。 途端に、「ハーイ、私はサマンサ」とOS(スカーレット・ヨハンソン)が話しかけてくる。
 セオドアに対応するよう設定されたサマンサはセオドアにはびっくりするほど言わなくても気持ちが通じる相手となり、生まれたばかりのサマンサにとって、世界はすべて新しい物だらけで楽しみに満ちていることがセオドアにも伝わり、いつしかセオドアはサマンサに恋するようになり、人生を新しくやりなおそうと考えるようになるが・・・という話。
 今でも多くの人がスマホに向かい合っているように、この映画の近未来では折りたたみの鏡のようなサイズの音声認識型タブレットPCの進化版のようなものを持っていて、みな、それと会話している。

  ハー06.jpg こんな感じのやつ。

 誰もがそこにいない人と話しているみたいで(ひとり言とはちょっと違うし)、ちょっと気持ち悪かった。 でも劇中の彼らには普通のことで、世の中はどんどんヴァーチャルになっていくんだろうなぁ、と思わされる。
 いくら人工知能搭載とはいえ、インストールされたばかりのサマンサがもう普通の人間以上に魅力的な語り口(しかもやたらフレンドリー)なことに驚いた。 最初はぎこちなくとも次第に(急速に)学習していくプロセスがあったなら、もうちょっとサマンサに対して感情移入できたかも。 だってサマンサ、最初から“人間”なんだもの。
 けれど、肉体という存在がなくとも人間は恋心を抱ける、という感覚は、二次元にのめり込む人々やネットのチャット相手を深く信頼する、といった現実に起こる事実につながる。
 「何故人は、自分以外の誰かに自分を認めてもらいたいと思うのか」、という古来からのテーマは最新技術を使っても語られ続けるのね。
 セオドア役のホアキン・フェニックスがすっかりオタクな風貌で、サマンサとの関係にぐんぐんのめり込む姿に異様な説得力が。

  ハー04.jpg 彼には笑顔と人生への希望が戻る。

 しかし結局は違う世界に住む二人、いい関係は長く続くわけもなく・・・知的レベル(?)が違いすぎる二人がそれ故にはじめは惹かれあっても、いつしかその違いに理解が伴わなくなるように、存在する次元が違うという事実はもうどうしようもなく。
 あぁ、愛ってなんなんでしょう。
 そっちに引っ張られがちの物語ですが、実は人工知能の成長物語でもあるわけで・・・、人間って弱くて愚かでせつなくて、情けない、としみじみ。

ラベル:外国映画 映画館
posted by かしこん at 16:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする