2014年07月16日

コンプリケーション/アイザック・アダムソン



 これは早川書房メルマガの新刊案内でまずタイトルに惹かれ、のちに表紙を見て



更にぐっと来る。 でもポケミスなので買うのはやめて、図書館に予約を入れた。



文庫になったら買いたいと思います。



   この歯車で、時計が関わっていることに気づいたから。



 まず冒頭で、“コンプリケーション”の言葉が定義されている。



  1. 複雑な[混乱した]状態あるいは出来事。

  2. 込み入った(しばしば厄介な)種々の要素の結合。

  3. ≪医・病理≫はじめの病気を悪化させる合併症、余病。

  4. ≪時計≫(十六世紀初)通常の時・分・秒の表示以外にも様々な機能を持つ時計。

     機構そのものと、それを含む時計の両方を指す。おもな機能に暦、月相、王道

     十二宮、そのほか官能的、宗教的、あるいは奇抜な行為を見せる自動人形などが

     ある。

  5. 解決困難な問題。



 1は辞書を引けばいちばん最初に書かれているだろう意味。 で、あたしは4の



ことだと思っていたのだが・・・結局1から5まですべてが関わっていた。



 5年前に死んだ弟ポールの死が事故ではなかったらしいと知った兄のリーは、弟が



死んだ土地・プラハに赴いて調査を始める。 が、正体不明の人物が次々に現れて、



かつて“神の右手”と呼ばれた連続殺人犯が起こした事件が浮かび上がり、謎の時計



“ルドルフ・コンプリケーション”の盗難に弟がかかわったのかもしれない可能性も出て、



リーは古都プラハの姿に日々幻惑されていく。



 まるで<現代版『死都ブルージュ』>のような、奇妙な浮遊感。



 『HHhH −プラハ、1942年』もそうだったけど、プラハという町にはある種の人々を



魅了してやまないなにかがあるに違いない、と確信してしまうほどだ(あたしは行った



ことがないし、残念ながら多分行くこともないとは思うが)。



 本格ミステリというよりはツイスト・サスペンスというジャンルに分類されるような気も



するが、ラスト30ページの怒濤の展開(たたみかける謎と、回答が示されたかと思ったら



それがすぐに否定される可能性が出て、誰が本当のことを言っているのかがまったく



わからない)には、ただただ唖然。 でもそれはあきれるということではなく、読者もまた



すっかり幻惑されてしまっていたから。



 プラハという街と、その街が生み出したこの物語に。



 これが二段組みとはいえ300ページほどの長さしかないなんて・・・。



 長さと奥行き・余韻は反比例することもある、という素晴らしい例でした。 やっぱり



文庫が出たら買います。





 ※ ブロガリメンテナンスのため、投稿が遅れました。


posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする