2014年08月17日

テニスコートの殺人【新訳版】/ジョン・ディクスン・カー

 夏休みはヘニング・マンケル『北京から来た男』を一気読みする予定であったが、諸般の事情により断念・・・(なんか去年も似たようなこと、なかったか?)。
 なので日々の通勤電車で地味に読んでいた『テニスコートの殺人』を読み終えてしまうことに(なにしろ途中で2回乗り換えるので、集中して読めない。 しかも電車に乗ってるトータル時間は15分以内だし)。 登場人物があまり多くなかったのと、それほど長くない(336ページ)というのがよかったか。
 でもこれがなかなか、面白かったんですよね!

  テニスコートの殺人新訳版.jpg 読み終わってから表紙を改めて見ると、意味深だわ。

 名探偵フェル博士モノだけれど、若き恋人たちヒュー・ローランドとブレンダ・ホワイト視点で物語は進むので、フェル博士は純粋謎解き要員。 パタリロがよく変装するフェル博士のイメージがあたしの中に刷り込まれてしまっていたので、実は大男と知ってびっくり!(服装などはイメージ通りでしたが)。
 絵に描いたようなどら息子フランク・ドランスや、甘々の後見人ニコラス・ヤングなど、登場人物に時代を感じてしまったりもするのだが(そりゃそーだ、書かれたのは1939年である)、数は減っただろうがこういう人、今でもいるんだろうな・・・と思わせる説得力はある。 人間って、変わらないのね。
 さて、ここで重要なのは“足跡の謎”
 疑われまいとするカップルの行動が余計な疑惑を招きそうで「おいおい!」とつっこみたくなること再三。 で、フェル博士が披露する真相も、十分論理的ではあるのだが、「これ、実際にやったらかなり間抜けなことにならないかな?」と思ってしまった(なんかすみません)。
 でも会話劇としてはすこぶる面白く、『火刑法廷』のようなおどろおどろしさ・オカルト趣味もなく、純粋推理的ミステリとして「カーってなんかよくわからなくて苦手だわ〜」という人に薦めやすい!、と思う。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 08:32| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月16日

今、そこにある明滅と群生/高橋優

 先日、キリンジの『11』と一緒に買ったんですが・・・こっちのほうが聴くのがあとになってしまいました。
 まだいささか体調が本調子ではないので、薬をのんでおこう → そのためには何かちょっと食べなければ、のサイクルを何度か繰り返していたら、ところどころで意識消失・・・。 終戦記念日なのに、黙祷するタイミングを逃した。 なんだかすみません。

  高橋優 今そこにある.jpg 高橋優くん、メジャー4thアルバム。

 「今思ったことを今歌う、リアルタイムシンガーソングライター高橋優」、というメジャーデビュー時のキャッチフレーズが2枚目・3枚目のアルバムでは1枚目と比べて少々弱まったかな?、と思ったりもしていましたが・・・今回、まさに原点回帰的というか、ファーストアルバムからさらにパワーアップ!
 なるほど、<平成の大名盤なり!>というコピーに偽りはないかも。
 ドラマの主題歌になってしまって「大丈夫?!」と思わされた『太陽と花』も、実はフルコーラス聴いたらドラマ(上野樹里主演『アリスの棘』)のテーマとしっかり合致していたことに感銘を受けたり。 なんでドラマではフルコーラス使ってもらえなかったんだろう?
 でも、順調にタイアップ曲が増えるということは、評価も高まってきたということであろうし、商業的にも多少楽になるであろうから、こんなペースでがんばってほしいかな。
 ただ微妙に心配なのは・・・あたしやそれ以上の年齢の方が彼を褒めるのはよく聞くんだけど、彼と同世代、もしくはもっと若い世代の方々は彼の音楽をどう思っているのだろう。
 『ほんとのきもち』の頃は若いファンのほうが多かったイメージはあるんだけど。
 幅広い年代に支持されてこそ本物、という気がするし・・・ちょっと調べてみようかなぁ。

ラベル:邦楽
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2014年08月15日

メトロ42/METRO

 シネ・リーブル神戸でこの映画の予告編を見て・・・「ロシア映画だけどハリウッド映画に負けない大迫力!」みたいな謳い文句に惹かれてみました。 パニック&ディザスタームービーって結構好きなもので。

  メトロ42ーP.jpg 地下鉄パニック・ムービー最高傑作に大都市モスクワ陥没!!

 高級マンション(ホテル?)の上階から眺めるモスクワの風景はかなり近代化され、整備された美しい大都市に見えるが、その大都市の中枢をめぐる地下鉄は「いつの時代の?」というくらい古い(改修工事とかされてないのか?)。 機関司令室みたいな部屋も、昔の日本映画『新幹線大爆破』の国鉄施設より古い&機能低そう。 ロシア、大丈夫か!、とまず思ってそれだけでハラハラする。 結局、高層ビルを地盤をしっかり作らずにどんどん建てていってしまったため、市内を流れる川の水がじわじわ浸食し、地下鉄トンネルの弱いところに負荷がかかって・・・という原因でした。
 ある朝のラッシュ時、地下鉄42号に乗り込むことになった人々の点描からスタートするあたり、パニック映画王道の構図。 しかしちょっと面白いのは、主演級の医師(セルゲイ・プスケパリス)の妻(スヴェトラーナ・コドチェンコワ)が浮気していて、地下鉄に夫とその浮気相手が一緒に乗り合わせるところ。 夫は浮気されていることを知っているけれど黙って我慢していた状態で、普通なら事故後は見知らぬ人々が協力し合って生還を目指す流れになるはずなのに、この二人は最後まで協力し合わないというか、途中で殺し合いをしかねない勢いのままだった、というのが新鮮というか、お国柄なのでしょうか、と思ったり。

  メトロ42−1.jpg 奥さん超美人。 『裏切りのサーカス』のロシア人スパイだった人だ〜。
 じわじわ漏れていた水が濁流となってトンネルの天井が一気に陥没、地下鉄の運転士が急ブレーキをかけるシーンは・・・スローモーションや無音を効果的に使い、特に窓ガラスの割れた細かい破片が散らばる様子が場面を美しく彩るけれど、描かれているものはとても恐ろしい。 シーン自体はさほど長いものではないのだが、JR西の福知山線脱線事故を思い出してしまい、思考停止に(当時のニュース映像などの記憶のふたが開いてしまって、そっちに飲み込まれそうになったのであえて思考を停止させたというか)。
 なるほど、これでは関西で拡大公開できないなぁ、と納得。
 地下水が襲ってきてからは『ポセイドン・アドベンチャー』的になるので・・・つらいのはそこだけでした。

  メトロ42ー2.jpg とりあえず、我先にと逃げる人々。
 地下鉄のレール周辺には電気通ってないのか?!、とこれまたハラハラ。 これもお国柄なのかなぁ、と思ったのは、急ブレーキによる慣性の法則で乗客はほぼ吹っ飛んだりしているのに、いち早く気がついたやつは倒れている人の懐から財布盗んだり・・・「意識ある者・動ける者からまず協力し合おう」という空気がまったくないことにびっくり。 なんか逃げ遅れちゃったから一緒に行きますか、ぐらいの感じ。 ドライだ。
 救助体制のほうも大きく描かれるところもポイントのはずなんだけど・・・ロシア当局、あまり機能していない?、という感じであまり見せ場にならず。 決死の覚悟の救助隊(精鋭なのだろうけど3人)にすべてが託されてしまうお粗末さ。 しかも、それより夫と娘が事故車両に載っていると知った妻の苦悩のほうがクローズアップされてしまっていて、「えっ、実はラヴストーリー、もしくは家族の再生の話?!」とびっくり。
 都市の基本的なインフラにお金をかけてこそなんぼですよ、という教訓が薄まってないかい?!
 報道の自由がいまいちなかったり、でもそれを潜り抜けるしたたかなジャーナリズム精神とか、ロシアという国(というかモスクワ限定?)の現状をなんとなく垣間見られた気がしたのは面白かったです。 確かに、ハリウッド映画に匹敵する迫力だったし。

ラベル:映画館 外国映画
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2014年08月14日

これも、夏休み

 13日から15日まで、仕事場が夏休みに入りました。
 しかしあたしは体調を崩し、寝込んだりよろついたり。
 あぁ、いろいろしたいこと(本をまとめて読むとか、たまったドラマ見るとか)があるのに・・・。
  ↑← いつもと大して変わらないではないか、というのは、この際なしの方向で。
 まぁ、土日もあるし、残り数日、なんとかできるだけのことをしたいと思います。

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2014年08月13日

ロビン、あなたもか・・・

 お昼休憩のとき。 携帯ニュースで<ウィリアムズ氏、死去>と流れていく文字を見て・・・ウィリアムズ氏って誰だ?、と訝しく思う。
 まさか、ロビン・ウィリアムズなわけないよねー、とそのニュースの詳細をクリックしてしまったあたしは固まった。
 そのまさかとは!
 しかも、自殺。 重度のうつ病。
 あぁ・・・なんかもう何も言えなくなって、携帯を閉じた。
 うつ病の常識として、入院するほどひどい状態のときは、ご本人はすごくつらいだろうけれど自殺の可能性は一般に低いとされる。 自殺する気力すらないからだ。 だが、ちょっと調子がよくなったように見えたり、退院したあたりがかなり要注意。 自殺ができるくらいに元気(?)になっているからだ。
 笹井博士ももしかしたらそうだったのかも・・・と思わなくはなかった。 一部報道によれば7月あたりは入院してたと書いてあったような。 それが退院して、更に出勤しちゃったからあんなことになっちゃったのではないか。 せめて自宅療養でもできなかったものか。
 かつてより“うつ病・うつ状態”に対して一般の理解は深まってきたと感じていたが、患っている人への対処法はまだまだだなぁ、と思う。 実際、少し気持ちが上向きになった人は必要以上に元気な振りをしてしまうから、まわりの人が気付きにくいというか、「いや、まさか」と思わせてしまう傾向もあるんだけれど。 でも、あえてそれでも周囲の人は一歩踏み込む努力が必要なんじゃないか。
 と、うつが原因で自殺する人の報道を耳にするたびに、考える。
 さて、あたしはそれができるだろうか・・・うざいと思われても、何かを察することのできる人になりたい。

posted by かしこん at 04:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題・ニュースに思うこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月12日

今日は4冊。

 仕事場に行くと、大変人が少ない。
 月・火と休んでまるまる一週間休暇!、という人の多いこと。
 おかげで、たいして邪魔も入らず静かに仕事ができましたけどね。
 しかし定時に帰ると、つい寄り道をしてしまったりするのが悪い癖(昨日は定期の更新をするという理由があったけど)。

  妻の沈黙.jpg 妻の沈黙/A・S・A・ハリスン
 この表紙と、帯の文句<あと数カ月で、彼女は殺人者になる。>というコピーに、「うわっ、『ゴーン・ガール』並みに後味の悪い、少しも心温まらそうな話!」と感じて手に取ってしまった。 きっと読んだらいやな気分になるんだろうなぁ〜(なのに何故買うのか)。 解説によると、本国でも実際『ゴーン・ガール』と比較されて論じられているようだ(こっちのほうが本国で一年後に出版されている)。 しかし作者はこの本の刊行2ヶ月前にがんで亡くなったとのこと。 世界27ヶ国で大ヒット、という事実を知らずに亡くなるとは・・・『ミレニアム』の作者のことを思い出してしまうなぁ。

  ヴァレンヌ逃亡.jpg ヴァレンヌ逃亡 マリー・アントワネット 運命の24時間/中野京子
 別に心情的にはマリー・アントワネットに共感するところは何もないのであるが、なにしろ彼女が処刑された日はあたしが生まれた日なので、そしてかつて『ベルサイユのばら』に心躍らせた過去があるので(劇場版なんてリバイバル上映で見たけど号泣でしたからね)、<ヴァレンヌ逃亡>にも興味があるわけです。 その当時は資料が少なかったですし(『ベルばら』でもさらっと描かれていただけだけど、かなりのターニングポイントだったことは明白)。

  中井英夫.jpg 中井英夫 ―虚実の間に生きた作家<KAWADE道の手帖>
 あ、こんなのがあったんだ! 結構中井英夫関連書籍は買ってたつもりだったんだけど(東京創元社の『中井英夫全集』を揃えて安心したか)。
 単行本未収録作品や遺稿も含め、中井英夫と交流のあった人のエッセイ、憧れを持つ作家の対談など、若干の寄せ集め感もないではないが・・・しかも三浦しをんの言ってることが「そんなの中井英夫ファンならみんなわかってることだって!、と少々苛立ちを誘うものだったり・・・自分のおとなげなさを反省します。
 あぁ、でもこの表紙の写真はとてもいいなぁ。 イメージにかなり近い。

  天野喜孝ムック.jpg 天野喜孝
 画集というかムックというか。 画集としては物足りないんだけど、宇野亜喜良との対談が載っている!、ということで。 このお二人が表紙を描いた本を、かつてのあたしはいっぱい買いましたよ。
 栗本薫<トワイライト・サーガ>『カローンの蜘蛛』の表紙を描いたことで自分の画風をつかんだ、みたいなことが書いてある。 あ、あたしこれ、表紙につられて買った! 『天狼星』も表紙の絵にやられてハードカバー買った! あぁ、『吸血鬼ハンターD』もイラストにつられて読み始めたところがあった。
 つまりはそれくらい、表紙の絵・写真や装丁は大事だということです。
 最近、手抜きが見られる出版社もあるので・・・出版不況を自分たちの手でこれ以上拡大しないでください。

ラベル:新刊
posted by かしこん at 03:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 買っちゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月11日

スーパームーン、見れず。

 無事台風11号も通過、あたしは特にダメージはありませんでしたが、同じ区内でも山側近くの方々は土砂災害の危険ありと避難勧告が出た模様です。 全国的にも被害が少なくて済むように願います。
 さて、夕方頃から雨はやんできましたが、少々風の強さが残っています。
 これで雲を吹き飛ばしてくれたなら、スーパームーンが拝めるかも?!、と、夜中すぎにゴミ捨てのついでに外に出たのですが・・・まだ雲は残っておりました。
 しまった、月のいる角度を計算していなかった!
 周囲が結構高い建物が多いので、見える範囲も限られる(ゴミ捨てに出る前に部屋のベランダから見える範囲も確認したのだけれど)。
 残念ながら、今年最大のスーパームーンは見られずでした。

posted by かしこん at 03:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 季節のこと/街の中の自然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月10日

11/キリンジ

 “新生キリンジ 第一弾!”とコピーはついているけど、タイトルは『11』
 11枚目だから、ということでしょうか(前作は『ten』)。 これは兄弟デュオで弟が脱退しても、アーティスト・キリンジとしては変わらないですよ、という宣言なのか。

  キリンジ11.jpg でも人数増えてるし!

 ライヴではすでに最初の頃からバンド体制でしたが・・・“新生キリンジ”はもうバンドとしてやっていく模様。 コトリンゴとか、すでにソロでやっている人もメンバーに。 えーっと、これは、「いとうせいこうが“口ロロ”のメンバーになる」みたいな?
 ドキドキしながらスタートボタン。
 一曲目“進水式”は「あ、キリンジだ!」となんだかすごくほっとする曲。
 高音質CDでの制作、ということもありますが、とても音作りが緻密。
 全曲、作詞・作曲は堀込高樹なのでそのあたりは大きく変わるわけじゃないんだよな。 人数が増えてコーラスワークの厚みを増やすことで、これまであった兄弟ならではの<違う声なんだけど、本質的には似ている二つの声によるハーモニー>を補っているような。
 途中から違う人にリードヴォーカルを取ったりされると「ん?」と思ったりしてしまうけど・・・これも含めて新しいキリンジなんだな、と受け入れようというか、受け入れないといけないんだな、というか・・・そんな気になりました(変化を受け入れにくくなっている自分に気づかされる、みたいな)。 だって、全体的にとても質が高く、隙のない出来なのですもの。
 でも、ちょっと悔しいというか、さびしいというか、複雑な心境があるわけで。
 それにしても・・・高樹氏と泰行氏は結構声が違うと思っていたけど、弟の泰行氏がいなくなってみると、実は結構ある高さではすごく声が似てるんだな、と、今頃気づく(お互い、得意とする音域が違っていたからであろう)。 泰行氏のソロプロジェクト<馬の骨>では気づかなかったポイント。
 こうなったら、泰行氏も早く帰ってきて!

ラベル:邦楽
posted by かしこん at 17:23| Comment(0) | TrackBack(0) | Music! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月09日

複製された男/Enemy

 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の新作というだけであたしの中では“見たい度100%”だが、ジェイク・ギレンホールが2役ともなれば更に期待が高まる。
 『灼熱の魂』『プリズナーズ』のようなまた例によって緊張感あふれるしっかりしたミステリなんだろうな!、というわくわく感は、原作がノーベル文学賞受賞作家ジョゼ・サラマーゴという点で若干の不安はあったのだが、気づかない振りをした。 それくらい、ドゥニ・ヴィルヌーヴという監督への期待値は高い。

  複製された男.jpg 脳力が試される、究極の心理ミステリー
    あなたは、一度で見抜けるか――

 カナダ・トロントにある大学で歴史の教鞭をとるアダム・ベル(ジェイク・ギレンホール)は、同僚に示唆された映画のDVDを見て、そこに自分そっくりの男が映っていることに気づく。 それが役者のアンソニー・クレア(ジェイク・ギレンホール)だとネットで調べたアダムは、アンソニーに会いたいと何かにとりつかれたように行動し、ついにアンソニーと接触する。
 <カオスとは未解読の秩序である>という言葉から始まるこの映画は、これまでの2作品と比べると驚くほどパーソナルというか、狭い世界での個人的な物語に収斂している。 登場人物も少ないし、2役という制約がなければ舞台でもできそう。
 謎めいた台詞、不思議なカット、全体的に不穏な雰囲気、現実なのか夢なのか存在する映画の中のシーンなのかあえて区別しない幻惑感。 ラストに向けて急激に物語は展開するも、それまでは一定のムードで、当人たちにとっては深刻な問題なんだろうけど、その深刻さはこっちにはうまく伝わらない。 これって意外に、男だから・女だから、かしら?
 映画を見て自分にそっくりな人が映っていたとして、あたしならそこまで追いかけるか?、という部分がいちばんひっかかったかなぁ(多分あたしなら、その人の出演する作品を探して見ることはするかもしれないけど、会いに行こうとはほとんど思わないだろう)。 直接会いに行ってしまうところに、アダムの“こんなはずではなかった今の自分”といった現実への不満(恋人(メラニー・ロラン)ともうまくいってるんだかいってないかだし)が見てとれ、それが“男としての自信のなさ”みたいなものにつながっている気がする。

  複製された男01.jpg 右:アンソニー、左:アダム
 それに対してアンソニーのほうは、俳優という仕事は順調ではないにしろ、身重で美人の妻(サラ・ガトン)がいて、裏のあやしい(?)仕事で稼いでそうだし、やけに男としての自信にあふれているように見える(だからカットが変わって説明がなくとも見ただけでアダムなのかアンソニーなのかわかるのである。 腕を上げたな、ジェイク・ギレンホール!)。 見た目はそっくりなのに中身はまったく違うのもポイントだ。
 『プリズナーズ』で仕事を一緒にしたから引き続きこの映画でも起用されたのかと思っていたら、本国での制作順はこっちの映画のほうが先! そうか、こっちで培った信頼感が、『プリズナーズ』でのジェイクの新しい面につながったのか。 そう思うと役者と監督の関係ってすごく大事。 また、役者の特性を活かせる役を与えられるかどうか、というのも。
 結局真相は観客にゆだねられてしまっているので、あたしにも解釈案はあるが・・・これは見た人次第なので話していいのかどうなのか(要は『ファイト・クラブ』だよね!的な)。
 見た人同士で「あれはなんだったの?」と盛り上がるのが楽しそう。 多分、男の人はすごく苦悩してるんだろうなぁ。 でもそれを女の人は勘であっさり見抜いちゃうんだろうなぁ。
 実は、本質は結構単純かも。
 『複製された男』というタイトルは原作の題名(日本でも邦訳出版済み)をそのまま使ったものだけど、映画のタイトルはそもそも『ENEMY』だもんね・・・。
 あぁ、『灼熱の魂』でも<1+1=1>の公式が使われていたなぁ。
 全体的に黄色くかすむような映像。 まるで街全体が黄砂で覆われているような。
 ドゥニ・ヴィルヌーヴ独特の緊張感は少々ゆるめだが(今回は息ができないくらいの苦しさはなし)、でももう一回見たいかも・・・という中毒性はある。
 エンディングで急に明るめの音楽が流れ、はっと夢から覚めたみたいに感じた。
 そう、たちの悪い悪夢から。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 15:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月08日

眠い・・・

 台風がぐんぐんと近づいているせいでしょうか、やたら頭が重く、眠くてたまらない。
 というか、気がついたら寝ている、という状態。 決して熟睡しているわけではないものの、うつらうつらの状態が断続的に続く。
 というわけで本日は寝ます。 眠れるときに寝ておかないとな・・・。

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2014年08月07日

お久し振りの新開地

 『メトロ42』というロシア映画が見たくて、久し振りに新開地のCinema Kobeへ。
 この映画館に来るのは何年ぶりであろうか。 あのときはまだ、映写技師歴ウン十年の支配人のおじいさんがいて、気さくに対応してくださったのを覚えている(しばらく前に、お亡くなりになったことを聞いた)。
 Cimema Kobeはいわゆる二番館。 アクションやサスペンス、スリラー、ホラー系統のB級映画を主な得意分野としております(その点、同じ新開地の反対側にある名画座的位置づけのパルシネマと棲み分けているともいえる)。
 でも神戸市内で公開していなかった映画を持ってきてくれたりして、映画館の方の苦労と工夫を感じます。 なのに、なかなか行けないのは、上映作品が一週間で変わってしまうことと、上映スケジュールが一日おきに違う、という時間的条件のため。
 油断すると終わってしまうのと、あたしの仕事帰りの時間とうまく合わないのと。
 しかし今回は絶対忘れてはならん!、と思ってがんばった。
 映画もなかなか面白かったですし(同時上映の『ミッション:15』というのも小粒ながらなかなかだったし。 感想はまた別記事でアップします)。
 しかし、ここの映画館のすぐ並びにあった『赤かぶ』という老舗の洋食屋さんがなくなっていた!、というショックな出来事も。 串揚げのお店に変わってました。
 元町商店街も久し振りにはじからはじまで歩くと「あれ、こんなお店あった?」、「あ、あのお店、なくなってる!」ということはわりとあるんですが・・・新開地の老舗となると、お店の人の健康状態に何かあったのでは・・・と考えてしまうのですよね。 何回か行ったことのあるお店だから余計に。

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2014年08月06日

トランセンデンス/TRANSCENDENCE

 最初に予告を見た段階で、てっきりクリストファー・ノーラン監督の新作だと思っており(だって内容もそれっぽいし、モーガン・フリーマンもキリアン・マーフィーも出てるし)。 実はクリストファー・ノーランは製作総指揮で、監督はウォーリー・フィスター(『インセプション』『マネーボール』などの撮影監督で、今回が初の映画監督作品)だったのね。
 微妙に宣伝に騙されたというか、あたしが誤解してしまった感があり。

  トランセンデンスP.jpg もし、コンピュータに科学者の頭脳をインストールしたら――

 人工知能研究の世界的な権威である科学者のウィル(ジョニー・デップ)と妻のエヴリン(レベッカ・ホール)が画期的な開発を発表する。 が、その人工知能PINNの万能性に対し「神をつくりだす気か」と反対を叫ぶ過激派団体によりテロ行動が連鎖的に起き、研究所が爆破されたりウィルも銃撃される。 次第に死へと近づくウィルに耐えられず、エヴリンはウィルの意識をPINNにアップロードしようと試みる。 研究仲間であるマックス(ポール・ベタニー)やジョセフ(モーガン・フリーマン)は何が起こるかわからない危険性を指摘するが・・・という話。
 『her/世界でひとつの彼女』と同じく人工知能が題材なのは偶然? あっちが主人公を中心とした半径100m程度の物語だったのに対して(AIはネットを介して世界中をめぐるけれど、それは人間たちにはよくわからないこと)、こっちは文字通り世界規模の大スペクタクルに発展。 ま、SF的にはこちらの展開が普通というか、定石通りではあるんですが。

  トランセンデンス05.jpg 安定演技のお二人。
 キリアン・マーフィーはテロ事件を担当するFBI捜査官で(珍しく?正義の側の人!)、PINNにアップロードされたウィルの指示で新たにつくられる研究拠点となる田舎町で働く人にクリフトン・コリンズ・Jr、ジョシュ・スチュワート、ルーカス・ハースなど、個人的にはなかなかツボなキャスティングにニヤリ。 特にポール・ベタニーはすごくおいしい役でした。
 こういうのを見てつくづく思うのは、絶対唯一神信仰のあやうさというか、多神教を容認する風土で育った人間にはいくらがんばっても理解できないことがある、ということ。
 <人工知能が人間を越える>として、何が悪いのか。 人間にしかできないこともあると思うし、人間にできないことを人工知能がやってくれるというのならばそれでいいんじゃないのかな、と考えたり。 結局、テクノロジーの進化をどう使うかは人間次第、という結論になってしまいがち。

  トランセンデンス04.jpg 科学者なのにエヴリンは感情で動いてしまったのが残念。 結局女性ってそんなもんよね、となりかねないように見えて。
 PINNに脳の機能をアップロードしたウィルは、そもそもウィルと同じ存在なのか、という実存性の問題のほうが重要だったのか?(あたしはアシモフの“ロボット三原則”を思い出しました)
 大きなテーマをぶち込み過ぎて、そのあとは観客に考えてもらう姿勢は一神教の方々に対しては意義ある提言になるんでしょうけど、こっちからすると結構よくある話っぽく感じてしまったのは物足りなかったかな。 でも結局は愛の物語として締めくくってしまったので、インパクトは薄れたか。
 あ、映像技術はすごかったですけどね。
 そこはやはり映画館のスクリーンで見て、よかった感じ。

ラベル:映画館 外国映画
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2014年08月05日

オースト名刺入れ@ATAO

 いきなりですが、仕事で名刺を持たされることになりました。
 内勤の事務なのに、何故・・・。
 以前もそんなことがあり(5・6年前?)、ブッテーロのきれいな緑色の名刺入れを購入。 しかしブッテーロは綺麗にくっきり傷がつくので(勿論、使っていくうちに目立たなくなったりそれが味になったりするのですが)、「この緑にキズがついたらあたしは泣く!」と、その当時はカバンのジッパーつきのポケットにそれだけ入れておく(他のものは入れない)、そういうポケットがないカバンのときは専用のポーチにしまう、使うときだけ出す!、という細心の注意を払っていままで無傷でやってきました(しかしカバンの中で他のものに押されたりするので、圧迫型のようなものはついてしまっています)。
 しかし、今回の感じではブッテーロに細心の注意を払う余裕がなさそう!
 デパートなど、ちょうどセール時期なのでいろいろ見たけど・・・「えっ、セールでもそのお値段?!」と絶句する感じ。 その金額を出すのなら妥協したくないし、お安めなのは「どうもなぁ・・・」といまいち気が乗らないし、文具店などで売っているものは名刺交換するお相手方とかぶってしまいそう!(しかも、結構いいお値段するし、コードバンのがすごくきれいだったんだけど、ブッテーロ並みにキズがつきそうだった)
 というわけで、結局いつものお店、ATAOへ。
 ある程度枚数が入る、シンプルだが個性あり、というこちらの要望により、選ばれたのは。

  CA3A1737.JPG オースト名刺入れ・アイボリー
 一瞬オーストリッチなのかと思ったが、触れば牛革である(もし本物のオーストリッチならとても手が出ないお値段であろう)。 型押し加工であるらしい。
 全5色ありましたが、これがまるで窓の外をふと見たら雪が降っているかのように見えて、暑さにばて気味のあたしは涼しさ(寒さ?)を求めてしまいました。 雨にぬれたハスの葉のような緑色とも悩んだんですけどね。

  CA3A1738.JPG 開けばマットなスムースレザー
 このなめらかな手触りもグッドです。 名刺、30枚以上は余裕で入る感じ。 ポケットも充実しているのでパスケースやカード入れにも転用可能。

  CA3A1739.JPG 名刺を入れるところは、さらさらスウェード。
 ライトの加減で茶色の革部分がえらく明るく映ってますが、2枚目の写真が実物に近い色です。 3種類の手触りの違う革が使われている、というのも革好きにはうれしいこと。
 2000円割引券があったので、デパートのセール品のお高い方とそれほど違わないお値段で購入。 これなら傷もつきにくい、お手入れも楽、ということで安心です。

ラベル:革小物
posted by かしこん at 03:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 趣味・小物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月04日

昨今のお仕事事情

 Bさんが7月31日で職場を去った(有給消化のため、8月いっぱいは籍があるが、勤務としては最終日)。 ひとりひとりにメッセージカードつきの小分けのお菓子をくばっておられた。 あたしも頂戴した。 「かしこんさんには癒されました。 かしこんさんとEさん(あたしの同期)のおかげで、気持ちよく最後、この会社を去ることができます。 お二人との仕事はとても楽しくて、もっと働きたくなったけど、今更ないものねだりよね」的なことが・・・。
 たかだか数日間の引き継ぎ、それがBさんの癒しになっていたとは・・・Aさんとの関係はどれだけシビアだったんですか?!、と思わずにはいられない。
 しかもお菓子渡してあいさつする場面でも、Aさんの対応はどこかかたくな。
 いそがしい時期に急に辞めるBさんのことをまだ怒っているのか、それとも彼女が辞める原因の大半は自分のせいだという罪の意識のようなものがそういう態度を取らせるのか。
 どちらにせよ、おとなげないなぁ、と感じてしまいました。

 実は、Bさんがお辞めになるので仕事内容をあたしとEさんに引き継ぎを・・・という話が出たあと、Eさんはお昼休憩がたまたま上の人と一緒になって、「Aさんのパワハラが今のままでは、私もかしこんさんも近いうちに辞めます」宣言をしたようなのだ。
 そのあと、Aさんがお休みの日にあたしとEさんが上の人2人に呼び出され、事情聴取を受ける。
 9月いっぱいまではいろいろ仕事が立て込んでいるのでそこまでは責任を持ちますが、それ以降は進退を考えさせてほしいです、と意思表明した(こういう機会があるとは思っていなかったので、上の人にあたしはこっそりメールを打とうかと思っていた)。 あたしは完治しない病をひっそり抱えており、ここ数年はほぼ<寛解状態>で安心していたのだが、今の仕事場に来て一ヶ月半で前兆現象らしきものが出た。 病院に行って、「再発とはまだ言えないが、要観察」と言われてしまう。 再発したらまためんどくさいことになるので、そこまでしてしがみつきたい仕事じゃないし(仕事そのものは面白いと思いますけどね)、特にお給料が高いわけでもないし(高ければ我慢できるかってことでもないですが)、続ける意味が見えないのです。
 すると、上の方から提案が。 Aさんからの仕事の引き継ぎ、あたしの分は7月いっぱい、Eさんのほうは8月いっぱいで終わらせること。
 Aさんは扶養控除のための所得制限があるので8・9月合わせて6〜8日ほどしか出社しないようにする、指示系統も変えて、Aさんのいる島から引っ越しをすること(といっても隣だけど)。 別の部署の人間として対応させるから、それでなんとか抑えてもらえないか、というお話。
 「もう辞めます!」の気持ちを固めた身としては、そう言われてどう返事をしたものやら・・・。 上の人お二人からは「辞めるという選択肢はなしで!」という圧力をひしひしと感じたのだが・・・そうやって考えていただけるのはまぁありがたいけど、内部をどうのこうのしてもらうゴタゴタを引き起こすぐらいならさっと身を引きたいんですけど・・・。
 それに部署や指示系統が変わったってAさんがどう振る舞うかの予測はできない(実際、Bさんは違う指示系統のところにいた人だったのだ)。
 なので、あたしもEさんも、「続けます」と即答はできず、「様子を見て考えさせてください」と言うにとどまった。
 なんだろう、また新しい人を採用するのがめんどくさいのか? でもそれが上の人の仕事でもあろうし。 たかだか2ヶ月しか働いていないあたしたちをそこまで引きとめる意味はなんなの?
 ただ、病院の方からも「これ以上ひどくなったらドクターストップかけるよ」と言われたし、やっぱり駄目だ〜、と思ったら見切りをつけますよ。
 とりあえずAさんがほぼいない8月と9月で、あたしたちがどれだけ自分のペースをつかむことができるか。 そこにかかっている気がします。

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2014年08月03日

教場/長岡弘樹

 警察学校が舞台の作品ということで、何年か前に放送していた佐藤浩市主演の連続ドラマのことを思い出したのですが、かなり似て非なる内容でした。
 実際には警察学校は取材拒否が原則だそうなので、あくまで“警察学校”という舞台を借りただけで、「閉鎖空間に閉じ込められ、理不尽と感じる規則に縛りつけられていると感じている人間は、歪みを持つ者はどんどんひどくなり、それでもあえて乗り越えられる者もいる」というシミュレーション成長小説のように感じてしまいました。

  教場.jpg 連作短編、という構成。

 だから生徒たち(立場は巡査だけど)の素質を見抜き、暖かくも厳しい指導をする謎の教官・風間以外の教官たちは類型的(というか没個性的というか)にしか描かれず、風間の奇妙な指導についてこられた者たちだけが成長していく(それ以外は自分の弱さからくるノイローゼになり、学校を去っていく)。
 だから前半は大変後味が悪く、後半になるにつれて内容がちょっとずつ明るくなっていくのをアンバランスととらえるか、ミステリというより成長物語ととらえるかによって読む人の印象や評価はガラッと変わってしまうかもしれません。 連作なれど短編独特の切れ味があり、あたしは結構面白く読めました。 ハードカバーだけど、会社の行き帰りの電車で数日しかかからなかったし。
 このような構図は多分、ここで描かれた警察学校だけではなく、規則の厳しい全寮制の学校とか、いわゆるブラック企業的職場とか、自分の思考までも閉ざされる“閉鎖空間”ならばどこでも起きることでは、と思わされる。 あたしは競争とかとにかく好きじゃないので、とりあえず関わりたくありません。
 でもその昔、刑事ドラマに憧れて「刑事か鑑識になりた〜い」と思っていた時期もあったんですよね・・・(その頃は捜査一課と二課の違いもわかってなかったです)。 のちに、たとえキャリアで合格しても警察学校には行かなければならない(柔道やらをマスターしなければならない)と聞いてあっさり断念しました。 その選択は間違ってなかったです。

ラベル:国内ミステリ
posted by かしこん at 09:11| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする